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北海道馬産地ファイターズ

村本浩平 北海道馬産地ファイターズ

第117回 『ターフパーク』

 地下道がこれほどまでに魅力的な空間に変わっているとは思わなかった。イラストレーターの黒地秀行氏によって、両側の壁一面に書かれたウォールアートには、北海道内の名所と最後の直線が繋がれており、そこには札幌競馬場にゆかりのある勝負服が、200頭を超えるサラブレッドの馬上に描かれている。

 この勝負服は誰かな?と思ってしまうのは競馬ファンならではの視点かもしれないが、競馬場に初めて来られた方にも、その精密な描写は目に止まるだけでなく、何よりもこれまで暗いイメージがあった地下道が一気に明るくなったのは、馬場内エリアへ向かう抵抗感をかなり少なくしてくれたに違いない。

 いや、今年の開催から自分が向かっているのは馬場内エリアでは無く、「ターフパーク」だということを、目の前に広がる様々な施設を見て実感する。過去に馬場内エリアに来た記憶を忘れて、目の前に広がる景色だけを見ていたのなら、中央区のど真ん中にこんな公園があったのか、とも思えてくる。

 「高低差もあって、向こうまで見渡せないことが奥行きを作り出していますよね」と話しかけてくれたのは、札幌競馬場の植木聡場長。この日、札幌競馬場ではターフパーク竣工式典が行われていたのだが、見るもの全てが新鮮であり、自分も取材という名目で様々なスポットを散策していた。

 個人的にここで競馬が見たいと思えたのが、ターフパーク内のテラス席とも言える「セイテンスタンド」。札幌競馬場には「もいわテラス」というテラス席があるが、馬場内の高い位置から競馬を見渡せることで、より迫力のあるレース観戦もできるのではと思えた。

 このセイテンスタンドも含めて、「エルムテラス」「クイーンズテラス」「パビリオン」といった施設は、ダートコースとの距離が非常に近く、特にエルムテラスとコースまでの距離は25mしかない。地方の競馬場ではコースに程近い観戦施設はあるかもしれないが、JRAの競馬場で、ここまで近い距離で競馬観戦ができるのは札幌競馬場だけだろう。

 また、札幌競馬場ならではの光景となっていた感もある馬場内エリアに建てられていたテントだが、ターフパークのオープンにより、全エリアで使用が不可となった。その代わりの屋根付き施設となっているのが、エルムテラス、クイーンズテラス、パビリオンであり、また人工芝が敷き詰められた「はるにれドーム」には敷物を敷くことが可能。これまでテントを持ち込んでいたような家族連れにとっては、今後、この場所が競馬観戦のベースとなっていくに違いない。

 その他にも、ヒーローショーといった様々なイベントが行われる「ターフパークステージ」や、そのヒーローショーを見に来た子供たちが一日中楽しめそうな「グラビティレール」や、電動バギーに乗れる「ターフパークサーキット」などの遊具も充実。「じゃぶじゃぶ池」はその名の通りの人口の池であり、夏開催の暑い時期なら、足湯ならぬ「足池」もできるのでは無いかとも思えた。

 そんなことを考えながら場内を巡っていると、地域の小学生が遠足としてターフパークへとやってくる。引率していた男性の先生に話かけてみたところ、競馬場に来たのはこれが初めてだとの言葉が返ってくる。

 「競馬場の中にこれほどの施設があるとは思いませんでした。子供たちも連れてきやすい場所ですし、施設も綺麗なので、個人的にもまた、競馬場に来てみたいですね」と笑顔を見せていた。ターフパークには札幌競馬場が開幕後も、時間があれば様子を見に行っているが、地下道は常に行き交う人の列ができており、ターフパークの中ではファンの歓声に負けないほどに、子供たちの歓声も響いていた。

 本当に素晴らしい施設だと思えるからこそ、札幌競馬場にはこの施設を更にアピールしてもらえればと思うだけでなく、他の競馬場でも、馬場内エリアの活用法を再考すべきなのではと改めて思えた。その際、馬場内エリアを結ぶ地下道の演出は必要不可欠である。ウォールアートとまではいかなくとも、馬や牧場の写真を飾ったり、照明を明るくするなどの取り組みができれば、暗い場所に降りていくという抵抗感は薄れていくはずだ。

 このコラムが掲載されている頃は、札幌開催も残り少なくなっているが、競馬場の広さや緑の多さが新たな集客の武器となることを、ターフパークは再認識させてくれている。

 普段はスタンドで競馬を楽しまれている方も、今一度足を運んでいただきたいと思うだけでなく、札幌競馬場の関係者の皆さんも、せめて、外で競馬を見るのが辛くなるまでは、パークウインズとしてのイベントを絡めながら、ターフパークの更なる活用を図っていただければと思う。ここまで書いたからには、何なりとお手伝いさせていただきますので!