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第46回 競馬界の永遠のヒーロー~子供たちに夢を与え続ける武豊騎手~

2014.01.17
 このコラムが掲載される頃には、新しい年・2014年がスタートしているのでしょうね。
 ということで、「皆さま、明けましておめでとうございます」。2014年、皆さまにとってはどのような1年にしたいとお考えでしょうか?
 私は3月で39歳。30代ラストとなる一方で、本格的に子育てと仕事の両立が始まることとなるだけに、きっと今まで以上にあっという間に時が流れていきそう。

 そう言えば、東京競馬場でもはや恒例となったジョッキーベイビーズ、昨年の優勝者は斎藤誠調教師の息子さんでした。
 実は斎藤調教師と私は、競馬学校時代の同期生。もちろん斎藤師は騎手課程ではなく厩務員課程だったのですが、当時は共に独り身で夢を追いかけていた時代。

 それが共に子を持つ親となり、その子がジョッキーベイビーズとして東京競馬場でポニーに跨っているのだから、本当に時が経つのは早いなぁ~と感じます。

 しかも斎藤師と私には、切ってもきれない縁があり、お子さんの勇姿には私も嬉しくなってしまいました。

 というのも、互いに競馬学校時代はオチコボレ生徒だった私たち。当時、教官から怒鳴られ、実技についていけない斎藤氏は心の中で、(もう無理かも...)と思い、退学をも考えるようになっていたのですが、隣の角馬場で行われている騎手課程生徒を見ると、同じように教官の罵声を浴びせられている1人の生徒が...。しかもその子は女性。

 その姿に、(よし、あの子が辞めるまでは僕も辞めないでおこう)と、自分と同じ境遇の中、ひたむきにレッスンを受ける女子生徒が励みとなり、無事に競馬学校を卒業することができたのです。

 その女性生徒というのが私であり、言ってみれば、私は今の斎藤師を影で支えたオンナ...ナンチッテ。
 斎藤氏はその後、調教師となり厩舎を開業するわけですが、その時の取材でこの事実が明らかとなったのです。

 自分の気づかないところで、私のオチコボレ振りが人の為になっていたとは...と驚きましたが、今回の息子さんの姿に、再びその事が思い起こされました。

 しかもプロ騎手顔負けの騎乗振りと、レース後には、投げキッスをスタンドに向けて送る堂々たるパフォーマンス。
 人生って、分からないものですね...。私の息子もひょっとしたら将来...?!

 さて今年のジョッキーベイビーズですが、レース後ちょっぴりヒヤッとする場面もありました。
 それはゴール板を過ぎた後に落馬した子の鐙が外れず、引きずられる形となってしまったのです。ああいった場合に大腿骨を骨折してしまうケースをこれまで何度も見てきているだけに、思わず顔を覆ってしまいました。

 その後、その子の状態が気になってしまい、東京競馬の救護所に問い合わせると、怪我はなかったとのことでしたが、救護所に来た時は痛さと悔しさから泣いてしまっていたとのこと。

 看護師さんが慰めていると、なんとそこに、彼を心配した武豊騎手が、「大丈夫?」と声をかけに救護所へ。憧れの大スターの出現に涙も止まり、最後は笑顔で救護所を後にしたのだそうです。

 そのエピソードに、改めて武豊騎手の優しさを感じると共に、武豊騎手の存在というのは、子供たちに騎手になりたいという夢を与える、まさにヒーロー。

 しかも私も武豊騎手に憧れて騎手を目指した1人であるだけに、長きにわたってヒーローであり続ける武豊騎手の新鮮さにも改めて偉大さを感じました。

 それでは、2014年が皆さんにとっても競馬界にとっても、そして我が家にとっても、素晴しい年となることを祈って。
 ホソジュンでしたぁ。
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