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第98回 『年度代表馬』

2017.02.17
 「NAR GRANDPRIX 2016」の季節がやってきた。引き続き今年も選考委員の末席に加えさせていただいた。1月5日、地方競馬全国協会に於いて、「NAR GRANDPRIX 2016」優秀馬選定委員会が開会された。
 2016年のダートグレード競走で、地方競馬所属馬は2勝。さきたま杯(JpnⅡ)のソルテ(大井)と、兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅡ)のローズジュレップ(北海道)の2頭。そして2着がのべ9頭、3着がのべ7頭。

 一方、地方競馬所属馬のJRAでの勝利は札幌2歳ステークス(GⅢ)に勝ったトラストの1勝。ダートでの勝ち星はなかった。

 例年通り、といえばその通りだが、今年は比較的楽な、と言えば語弊があるが、すんなり決まった部門が多かったように思う。その中でも、特に印象に残った部門を振り返りたい。

 2歳最優秀牡馬は兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅡ)に勝ったローズジュレップ、札幌2歳ステークス(GⅢ)に勝ったトラスト、北海道2歳優駿2着のヒガシウィルウィン等が候補に上がった。

 結果はローズジュレップが満票(12票)で選出された。対抗となりうるのはトラストだと思うが、いずれも遠征競馬だが、JpnⅡとGⅢ、ダートと芝の違いはあるが、ここまで一方的な結果になるとは思わなかった。ひとつには最優秀ターフ部門の存在があるからではないか。実際、筆者も「トラストは最優秀ターフで」という気持ちはあった。

 2歳最優秀牝馬はエーデルワイス賞(JpnⅢ)2着のアップトゥユーと同3着ビンクドッグウッドの争いに。この2頭は大晦日の東京2歳優駿牝馬で最後の直接対決をし、ピンクドッグウッドが勝った。ホッカイドウ競馬在籍時から勝ったり負けたりの関係で、本来なら直接対決はより格の高いレースで比較するべきだとは思うが、リエノテソーロ(USA)の後ろでの勝ち負けと、1、2着を争っての勝ち負けは、やはり違うということだろう。

 同様に3歳最優秀牡馬の部門も、名古屋のカツゲキキトキトと大井のバルダッサーレ、トロヴァオの3頭による採決で、カツゲキキトキトに。

 古馬相手の名古屋グランプリ(JpnⅡ)で3着したカツゲキキトキト。JpnⅠジャパンダートダービーで地方馬最先着となる4着のバルダッサーレ、そして地方競馬の有力3歳馬が揃ったダービーグランプリを制したトロヴァオ。

 前述の「直接対決は格の高いレースで」の法則からいえば、ジャパンダートダービー4着のバルダッサーレだが、今季は東京ダービーの1勝のみ。一方、カツゲキキトキトはジャパンダートダービーで6着も、今季地方競馬全国交流3勝を含む10勝を挙げている。最終的には挙手によりカツゲキキトキトが選定された。

 事前の調べで、今回もっとも議論が白熱すると予想された4歳以上最優秀牝馬部門。

 レディスプレリュード(JpnⅡ)2着のトーコーヴィーナス(園田)、JBCレディスクラシック(JpnⅠ)3着のトーセンセラヴィ(浦和)、マリーンカップ(JpnⅢ)2着、スパーキングレディーカップ(JpnⅢ)2着のブルーチッパー、クイーン賞(JpnⅢ)3着のタイムビヨンド。各委員の意見でトーコーヴィーナス、トーセンセラヴィ、ブルーチッパーの3頭に絞られる。トーセンセラヴィは牝馬戦唯一のJpnⅠ3着で、JBCレディスクラシックでは3頭目となる3着以内。一方で、トーコーヴィーナスのレディスプレリュード2着は、のちにJBCレディスクラシックを優勝したホワイトフーガと同着で、その内容を評価する声も。

 最終的には採決となり、トーコーヴィーナスが選定された

 レース内容のトーコーヴィーナス、JpnⅠ3着のトーセンセラヴィ、レーティング上位のブルーチッパー。この3頭の中でトーコーヴィーナスが票を集めた点は、やはりインパクトがあったかどうか、そういうことではないだろうか。

 今回印象に残った部門を振り返ったが、毎年のことではあるが、勝った馬で選びたいということ。2着、3着で甲乙を付けるのは、やはり何とも言えない寂しさが残る。

 ともあれ、各部門の受賞馬関係者の皆様、受賞おめでとうございます。また、各受賞者の皆様もおめでとうございます。今年も活躍されることを期待しています。
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