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第100回 『寒くない冬のナイター』

2017.04.17
 2009年1月号から連載をスタートして、今回100回目を迎えました。最初このお話を頂いた時は、それは驚いたものです。JBBA NEWSと言えば、日本軽種馬協会の機関誌で、生産に関する統計や、会議など各種報告、事業計画などひじょうに「高貴」なイメージなわけです。そのようなところに、連載のオファー。自分が?正直悩みました。毎日眠れませんでした。
 うそです(笑)ふたつ返事でお受けしました。

 とはいえ、前年までに連載されていたコラムは、吉川良さんや櫻木半治さん、武市銀治郎さん、有吉正徳さん等々の顔ぶれ。正直なところ、そこに入ることのプレッシャーは若干ありました。文章を書くということは、調べたことも含めて自分の頭の中を切り売りすることなわけで。ならば変に構えずに自分らしさを全開にしていこうと、思った次第であります。そこから100回目を迎えることになるとは、当時想像もしませんでした。

 この8年間、東日本大震災や、PATでの地方競馬発売、海外競馬発売、地方競馬の施設でのJRA発売など競馬を取り巻く環境には大きな変化がありました。また、自身の環境も年々変わっていきました。小学生だった子供も、いつの間にか高校生になり、いつの間にかスマホで親の原稿を検索するように。

 そんな中これまで駄文にお付き合い下さり、ありがとうございました。今後ともお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

 さて、3月13日、船橋競馬から今年もナイター競馬が始まりました。昨年までは大井と川崎が3月にナイター競馬をスタートさせていましたが、今年と来年は船橋競馬だけが3月スタート。

 3月のナイター競馬は10℃を切る気温で行われるだけに、さすがに「寒い」と感じる。しかし数字では2015年大井のナイター開幕は、
 3月16日 3,092人 8億8,231万4,470円
 3月17日 4,251人 9億9,589万5,990円
 3月18日 5,929人 12億5,662万1,630円
 3月19日 3,163人 9億1,618万5,560円
 3月20日 4,576人 9億8,969万 640円
さらに2016年は、
 3月14日 2,224人 8億8,989万2,710円
 3月15日 4,254人 11億 536万6,620円
 3月16日 6,026人 14億5,480万1,900円
 3月17日 4,186人 11億2,440万2,700円
 3月18日 4,510人 10億3,225万9,140円

 であり、いずれも2月の昼開催に比べ入場、売上ともにアップし、さらに2016年は数字を伸ばしている。だから逆になぜ今年ナイター競馬をやらないのか不思議でならない。知り合いの職員に聞いてみても、はっきりとした答えは返って来ない。

 確かに寒いことは寒いのだが、1月の日中の気温と、3月の夜の気温を気象庁の過去の気象データ検索で調べると、それほど大差はない。競馬関係者なら実感としてわかると思うが、1日で最も寒い時間は、日の出の直前。ちょうど調教の時間が一番寒く、ナイター競馬の時間帯はむしろ1日でも暖かい方である。

 まあ、それでも寒いものは寒いのだけれど、今売り上げが伸びている時だけに、場内外で新聞を売っている出入り業者としては、やれることはやって欲しいという思いが強いのである。

 開催数で16開催→15開催の1開催減は、新聞の売上に対する影響は結構大きい。
 参考までに今年の船橋競馬ナイター開幕は、
 3月13日 2,100人 8億2,630万7,460円
 3月14日 1,854人 9億 701万 420円
 3月15日 3,354人 15億 406万8,270円
 3月16日 2,193人 8億9,826万8,840円
 3月17日 2,177人 8億2,380万1,100円

 2016年との比較で、入場106%、売上117%の伸びを見せている。

 元々場外比率が高く、また大井、川崎に比べ立地面で都心から仕事終わりの会社員を集めにくい船橋競馬で、特に本場入場で6%の伸びをみせていることは、やはりナイター競馬には一定の集客効果があることの証明に他ならない。

 一時は通年ナイターを検討していた主催者もあったが、震災以降そういう話は全く聞かなくなった。好成績の高知ぐらいの気候であれば通年ナイターも可能だろうが、青森出身の筆者ですら関東の冬は寒いと感じる(風が冷たい)だけに、さすがに通年はほぼ望み薄だろう。

 乗っている人は寒くて大変だろうが、売り上げ的には冬のナイターは「寒くない」。
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