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第7回 改革の必要性

2010.10.25
 トライアルレースも始まり,いよいよ秋競馬へと突入。しかしながら今年は猛暑続きで,9月半ばに30度を超す日も...。朝晩は秋を感じつつも,昼になれば夏。寒暖の差が激しいゆえ,体調管理によりいっそう,気を配られている方も多いことと思います。


 厩舎でも,扇風機や冷風扇やミストの風量,扉の開閉や馬服の種類など,担当される方々は,その時々の状況に合わせた形を取られています。

 例えば,馬房の扉。夕方には暑さを感じ,裏扉を開けて帰宅するも,夜,急に冷え込み寒さを感じれば,再度厩舎へと足を運び,扉を閉める方も少なくありません。そうした光景を目にするたび,このような細かい配慮の積み重ねこそが,レースに向かう馬たちにとって,心身ともに非常に大きなウエイトをしめているように感じます。

 さて話は変わり,今年の夏は,デビュー1年目の高倉騎手をはじめ,丸山騎手,浜中騎手など,若手の活躍も目立ちました。中でも今年1番の飛躍といえば,デビュー2年目の丸山元気騎手でしょう。

 1年目8勝の彼が,今年は9月現在で早65勝をマーク。本人も,「自分でも驚いています」と口にするものの,この活躍の裏には,先輩騎手のアドバイスや,師匠である根本調教師の存在が大きいように思えます。

 というのも,丸山騎手が函館で騎乗停止処分を受けた際のこと。直線でとった進路において,4日間の騎乗停止処分を受けた丸山騎手。しかしその判断というのは,勝ち負けをする上でのギリギリのラインと認識した上での行動であり,きっと本人も納得のいかない部分もあったのではないか?と私は思え,その話を根本調教師にすると,「裁決委員の下した判断なのだから,それは真摯に受け止めるべきだと言ったけど,僕も元気が,勝敗にこだわった上での意志ある判断だったと思うから,その点については,責めることはしなかったし,それどころか,元気の技術の高さを感じた」と。

 やはり,何が正しく・何が正解なのかという,明確な答がないのが,競馬や馬乗りの世界。そういった立場に立たされた若者にとって,根本調教師のような,騎手経験者であり,またダービージョッキーでもある師の存在というのは,技術的にも,また精神的にも大きな支えとなり,ぶれることのない軸を形成することができるように思えます。

 今,ゴルフの世界では,弱冠19歳の石川遼選手が新たな革命を起こし,プレーとともに人格そのものに皆が感銘を受け注目をしていますが,石川選手の遠征時には,専属のドクターやマッサージ師,料理人など数名が,彼とともに行動をしているのだそうです。やはりあの素晴らしいプレーの裏には,心身ともに,ゴルフに集中できる環境作りがあってこそなのかもしれません。

 そう考えると,騎手というのはコーチのいない職業であり,全ての面を個々で管理しなければならない状況下。ましてや,体重の管理,落馬によるケガ,乗り替わりなどもあり,肉体的にも精神的にも,過酷な面を兼ね備えています。

 競馬界はこれまで,第2の武豊騎手の存在を期待し待ち望んできましたが,武豊騎手のデビューから20年たった今でも中々苦しいのが現実。

 もちろん時代の流れ,経済状況などにより,若手騎手が育つには苦しい環境下になりつつあるのも現実ですが,それを時代や個々のせいだけにするではなく,もう少し手を加える面があるのではないかと,根本調教師&丸山騎手から感じた今年の夏ケイバでした。

 それでは皆さん,ステキな日々をお過ごし下さい。
 また来月,お会いしましょう。ホソジュンでした。
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