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第39回 『UMA』

2012.03.16
 「UMA」。ローマ字読みでは「うま」なのだろうが、一部の好事家の中では、ネッシーやツチノコといった未確認動物(Unidentified Mysterious Animal)の頭文字を取った略称とされている。
 実は日高にも「UMA」がいる。まあ、そのほとんどは紛れもない「馬」なのだろうが、日高振興局では管内の「UMA」を収集するUMA特殊部隊(Uma Task Force 通称UTF)を立ち上げ、ホームページ(http://www.hidaka.pref.hokkaido.lg.jp/ss/num/uma.htm)で活動報告、並びにUMA情報の公開を行っているのだ。

 と、ここまで読んで力が抜けた方は、後は流し読みでお付き合いいただきたい。しかし、面白そうだなと思った方は、まず、UTFのホームページを開いた上で、このコラムをご一読いただけると幸いである。

 UTFの活動としてホームページには、UMAならぬ「馬」を元に書き起こした看板や、馬の銅像。また、蹄鉄をデザインに加えた看板などの写真もアップされているのだが、改めてこうまとめられると、日高は馬の街なんだなあという気がしてくる。

 このUTFのホームページでは「日高でUMAを追えプロジェクト」も行われており、UTFが掲載した「UMA」写真の場所を突き止め、人と映った写真を連絡先のメールアドレスに投稿すると、ミッションクリアの証となる画像が送られて来るそうだ。

 ちなみに1月末時点で3つのミッションがアップされており、1つめ、2つめのミッションがある場所は余裕で特定できたが、3つめの場所がいまだに分からない。送られて来る画像にはそれほどそそられないのだが、謎が解き明かせないのは、じっちゃんの名にかけて、どこかもやもやしてくる。

 今は半ば通勤場所となっている日高だが、自分が初めてこの場所に足を踏み入れたのは23歳の秋、ちょうど安平の育成牧場に勤めていた頃になる。牧場の先輩から浦河で知り合いが勤めている育成牧場を見に行こうと誘われ、往復6時間近くをかけて車で日高路を巡ったのだが、普段から目の前に馬がいる職場だったにも関わらず、道路の両側に馬がいる景色に、ここが日本の馬産の中心であることを強く実感した。

 しかし、これほど馬をかたどった看板や銅像があることは、当時も、そして今もあまり強く意識はしていなかった。先人たちが残してきたものとはいえ、そこに目を付けたUTFの隊員の皆さんはなかなかお目が高い。

 そんな自分が18年間過ごした田舎も、思い返してみれば名物の桜をデザインした看板が至る所に飾られており、道路沿いに設置されているカントリーサインと呼ばれる標識にも、桜のイラストが入っていたように思える。

 こうして都会暮らしが長くなってくると、田舎には何も無かったなあ、と思ってしまうが、それでも会話の中で出身地をポロっともらすと、「ああ、桜で有名な!」とのリアクションをいただけることも多い。

 そう思えると、大多数の人が周知している事象が町や地域にあることは、誇りとも言える。競馬ファンのみならず、「日高=馬」の認識を持っている人は多いはずだし、実際に足を運んだ際、その景色や看板などを見て、改めて馬の町に来たとも思えるはずだ。

 先日、香川県を「うどん県」にするという突拍子もないPR広告をご覧になった方もいらっしゃるかと思う。別に日高の支庁名を「馬」にしよう!とまではいかなくとも、そこに住む人たちが「馬の町」との意識を強く持つことによって、また新たな展開や発展が生まれるのではないかという気もする。

 とはいっても、日高の豊かな海産、森林資源などを否定しているわけではない。日高のお米に「万馬券」や「馬舞米」という名前を付けたように、馬をプロモーションの軸にして、日高の特産品をアピールしていけば、何らかの相互作用を生み出せるのではないだろうか。

 そしてUTFの活動は、日高に住む人こそが率先して行うべきである。もしなんなら、自分で「UMA」を制作してもいいのかもしれない。日高を「UMA」の町ならぬ「馬」の町にするのは、他でもない、この素晴らしい環境に住んでいる皆さんたちなのだから。
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