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第102回 『南関クラシックに異変アリ?』

2017.06.12
 5月10日。南関東牡馬クラシック第一冠の羽田盃が行われ、JRAから転入初戦となるキャプテンキングが制した。
 レースは1番人気のキャプテンキングが好スタートからハナを奪う。直後をピッタリマークする2番人気のヒガシウィルウィン。イケノアサ、ミサイルマンと続き、内ラチ沿いにクラキングスといった流れ。1000メートルは64秒1のスローペース。

 勝負どころで中団にいたキャンドルグラスやカンムルが動き、イケノアサは後退していく。ヒガシウィルウィンも追い出し、逃げるキャプテンキングに並びかけようとするが、矢野騎手は手綱を持ったままで直線に向くと、一気にスパート。2頭が3番手以下をグングン引き離していくが、ヒガシウィルウィンはなかなか並ぶことが出来ず、逆にキャプテンキングが半馬身離したところがゴールだった。

 勝ちタイム1分54秒4は、羽田盃としては平凡ではあるが、追ったのが実質直線だけだった事を考えれば、まだまだ詰まると思われるし、内容的には完勝と言っていいだろう。

 転入初戦で羽田盃を制したのは2002年のプリンシパルリバー(道営→大井)以来2頭目。JRAからの転入初戦は初となるが、クラシックでは昨年の東京ダービー馬バルダッサーレの例があり、いずれもJRA2勝馬である。

 転入初戦の馬がクラシックを制すること自体は、ここ数年の流れからあって不思議でもないので、特に異変ということもない。

 この開催は、ゴールデンウイークの変則日程で行われた。船橋競馬が5月1~5日の5日間行われ、さらに5月2、3日は昼=船橋競馬、夜=大井競馬のダブル開催。大井競馬は翌週の8~12日にも連続で開催され、2、3日の開催とは一括で開催登録を受け付けていた。

 羽田盃は5月10日に行われたが、その6日前の5月4日には、3歳の東京湾カップが船橋競馬で組まれていた。同じような条件のレースが近い日程で組まれることは、南関東の競馬ではよくある事で、それ自体は珍しいことではないが、東京湾カップの出走投票日時点で、東京湾カップ14頭に対し、羽田盃の想定はなんと7頭!しかも、東京湾カップのボーダーが番組賞金800万円に対し、その時点で羽田盃のボーダーは300万円を切っていた。これはまさに珍事である。

 そもそも予備登録の段階で両レースの予備登録馬が重複していて、東京湾カップが6年ぶりに1着賞金1,500万円に増額(復活)したことも、おそらく「東京湾カップ人気」に拍車を掛けたのではないかと思う。

 東京ダービーはフルゲート16頭中、9頭(羽田盃1~5着馬、クラシックTR1着馬、東京湾カップ1~2着馬、東京ダービーTR1着馬)が優先出走で枠が埋まる。このままだと権利獲得が5/7となり、東京ダービーTRの1/14(その時点での出走予定馬)に比べ、明らかにお得であった。そして東京湾カップで権利獲得を狙った人気馬が敗れ、色々な意味で波乱となった。

 結果、羽田盃は東京湾カップからの連闘馬が4頭、東京ダービーTRからの移動もあり、無事?14頭で行われることとなった。結果は冒頭の通りだが、連闘、移動勢からの権利獲得は1頭に留まった。

 東京ダービーのボーダーは例年900~1,100万円だが、年によって上下し読みづらい。今年はヒガシウィルウィンがニューイヤーカップと京浜盃を制し、クラウンカップを制したローズジュレップは故障。羽田盃が転入初戦のキャプテンキングで、ボーダーが若干下がるのではないかと予想している。

 それは脇に置くとしても、羽田盃の(当初)少頭数は何だったのか。「(有力馬がいて)取れそうもない3,500万円より取れそうな1,500万円」なのか?あるいは近年増えた「優先出走権の付与」が実態に即していないのか?似たような条件のレースが近接していることも含め、見直し、というか、精査する必要がありそうだ。

 ゴールデンウィーク、そしてネット発売隆盛で、東京湾カップ、羽田盃ともに売上好調であった。「頭数も揃ったし、売れたし、だったらまあいいか!」でもいいのだが、限られた馬資源を有効に活用出来るよう日程は調整するべきだろう。

 何より、クラシックの羽田盃は本来目標であるべきなのに、と思うのだが。
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