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第50回 フジキセキ産駒初のクラシック制覇~その意味するものとは? そして日本ダービーへ~

2014.05.21
 クラシック第1弾となる桜花賞と皐月賞が終わりましたが、振り返ってみれば共に新馬戦から変わらぬ騎手で歩み続けてきたコンビでの勝利。やはりただでさえ戦歴が浅く、まだまだ未知な部分と課題も含んでいる若駒とあって、本番までに至る過程の重要さが伝わってくるものでした。
 特にイスラボニータに関しては、新馬戦から振り返ると、ゲートや道中の折り合いなど若さ溢れる面があっただけに、見事な折り合いを披露しての皐月賞での走りには、陣営の日々の調整と一戦ごとのレースにおいて対話を繰り返しながら理想とする着地点へと導かれた内容。気性的な激しさが武器でもあると同時に、人間とのコミュニケーションがカギでもあるフジキセキ産駒なだけに、より中身の濃い勝利を感じました。

 さぁそしていよいよ日本ダービーということになりますが、蛯名騎手にとっては悲願のダービー制覇がかかりますし、ワンアンドオンリーの橋口調教師にとってもクラシックイヤーラスト2年を迎える今回とあって、放牧には出さずに厩舎で調整をするなど、その思いの強さはひとしお。

 また愛されキャラの橋口調教師なだけに、「弘次郎の夢は俺の夢」と口にされる新聞記者の方々も多数いらっしゃるほど。

 そしてそこに、イスラボニータが唯一負けた牝馬のハープスターを負かしたレッドリヴェールも参戦するとの話も浮上しているだけに、今年のダービーは見所満載なダービーとなりそうで、早くも楽しみです。

 さて楽しみと言えば、つい先日の競馬開催日の検量室には、横山典弘騎手の後ろをついて回る1人の少年の姿がありました。
 丸坊主で背は低く、細身、そして見覚えのある制服。そう、今年競馬学校騎手過程へ入学した横山典弘騎手の3男武史君でした。レース後は父と共にパトロールフィルムを見、調教師とレースを振り返る会話に耳を傾け、返し馬に向かう父の後ろ姿をいつまでも見続ける深い眼差し。

 そして「僕の中では、父親が1番上手な騎手だと思っています。だから打倒・父です」と父親を尊敬してやまない澄んだ表情。父の仕事に傍で寄り添いながらも、しっかりと距離を保ち、なおかつ穏やかで温かみ溢れる空気をかもしだし、まるでそこが戦いの場だということを忘れてしまうほど。

 まさにその様子は、広大な放牧地でよく目にする馬の親子のような清らかさでした。

 そういえば以前、ある名手が「横山典弘という騎手は、レースの勝ち負け以上に、馬とのコミュニケーションを重要視する乗り役であり、馬と対話ができる人。だからたとえ勝ち鞍で勝っていたとしても、馬乗りとしての技術はとうてい敵わない」と口にされていましたが、その父と同じ空気の中で育ち、父のDNAを一身に受け継いでいるかのような雰囲気の武史君。それだけに、将来どんなジョッキーとなるのか?3年後の姿が待ち遠しくなるほどでした。

 息子と言えば、我がベイビーも7ヵ月が過ぎ、寝た状態からお座りへと体勢も変わり、徐々に人間らしい感じへと進化。そろそろ厩舎へ一緒に馬を見にいこうと思っています。どんな反応をするか?これまた楽しみの1つです。

 それでは皆さん、また来月お逢いしましょう。
 ホソジュンでしたぁ。
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