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南関フリーウェイ

阿部典子 南関フリーウェイ

第45回 猛暑の2018年夏から、秋へ

 猟奇的とも言える今年の夏の猛暑。8月も後半になりましたが、まだまだ厳しい残暑が続いています。午後の厩舎作業が始まる頃はまさに暑さのピークですが、取材途中の「暑い中大変だね」「馬房にエアコン入ってるから涼んでいけば?」という優しいお心遣いに癒されることもしばしばです。

 競走馬の中で、「都会暮らし」の部類に入るのは船橋競馬場の馬たちでしょうか。すぐ近くには商業施設があり、高層マンションも幹線道路も目と鼻の先。厩舎ごとに風通しを良くしたり日陰を作ったりといった工夫をしていますが、今年の猛暑はかなりのもの。自然の風で涼めるのが一番かも知れませんが、人間と同じ街中の環境で暮らす馬たちにとっては、やはりエアコンや扇風機は欠かせないものなのでしょう。扇風機の風に顔を向けて涼んでいる馬の表情、人間のそれと同じで「はぁ~涼しい・・・」という声が聞こえてきそうなんですよ。

 そんな中、レース名を聞くとそろそろ夏も終わりに近づいている、と感じるのが、毎年8月後半に川崎で行われるスパーキングサマーカップ(SIII)です。今年は8月22日に行われましたが、「夜は涼しくなってきたね」「月が澄んできれい」など、秋を感じさせる会話もチラホラかわされていました。

 このレースの優勝馬は、川崎巧者・ウェイトアンドシー(父オレハマッテルゼ 浦和・小久保智厩舎)。クビ、クビ、クビでタイム差0.1秒の中に4頭がひしめく大接戦でしたが、1番人気に応え、逃げ切り勝ちで5月の川崎マイラーズ(SIII)に続いて重賞2勝目をあげました。川崎コースは4戦4勝です。

nf201808pic.jpg 「馬が最後まで頑張ってくれましたね。自分のレースができればいい結果が出ると考えていましたが、上手くいって良かったです。マークされて流れが速くなるかなと思いましたが、そこまで競って来る馬もいなかったです。ゴール前はギリギリ残ったかなという気持ちでした」とコンビを組んだ今野忠成騎手。

 ゴール前の大接戦を振り返れば、ウェイトアンドシーの踏ん張りが光り、惜しくも届かなかった馬たちの巻き返しも期待できるアツいレースだったことは言うまでもありません。大接戦を踏ん張り通しただけあって、闘志の炎がなかなかおさまらなかったウェイトアンドシーでしたが、口取り撮影では、撮られていることがわかっているかのような、誇らしげな表情を向けてくれました。これは優勝したどの馬にも共通しているように思います。

 さて、夏を休養期間に充てていた馬たちも、秋に向けて厩舎に戻ってきました。羽田盃(SI)を制したヤマノファイト(父エスポワールシチー 船橋・矢野義幸厩舎)もそのうちの1頭。東京ダービー(SI)を7着とした後、北海道へ放牧に出て、7月末には帰厩。8月半ばから本格的な調整に入っているそうです。オンとオフの切り替え上手としても知られているヤマノファイトは、放牧先でものんびり過ごせた模様。「戻って来たばかりで休みボケしてる(笑)」と、帰厩したての頃には上永吉厩務員も笑っていましたが、今頃は戸塚記念(SI)に向けて、着々と調整を進めていることでしょう。

 そして、忘れてはならないのが、8月12日に、地方競馬最多勝利記録を更新する7152勝目を挙げた的場文男騎手の存在です。かつて「今、ここまで勝ち星を重ねられて、佐々木竹見さんに手が届くかも知れないと思い始めました。だから、若い頃にもっと他場で乗る努力をすればよかったと思っています。竹見さんの7151勝は目標。目標があるから頑張れる」と語っていた的場騎手。魅力いっぱいの人柄も人気で、以前、馬とのショットをお願いした際には「こっちに立った方がいい構図になるでしょう」と、わざわざ立ち位置を変えてくださったこともありました。悲願の東京ダービー優勝という「人生の宿題」を抱えながら、9月7日で62歳になる帝王・的場文男騎手。秋を迎えても、南関東競馬の"アツさ"は続きます。