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第16回 GⅠ勝利の舞台裏~厩舎と騎手の一貫した馬づくり~

2011.07.14
 2011年上半期のGⅠレースが全て終了しましたが,皆さんの心にはどのように映りましたか?私としては,GⅠ馬へと導びかれる過程において,騎手と厩舎との関係性というものが,非常に大きなウエイトを占めるのではないかということを,改めて感じるものでした。
 今日の日本競馬は,外国人騎手の活躍が非常に目立ち,乗り替わりが当然のように行われる時代。多くの日本人騎手にとっては,(果たして,次走自分はこの馬に騎乗することはできるのであろうか?)という,追い込まれた心境の中で,一つのレースへと向かうのではないでしょうか?それは一見,勝利への貪欲さへと繋がるように見えますが,実は一つ一つのレースが点で終わってしまっているようにも...。

 振り返ってみると,2冠を達成したオルフェーヴルも,折り合いを欠き,大敗してしまった過去があり,その点を修正しようと,陣営と池添騎手が一丸となって取り組んだことこそが,最終的に2冠達成を成し遂げさせたように思えます。

 またヴィクトリアマイルで5つ目のGⅠを手にしたアパパネも,出走する全てのレースを勝利しているわけではなく,GⅠへ向けた前哨戦においては,勝ち負け以上に内容そのものを重視。

 そして宝塚記念を制したアーネストリーは,若駒の時から,「本格的によくなるのは,古馬になってから」と佐々木晶三師が断言し,常に脚元の状態と相談しながら馬の成長を待ち,なおかつ佐藤哲三騎手と共に歩んできた道のりがあったからこそ,豪華メンバーが集結した今年の宝塚記念において,堂々たるレース振りと,圧巻の強さを見せ付けての内容で勝利を手にしたのではないでしょうか。

 よくよく考えてみれば,完璧な人間などいないように,最初から完璧な馬もおらず,紆余曲折を繰り返し,一つの勝利,そして最大目標であるタイトル獲得へ向けて進むもの。やはりそれには,一貫した馬づくりがあってこそ,なし得ることができるものなのでしょう。

 騎手がレース前に,目に見えない乗り替わりの恐怖と戦うのではなく,GⅠを勝つために,今,馬にとって何が必要なのかを考えながら騎乗できる環境。この点が,今の日本競馬におけるGⅠ勝利の大きな要因となっているように感じました。

 さて話は変わり,先日はじめて胃カメラをのみました。噂には聞いていましたが,かなりシンドイものですね~。ドクターがカメラを奥へ奥へと入れていく最中,何度も咽頭反射をし,我慢できなくなりそうになって,思わず医師の手に自分の手を持っていきそうに...。すぐさま看護師さんに,「ベッドのここを握ってましょうか」と声をかけられ,なんとかしのぎきることができましたが,実家に帰った際,その話を両親にすると,半笑いしながら母が,「私は途中で,もう無理だと思って,思わず自分で胃カメラのチューブを手に取り,戻そうとしてしまってね。ドクターにどえらい怒られてしまった...」と。母ほどいき過ぎた行動をしていなかったものの,とっさに出てしまったアクションが近いあたりは,さすが親子だなぁ~と。

 今,競馬の世界も,続々と2歳馬たちがデビューし,またデビューに向けてトレーニングを開始していますが,担当される方々は,「上のお姉ちゃんと体型や顔がよく似ているわ~」とか,「驚くポイントや驚いた時のアクションが,お母ちゃんと一緒やわ~」とか,「馬房でのちょっとした仕草が親父そっくり」といった会話があちらこちらから聞こえてきますが,やはりこれが血統,血の流れというものなのでしょう。面白いですね。

 それでは皆さん,かなり暑い日が続いていますので,お互いに体調管理に気を配り,乗りきりましょう。それではまた来月に。
 ホソジュンでした。
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