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第95回 印象に残る北島・佐々木両オーナーの人間力~職人的調教師の早期勇退に思うこと~

2018.02.19
 小学生の頃、大人に対しての疑問が子供心に2つありました。1つは、何かし終わった後に必ず、「じゃぁ、コーヒーでも飲もうか」と、一息つく行動。1日何回コーヒーやお茶を飲むの?と。
 そしてもう1つは、「寝起き直ぐに体が動かない」と言う母親の発言と、冬は特にストーヴの前で数分間体を温めてから着替え始めるスローな行動。

 しかし今年で43歳を迎える私は、既に自然とこの2つの行動を日常に取り入れており、今では、子供の頃に疑問に思えたことが疑問となっているような感覚...まさに歳をとった証ですね。

 それに伴い、少し前に公表された角居師の早期厩舎解散の件や、同じく人と馬と向き合いながら国内外で素晴しい実績を作り上げてこられた二ノ宮調教師の今月での勇退も重なり、心にポッカリ穴があいてしまったような寂しさを感じます。

 もちろん個々に様々な状況ゆえの判断だとは思うのですが、その背景には、少なからずとも、在厩期間が30日から10日で競馬を迎えられる状況となったことで、現場に求められる要素が変わり、そこに大きな歪が生じてきているように思えます。

 というのも、少し前に家庭の事情ということで勇退をされたあるGⅠトレーナーの方が、「正直なところ、馬の息づかいと相談しながら、15-15から始めていく馬作りができない状況に自分自身の仕事への疑問を感じるし、このままの状況ではトレセンで人も馬も育っていかない。意味があるのだろうか...」と最後に呟かれており、同じかどうかは分かりませんが、こうした状況と、変わりゆく現場の姿とも重なり、今回のような発表を耳にするたび、その言葉が思い起こされるのです。

 私もかれこれトレセンに足を踏み入れてから、四半世紀、時代の流れと共に変化していくのは当然だと思える一方で、ほんとにこのままでいいのかな?どうなってしまうのかな?という気持ちにもなってしまいます...。

 さて少し話題を変えて、去年の競馬で特に印象深かったのが、キタサンブラックの北島オーナー・シュヴァルグランの佐々木オーナーの、共通して映った、現場を直接見ているかのような判断と、それに伴って人を大切にされる、心の温かさです。

 キタサンブラックにおいては、調教に携わった黒岩騎手に対しての感謝の言葉や共に戦った1人として引退セレモニーの際も最後まで気遣う北島オーナーの姿には、レースに乗らない上で調教に携わる騎手心理をも深いところで理解されているかのようでした。

 また佐々木オーナーにおいては、「いつもオーナーには、調教師(友道師)は偉くない。担当者が偉いと言われるんだ」と笑いながら話される友道師ですが、深く聞けば、佐々木オーナーはGⅠ勝利をした際には、必ず栗東へ足を運び、厩舎スタッフみんなでご飯を食べ、祝うとのこと。よって、「うちのスタッフの多くは、大魔神の馬を担当したがってるんだよ」とも。

 確かに、GⅠに優勝した際の検量室前では、調教師のみならず、担当者や調教助手ともハグをするオーナーの姿が見受けられ、普段からの親密度が伺えるものですし、共に勝利を喜べる姿は、まさにチームのようで美しさも。

 最近思うことの1つに、何においても、結局最後は人なのではないかと...。となると、その人の心がどうあるべきか?が大切であり、その心を動かされるのも、また人の心によってのような気がし、キタサンブラックやシュヴァルグランの走りと共に、北島オーナー、佐々木オーナーの人間力も心に刻まれる2017年の競馬ともなりました。

 それでは皆さん、また来月お逢いしましょう。
 ホソジュンでしたぁ。
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