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第76回 2歳馬と2歳児~今年の夏は試練の夏~

2016.07.12
 夏競馬真っ盛りですね。2歳戦も続々と行われ、栗東ではゲートの練習やゲート試験を受ける緑色ゼッケンを多く目にするようになりました。「ヒヒ~ン」と鳴きながら、数頭でコチョコチョと走る姿に愛くるしさを感じる一方で、体はフニャフニャで物見満載の若駒の舵を取る乗り手は大変だろうな...と心配にもなります。
 しかも今年は工事に伴い、栗東のゲートは2コーナー奥から4コーナーへと移動。内側のDコースからは加速する馬たちが存在し、外側にはカメラや関係者が調教を見ているお立ち台があり、左右ともに逃げ場のない状況。

 そんなこともあってか、移動後の直ぐに数回、放馬しているシーンを目にしました。とにかく人馬共に怪我なくゲート試験をパスし、競走馬としてデビューできる立場となってほしいなぁと願うばかりです。

 さて2歳と言えば、我が息子も2歳。しかも夏競馬に伴い、橋田厩舎で持ち乗り助手として働く主人は函館競馬開幕の2週間前から担当馬と共に函館入りをし、移住。よって母子二人の生活がスタートしたわけですが、もともと栗東にいる時も早朝出勤をすることから、息子と過ごす時間は帰宅しての夜7時過ぎから寝るまでのわずか数時間。なので子供と二人だけの生活になるとはいえ、これまでとさほど変わらないのかな?程度に思っていました。

 しかし、夕食を作る時、片付ける時、お風呂など、息子の「一緒に遊ぼう」攻撃に思うように事が運ばず、イライラは増すばかり。それでも時間に余裕のある時は、根気強く向きあえるのですが、追いきり日などの早朝取材でクタクタな日は、夜まで肉体的にも精神的にも持たず、ついつい一度、「うるさい、ママもう知らない」と大声を上げると、翌日から、気に入らないことがあると、「うるさい、タイチャン知らん」と、大声で叫ぶように...。その姿は怒った時の私そのもの。しかも1度ならず2度3度と繰り出す行動に、(このままでは、昔の私のように、直ぐに怒る子になってしまう)と怖くなると共に、まさに鏡を見ているような心境に...。

 傍にいる大人が、その場の感情で動いてしまえば、それが子供の人格形成に大きな影響を及ぼしてしまうという意識をもたなければならないと深く教えられ、猛烈に反省でした。

 それ以降は気をつけながら我が子と二人の生活をしていますが、これは人間に限らず2歳馬の取材をしていても、同じことを感じます。

 血統や牧場に関係なく、担当する2頭が同じ性格になっていくケースを目にしてきましたが、その背景には、最も長く時間を過ごす担当者の影響が大きく、周囲は、「○○さんが担当だとこうなる。あーなる」との会話も聞こえますし、大昔前には、「○○牧場から来た2歳馬が、本当に素直で人懐っこくて可愛くて...。数年前にもソックリな仔がいて、牧場の人に聞いたら、同じ人が担当していたと。その人が後にトレセンに入って手掛けたのが、ワンダーパフューム。そう、女性厩務員の藤井さんだったんだよね」なんて話しも。

 生まれ持っての気質はあるにしろ、真っさらな若駒たちの母となり師となるのは身近で共に過ごす者であり、結局、人によって左右されるということなのでしょう。

 となると、2歳馬も2歳児も今が本当に大事な時。なんだかこの夏は、2歳馬を見る心境も変化し、また過去にないほど自分自身が試されている気がしてなりません。

 それでは皆さん、また来月お逢いしましょう。ホソジュンでしたぁ。
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