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第5コーナー ~競馬余話~

有吉正徳 第5コーナー ~競馬余話~

第91回 「ヨシダ」

 日本で生まれたヨシダ(JPN)(牡4歳)が米国で活躍中だ。

 5月5日にチャーチルダウンズ競馬場で行われた第32回ターフクラシックS(芝約1800㍍)では、9頭立ての4番手から徐々にポジションを上げ、残り200㍍付近で先頭に立つと、そのまま押し切り、デビュー8戦目で初めてのGⅠ勝利を飾った。

 欧州遠征などを挟み、9月1日にはサラトガ競馬場で行われた第65回ウッドウォードS(ダート約1800㍍)に出走し、ダート初挑戦だったにもかかわらず、2着に2馬身差をつける快勝で、GⅠ2勝目を挙げた。日本産馬が米国のダートGⅠを制したのは、これが初めてという快挙だった。

 ヨシダは父ハーツクライ、母ヒルダズパッション(USA)という血統。2014年2月24日に北海道のノーザンファームで生まれた。翌年のセレクトセールに出場し、ウインスターファームの代理人に9,400万円で落札され、米国で競走馬になった。

 ヨシダの父ハーツクライは2001年4月15日に北海道の社台ファームで生まれた。父はサンデーサイレンス(USA)、母は現役時代9勝を挙げたアイリッシュダンス(その父トニービン(IRE))である。現役時代は栗東の橋口弘次郎厩舎に所属した。2004年の3冠レースに出走。皐月賞は14着、ダービーは2着、菊花賞は7着という成績を残した。3歳5月の京都新聞杯を最後に重賞勝ちから遠ざかり、4歳11月のジャパンカップまで10連敗を喫したが、2005年12月の有馬記念では大本命のディープインパクトを下して待望のGⅠ初勝利を挙げた。翌年3月にはアラブ首長国連邦(UAE)に遠征し、ドバイシーマクラシックも快勝と完全に本格化した。続く英国のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSでも強豪を相手に3着と健闘した。

 ハーツクライ産駒はこれまでJRAで25頭が計46の重賞勝ちを収めている。このうちGⅠレースは7勝。ジャスタウェイの天皇賞・秋(2013年)と安田記念(2014年)、ヌーヴォレコルトのオークス(2014年)、ワンアンドオンリーのダービー(2014年)、シュヴァルグランのジャパンカップ(2017年)、タイムフライヤーのホープフルS(2017年)、スワーヴリチャードの大阪杯(2018年)となっている。

 このほか海外でも、ジャスタウェイがUAEでドバイデューティーフリー(2014年)を制し、アドマイヤラクティが豪州のコーフィールドCで優勝と、GⅠ勝ちを収めている。

 中央・地方交流のダートグレードレースでは、ディアマイダーリンがクイーン賞(2015年、船橋)を、ストロングサウザーが佐賀記念(2016年、佐賀)とマーキュリーC(同年、盛岡)で優勝を飾っている。

 ハーツクライ産駒のJRA重賞勝ちの中にダート重賞は含まれていないが、交流重賞の成績を見てみると、ダートがまったくダメというわけではないが、ヨシダのウッドウォードS優勝はハーツクライ産駒の新境地といえる。

 ハーツクライは父サンデーサイレンスの血を受け継ぐ。サンデーサイレンスはケンタッキーダービーやブリーダーズカップ・クラシックに勝った米国の一流馬。ヨシダの母ヒルダズパッションは米国産で現役時代に8勝を挙げている。GⅠのバレリーナSを制した星もあり、両親の血統からいって、ヨシダがダートをこなしても何の不思議もない。それにしても日本の種牡馬の産駒が海外で活躍するのはうれしい。

 今年はディープインパクト産駒のサクソンウォリアー(JPN)が英国2000ギニーを制し、同じくディープインパクト産駒のスタディオブマン(IRE)がフランスダービーで優勝するなど、日本と欧州の間にある競馬の距離がグンと近づいた年でもあった。

 ハーツクライ産駒のヨシダが、その世界を米国にも広げてくれた。記念すべき年になったと感じる。