JBIS-サーチ

国内最大級の競馬情報データベース

第35回 馬産地ツアー

2011.11.07
 スポーツの秋,食欲の秋,芸術の秋,そして北海道馬産地見学ガイドツアーの秋。いささか,いや,かなり強引だった気もするが,今年の秋も「競走馬のふるさと案内所」が企画する馬産地ツアーに同行してきた。
 一昨年は取材&ツアーコンダクターとして,昨年は初日のツアーの後に目眩でリタイアと,様々な立場?でこのツアーに関わってきたが,今回はまさに「ツアーに参加」してきた。

 というのも,コーディネーターとしての職から離れたことで自由参加が認められ,取材や執筆活動の合間に,勝手に参加者の一人として加えさせてもらうことができたのだ。

 予期せぬ参加者のために迷惑を被ったのは,ツアー参加者の皆さんだったのかもしれない。バスの後ろを車でついてきては,見学場所ではでかい男が携帯のカメラを構えながら,集団に紛れ込んでいるわけなのだから。
 幸いにもというか,グリーンチャンネルでのつたないしゃべりを見ている方が参加者の中にいらして,「いつも見てます」とこっそり声をかけてもらえた時には,普段感じていた恥ずかしさはどこへやら,ツアーを通して友人を作れたような感覚すら覚えた。

 その友人たち(笑)からはツアーについての感想を聞くこともできたのだが,過去2回と同様におおむね高評価をもらうことができた。特に感激していたことは普段は見学できない馬,もしくは見学できない場所に行けたということである。
 毎年のように馬産地見学へと訪れているという参加者だけでなく,このツアーで初めて馬産地に足を運んだという参加者からも,「まさかここまで見せてもらえるとは...」との言葉が聞かれた時には,「いいツアーでしょう!」と企画立案には全く加わっていないのに,思わず自慢してしまった。

 勿論,全てが全て満足してもらえたわけではない。改善点として多く聞かれたことは,「色々な場所に行けたのは嬉しいが,その分,詰め込み過ぎのような印象があった」という感想である。午前中に新千歳空港に降りてから3日間,南は浦河,西は洞爺までの移動。朝の出発時間も早く,バスに揺られている時間も長いこともあって,移動時間は睡眠に充てていましたと笑いながら話してくれた方もいた。

 これだけ内容の濃い日程を組めたのも,ひとえに協力をしていただいた牧場の皆さん,そしてロケハンを行ったふるさと案内所スタッフのおかげなのだが,参加者は全てメインディッシュのフルコースを食べたような気持ちとなったのかもしれない。僕のように自由参加していると,普段は取材でも見せてもらえないような馬に会えることが楽しくて仕方ないのだが,「まだゆっくりと馬を見たかった」との声が聞かれたのも事実である。

 では,今後の改善点は?との質問を向けると,
 ・種牡馬だけでなく,繁殖牝馬と仔馬をもっと見せて欲しい
 ・牧場の仕事や普段,行われていることを見てみたい
 ・秋以外にも,夏や春先など様々な時期にツアーを組んでもらいたい
 ・1泊2日のツアーを組んで,その都度,見学ルートを変えて欲しいという意見も聞かれた。
 中途参加者の意見としても,1ヵ所に腰を据えてゆっくりと見学したいと思ったのは事実。その一方で展示会でも出てこないような種牡馬の姿を久しぶりに見せてもらった時には,ツアーに同行して良かったと心から思えた。

 そういえば第1回目のツアーにおいて,取材でも会えたことがないシンボリルドルフを囲んで写真を撮ることができたのは,一人のファンとしても貴重な体験だったと思うし,その写真は今でも大事に保存している。

 参加者は最後にこうも話してくれた。「全員を満足させるツアーって,実現不可能なんですよね。でも,3日間を通して,来て良かったということが1つでも見つかったのなら,充分に参加して良かったと思えるのではないのでしょうか」
 ちなみにそう話してくれた参加者は,来て良かったと思えたことが,数え切れぬほどあったという。同じような思いを,今回のツアーに参加者全てが感じていて欲しいと願う。
トップへ