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第69回 活躍の目立った東の堀・西の池江厩舎~人の表情から伝わる厩舎実情~

2015.12.23
 2015年も残りわずかとなりましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?年末は年賀状製作や忘年会に大掃除、そして年始に向けての準備など、やることがてんこ盛り。
 1年もあっという間ですが、ラスト月はさらに猛スピードで去っていきます。
 優秀の美を飾り、引退に華を添えたジェンティルドンナから早1年とは...。

 今年はゴールドシップがラストランとなるわけですが、初のGⅠ勝利を成し遂げた中山の舞台で素晴しいラストとなるのか?それとも、ゴールドシップらしいとも思わせる何かが起こるのか?勝ち負け以上に、その内容に注目が集まりそうです。

 さて1年を振り返ると、年間を通して、東は堀宣行厩舎、西は池江泰寿厩舎の活躍が抜けて目立っていたように感じます。

 普段、栗東を中心に取材をしている私ですが、朝の調教時や厩舎訪問の際には、馬だけでなく働く人々の雰囲気や表情にも注目します。

 というのも馬は過敏な生き物。目に見えない空気を感じ取る能力が高いと感じるだけに、人が居心地良いと思える状況がとても大切な気がしますし、働く方達のモチベーションも含めての精神状態が重要だと感じます。

 以前に池江泰郎元調教師が、「僕は担当者に馬をあてがう際、能力的に厳しさを感じていたとしても、決して、この馬は走らないかもしれないとか、能力が低そうなどということは言わない。必ず良い所があるから、そこを見つけようという形で託す。人が諦めてしまえば、馬はそこまで。担当する人の気持ちが大事」と話されていましたが、まさに人次第で馬は変わるもの。何とかして走らせたい、良い方向に繋げていきたいと思えるベクトルが重要であり、それには、携わる人々の気持ちが前向きであることが必須条件なのかもしれません。

 海外の言葉にある、「ハッピーピープル・メイク・ハッピーホース」も、まずは人間がノンストレスで馬に携われる精神状態が重要と説いている気がします。

 しかしながら毎日同じ人と顔を合わせる職場というものは、同僚の悪い所も見えてしまい、好き嫌いがうまれるもの。

 ましてや、相手にするのは日本語で言葉のできない馬ともなると、それぞれに考え方が生まれ、その考え方の違いから険悪な関係になってしまうことも...。

 となると、厩舎全体の雰囲気が良いというのは、本当に難しいことであり、人との関係性によって別の問題に頭を悩ます結果、馬への意欲が失われてしまうことや、馬が居心地悪いと感じる空気になってしまうことも...。

 そのあたりが、1人1人の表情に表れているように思えるのです。そう考えると今の池江厩舎は、スタッフそれぞれの表情が実に自然な印象を受け、取材で足を踏み入れた際も、時間を忘れてしまうほど。今後益々、素晴しい馬を輩出していく気がします。

 また関東から出張競馬の栗東滞在時に、それを感じるのが国枝栄厩舎。誰に対してもフランクで包み込んでくれる優しさを持った師のキャラクターもあってか、スタッフと調教師の間にマイナスとなるような緊張感はなく、自然体で馬のことを話せる関係性。しかもこの秋、タンタアレグリアで始めて栗東滞在をした持ち乗り助手さんは、「先生が僕を信頼してくれているのがわかるので、そのぶん頑張らなきゃって思うし、毎日の仕事が楽しくてしょうがない」と話し、実に明るくイキイキとした表情で過ごされていました。

 もう既に数々のGⅠ馬を送り出している国枝厩舎ですが、このように若い人々も育っているからこそ、毎年コンスタントに結果を残せているように感じました。

 それでは皆さん、ステキな年末・年始をお過ごしください。
 ホソジュンでしたぁ。
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