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第56回『馬産地のお見合い』

2013.08.09
 先日、取材先の牧場主からいきなり、「お見合いしませんか?」と言われた。
 「いやあ、実は遅刻しそうになって時計を見ながら走っていると、同じく遅刻しそうになりながら、食パンをくわえて走ってきた女性と交差点の角でぶつかるという、運命の出会いを願っているのですが」なんて理由で断ると(嘘)、その牧場主は、「今度、日高町でお見合いの番組があるのですが、申込者が少ないと聞いていたので、良かったら参加してもらえないかと思っていたのですが...」と残念そうな表情を浮かべた。一瞬、「事情が変わった、続けて!」と話を戻そうとしたがそうもいかず、話を聞いてみると、TBS系列で放送されている「もてもてナインティナイン」の名物コーナーである「お見合い大作戦!」が、日高町でお見合いイベントを開催するのだという。

 これはコラムの格好のネタができたと、ロケ地となった門別競馬場に出向こうと思ったのだが、残念ながら取材は無理とのこと。どうしようかと思案していた際、捨てる神あれば拾う神ありとでもいうのか、とあるつてを辿って、なんと参加者の1人である某牧場関係者とコンタクトを取ることができた。以下、音声を加工したていでお読みください(笑)。

 「自分が参加した理由は、町の方から番組に出演する独身男性を募集していて、興味を持ったことにあります。最初は別にいいかなと思っていたのですが、あまりにも参加者が少ないと聞いて、会社からも「なら出てこい!」とはっぱをかけられることとなりました」

 この牧場関係者を含め、参加した男性は21名。これを多いと取るか少ないと取るかは個人の判断にゆだねるが、簡単なプロフィールなどを提出して会場である門別競馬場へと出向いたその牧場関係者が目にした光景は、ずらりと並ぶ女性たちだった。「65名の女性が参加されていたと聞きました。その人数にも驚きましたが、横に一列で並んだ際にはただただ圧倒されましたね」

 その後、「お見合い回転寿司」という名の65人の女性と1分間のフリートークや、女性が気になる男性の自宅を訪れる「お宅訪問」などを経て、次の日には「告白タイム」を迎えることとなる。

 この牧場関係者の恋の行方がどうなったかは、番組を見てもらうとして...と書きたいところなのだが、放送がなんとJBBANEWS発刊前の7月16日を予定。つまり、このコラムを皆さんがお読みになっている頃は、日高町にラブラブカップルが多数誕生?しているのかもしれない。

 実はこうしたお見合い番組は「お見合い大作戦!」の以前にも、同じTBS系で「沼島の春よふたたび お見合い大作戦!」という番組が作られており、しかも新ひだか町静内でロケをしたこともあるという。
 番組ではないものの、新ひだか町では「農村交流ツアー・農婚塾in新ひだか」という婚活ツアーも企画されており、またJA三石が主催している「オグリキャップの故郷レディースツアー」には、毎年の様に競馬好きの女性が足を運んでいる。
 今回の「お見合い大作戦!」ではTVの効果もあったとはいえ、やはり65名もの女性が日高町までやってきたということが驚きでもある。しかも先程の牧場関係者によると、女性の参加目的は婚活の他にも、「北海道に住みたい」という話も聞けたという。

 「BOKUJOB」の取材で、現在、牧場に勤務しているスタッフに話を聞いたことがあるが、就労の動機として聞かれた答えの1つに「北海道で働きたい」というものがあった。
 牧場の仕事は馬が好きでなければつとまらないが、その側面として北海道に住むという気持ちがあれば、より長く仕事が続けられるのかもしれない。

 そう考えると今回、日高町まで来てくれた女性たちは、馬産地にとって必要不可欠な人材だったとも言える。ただ、残念なことは番組の都合もあるのだろうが、男性の参加者が少なかったということ。牧場関係者も、「いい機会だと思いますし、今後、こうした企画があるのなら、もっと男性の申込者が増えて欲しいですね」と話している。自分も馬産地のため、ひいては今後の未来のためにも、「農村交流ツアー」に申し込もうかと思ったのだが、どうやら町外からの参加者は受け付けていない模様。

 やはり毎朝の通勤時間に交差点の辺りを走り回って、偶然の出会いを期待することとしよう(笑)。
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