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第24回 名作との再会に、新鮮な思い。~感じる心、心と心の対話~

2012.03.22
 最近、自分でも想像もしていなかった分野での仕事の依頼を受けることがあり、その度に、新鮮な気持ちと共に、一つのことを続けさせてもらっている今の自分の環境に、感謝の思いになります。
 例えば、つい先日頼まれたのが、競馬とは全く関係のない本においての帯のコメント。ヴィレッジブックスという出版社が、この度、「今頑張っている、女の子に。」と題し、「赤毛のアン」や「あしながおじさん」といった不朽の名作を、新訳して出版。これまでに出版された「赤毛のアン」は、女優の夏木マリさんが、そして「あしながおじさん」は、水川あさみさんが、それぞれにコメントを書いているのですが、次に出版予定をしている「小公女」において、私に30文字での感想をお願いしたいとのお声がかかりました。

 正直、「え?私でいいのでしょうか?」と担当者の方に聞きなおすと、「新たな分野を切り開き、自分の道を突き進んでいる方にお願いしたいと思いまして。ホソエさんの姿や、こうした作品の数々は、さまざまなことに対して悩み迷い、困難に立ち向かっている女の子たちへの勇気となると思いますから」と。

 また実際に、あしながおじさんや小公女を読み返して見ると、子供の頃とは違った視点を持って感じることができる部分も多く、新鮮さと物語が伝えようとしていた事の大きさや深さに感動し、涙してしまうほどでした。

 そしてどの主人公にも共通して言えることが、自分自身の哲学を持ち、想像力に溢れ、心の奥行きの深さと理性を兼ね備えている点。その姿勢が実に清々しくて、大人になればなるほど薄れていってしまいそうな部分に語りかけているような気がし、私自身にとっても、読み直すきっかけを与えてくれた今回のオファーに、感謝の思いとなりました。

 やはり後世に語り継がれ、国や時代、年齢を問わない作品には、きちんとした理由があるのですね。

 さて話は変わり、2012年最初のG1・フェブラリーSは、スタート直後からどよめきに包まれる事態に...。
 1番人気、しかも行くと宣言をしていたトランセンドが、中々進んでいかない状況。また道中も、前を行く馬から逃げるような形で進み、レース後は息の乱れるところがなかった様子...。「具合は本当に良かった。それだけに、どうしてなのか?」と、陣営は、いろいろな角度から、その理由を考えていました。

 この真の答えというのは、トランセンドのみが知ることなのでしょうが、今回の結果を受けて感じたことは、やはり馬は心を持った生き物であり、気持の面でのウエイトが実に大きいということではないでしょうか...。

 「馬の心とどう対話するのか?」馬の心をどこまで理解することができるのか?」ホースマンにとっての永遠のテーマなのかもしれません。

 私自身も、フェブラリーSでの本命にし、期待をしていただけに、逆に、全くもってトランセンドのことを理解できていなかったなぁ~と、反省と共に落ち込んだ数日間を過ごしました。

 そして数日後、馬房に逢いに行くと、珍しく怒った表情をして噛み付いてきた彼。その姿に、益々、馬はいろんなことを理解し、状況も把握しているのだなぁ~と感じるものでしたぁ...。

 あ~私も、もっともっと馬の心に触れたい、感じたい、そんなことを強く思った月でした。

 それでは皆さん、また来月お逢いしましょう。
 ホソジュンでしたぁ。
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