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南関フリーウェイ

阿部典子 南関フリーウェイ

第30回 「目標があるから頑張れる」帝王・的場文男騎手 地方通算7000勝達成

 5月17日に行われた川崎マイラーズ(SIII)。早目先頭に立ったトロヴァオ(大井 荒山勝徳厩舎)の勝利かとカメラのピントを青いメンコに合わせたその時、外側に赤い勝負服が。豪快なアクション、撓(しな)る鞭。それは、猛然とゴールに向かう的場文男騎手とリアライズリンクス(浦和 小久保智厩舎)でした。

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 降り注いでいたはずの歓声も耳に入らず、ただただ、目に焼き付いたのは、ゴール板を過ぎたあたりで右手を突き上げ、ガッツポーズした的場文男騎手の姿。地方競馬通算7000勝という、史上二人目の偉業達成の瞬間でした。

 この日、川崎競馬場には偉業達成の瞬間を見届けようと多くのファンが詰めかけて独特の雰囲気に。中でも印象的だったのは、的場騎手より少し下の世代と思われる男性ファンからの「フミオ、頼むぞ!」「行け!マトバ!」という魂の叫びのような声援。それは祈りや願いの中に、自らを元気づける特別な熱を込めた声にも聞こえました。

 ここからは的場騎手のコメントを中心にお伝えしていきましょう。当時の"熱"を感じていただけるよう、表現や言い回しはほぼそのままに、リアルな「的場節」をお届けします。

 「7000勝は喜びでやったな!という感じですね。喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。その喜びでウイニングランをしました。2日間騎乗停止になって、気持ち的にもリラックスして過ごしました。『7000勝決めるなら大井で』なんて声もありましたが、僕も年だし、時間もない。次の宿題もあるので休んでいる場合じゃないと思って川崎での騎乗を引き受けました。小久保先生からリアライズリンクスの騎乗依頼が来ていましたし、仕事ですからね、ありがたいですね。騎乗依頼が来るのは」。

 的場騎手に東京ダービーを勝って欲しいと強く願っているという小久保智調教師。過去にはキスミープリンスで東京ダービー2着ということもありました。的場騎手のコメントに戻りましょう。

 「今日勝てればという気持ちでしたが、競馬はそうそう簡単に勝てませんので、勝てればいいなという『目標』は持っていました。ローズジュレップ(小久保調教師が管理していた有力馬。調教中に事故で他界)に騎乗する話もあったので、新聞で事故を知った時は『小久保先生相当落ち込んでいるだろう』と。ちょっとね、小久保先生の気持ちを考えると、声を掛けられない、電話もできなかったですね。羽田盃(SI)に乗れると思っていたので、新聞見た時は僕もがっかりした。でも、小久保先生はこんなもんじゃないと。一週間くらいして、小久保先生と会話しました。『僕もいろいろあったけど、先生、どんどん良い馬が出て来るよと。それだけ良い競馬してるじゃないかと。先生は僕に東京ダービー勝たせてくれるという気持ちが本当に熱い方です。ローズジュレップのことは僕の方が先生より年上なので、なぐさめの言葉として『いろんなことがある。でも先生はまだ先があります。若いから!調教師だからまだ頑張れる。僕は後がありません、時間がない。騎手だし、60だから。あと、2,3年。だけど、俺、頑張ってる。競馬はいろいろある。馬が壊れたのは一生懸命やった結果だからしょうがない』という会話をしました。そういう会話があって今日の勝利があったのかなと。チームワークですかね」。

 そう言って、小久保調教師がいる方へと少し目を向けた的場騎手。こう続けました。
 「もう大丈夫だね。さっき、表彰式で笑顔だったから」。

 ボンネビルレコードで2007年の帝王賞(JpnI)を勝った時、ウイニングランをしたらファンが喜んでくれたので今回も、と思ったそう。「大井よりは小回りなので簡単です(笑)」とのことでしたが、少し離れた取材エリアから見ていてもスタンド方面からの熱気が伝わって来たほど。誰もがその勇姿にしびれたに違いありません。

 「長く乗れてこんな人生を送れて幸せです。浦和では脾臓を蹴られて内臓が破裂したこともあって。あの時は死ななくて良かったと思いました。今まで自分のため、周りのために乗って来て、一回きりの人生を楽しめたなと思いました。今まで7000勝を目標に頑張って来ましたが、大先輩の(佐々木)竹見さんの"7151"目指します。目標があるから頑張って乗れますよ」。

 偉業達成の熱も冷めないうちに、すでに気になるのは自ら"人生の宿題"と語った東京ダービー(SI)。悲願達成が掛かる東京ダービー(SI)は6月7日、大井競馬場で行われます。