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第72回 「逆襲」

2017.03.14
 中央競馬の2017年最初のGⅠレース、第34回フェブラリーSは2番人気のゴールドドリーム(牡4歳、栗東・平田修厩舎)が優勝し、自身初のGⅠタイトルを獲得した。ゴールドドリームは、前走のチャンピオンズCで12着に終わっていた。
 前走2けた着順から「復活」のGⅠレース優勝という巻き返しは珍しい。あまり記憶になかったので、改めて調べてみた。対象は2000年以降の平地GⅠだ。(外国調教馬はのぞく)

【2000年】
 ◎キングヘイロー
=フェブラリーS13着→高松宮記念1着
 ◎チアズグレイス
=チューリップ賞10着→桜花賞1着
【2001年】
 ◎トロットスター
=安田記念14着→スプリンターズS1着
 ◎ゼンノエルシド
=スプリンターズS10着→マイルチャンピオンシップ1着
 ◎タムロチェリー
=ファンタジーS10着→阪神ジュベナイルフィリーズ1着
【2007年】
 ◎ピンクカメオ
=桜花賞14着→NHKマイルカップ1着
 ◎マツリダゴッホ=天皇賞・秋15着→有馬記念1着
【2008年】
 ◎ブラックエンブレム=ローズS15着→秋華賞1着
【2009年】
 ◎ロジユニヴァース=皐月賞14着→ダービー1着
 ◎ローレルゲレイロ
=セントウルS14着→スプリンターズS1着
【2012年】
 ◎ビートブラック
=阪神大賞典10着→天皇賞・春1着
 ◎オルフェーヴル=天皇賞・春11着→宝塚記念1着
【2013年】
 ◎メイショウマンボ=桜花賞10着→オークス1着
【2014年】
 ◎ヴィルシーナ
=阪神牝馬S11着→ヴィクトリアマイル1着
【2015年】
 ◎ストレイトガール
=高松宮記念13着→ヴィクトリアマイル1着

 なんと15例もあった。このうち最大の巻き返しといえるのが2008年秋華賞のブラックエンブレムだ。桜花賞で10着、オークスで4着と春シーズンは結果を残すことができなかったブラックエンブレムは、秋初戦のローズSに臨んだ。オークス4着が認められ、4番人気の支持を受けたが、先行策から伸び切れず、勝ったマイネレーツェルから2秒1も離された15着に終わった。休み明けをたたいて挑んだ秋華賞では11番人気と評価を下げたが、このレースでは岩田康誠騎手を背にインの経済コースを進み、桜花賞馬レジネッタ、オークス馬トールポピーなどを下し、初めてのGⅠ制覇を果たした。ただ11番人気とはいえ、単勝の払い戻しは2,990円とまったくの人気薄というわけではなかった。

 単勝の払い戻しでアッと驚かせたのは2012年天皇賞・春のビートブラックだ。阪神大賞典では勝ったギュスターヴクライから4秒0差の10着と大敗を喫したが、天皇賞・春では2周目の3コーナーすぎで先頭に立つと、そのまま後続を引き離して優勝した。石橋脩騎手にとってはデビュー10年目で初のGⅠ優勝となった。単勝の配当は15,960円。今でも天皇賞・春の単勝配当の最高記録として健在だ。

 この波乱の天皇賞・春で1番人気になりながら11着同着に敗れたのが3冠馬オルフェーヴルだった。前走・阪神大賞典ではレース途中で走るのをやめそうになり、再度走り直すという前代未聞のレースで2着になっていた。調教再審査に合格しての出走だったが、末脚は不発に終わった。

 しかし「お騒がせ」オルフェーヴルはそのままでは終わらない。次に向かった宝塚記念ではルーラーシップに2馬身差をつける快勝で自身5つ目のGⅠ制覇を果たし、前走2けた着順からの巻き返しに成功している。

 つまり阪神大賞典→天皇賞・春→宝塚記念と続いた一連のレースは巻き返し、逆襲の連続だったのだ。
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