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第107回 『不人気業種?』

2017.11.24
 今年も毎年恒例、採用活動の季節がやってきた。毎年のように変わる採用日程だが、今年は3月からエントリー並びに企業説明会、6月から試験、面接が始まり、早ければ7月には内々定が出される「短期決戦型」のスケジュールである。
 であるのだけれど、昨年はシステム移行、今年はなんとなく忙しくて、結局例年同様の日程となってしまった。ここ数年に入社した若者に聞くと「遅いっすよ!」と言われるのだが、だって、春は忙しいんだからしょうがないじゃない、と言い訳しつつ、安定の通常営業であった。

 好景気(実感はない)や人手不足(実感ありあり)を背景に、相変わらず「売り手市場」の中、我々中小零細企業にとっては厳しい状況であることには変わりない。採用のあるなしにかかわらず、世代のバランスや先々の構成を考えれば、定期的に採用活動を行う必要がある。抜けた世代を中途採用で埋める手もあるが、システムなど業務系はともかく、編集系はなかなか経験者を得る機会はないだけに、やはり定期採用は必要だろう。

 昨年まではなんとか応募者を集めようとネットエントリーなどを駆使してきた。やはり優秀な人材を確保したいのなら、数多くの応募者に会うのが王道だからだ。しかし、昨今の就活の傾向なのか「面白そうなのでエントリーしたけど、面倒くさくなったのでドタキャン」みたいな事も多い。元々この業界自体「面白そうだから~」の対象になりやすいのだが、せっかくネットを使って効率化しようと思ったのに、かえって面倒が増えてしまった。就職情報会社の営業さんとお話しても、やはり「ドタキャン」はクライアントさんから最も多く寄せられる苦情だという。

 さらにこの業界特有の現象として、その週の競馬で外れた腹いせに「いたずらエントリー」するという、ひじょうに迷惑な行為が相次いだ。そのためエントリーの確認がなかなか出来ずに、かえって手間がかかるという事態を招いてしまった。それはエントリーのシステムに電話番号認証でも入れておけば大体防げるのではあるが、相変わらず予算規模も小さく、人事・採用の専従従業員(手下)もいないので、その点においても安定の通常営業である。

 もうひとつ。エントリーページに仕掛けておいたアクセス解析を見ると、リーチしたい25歳未満は全体の18%で、欲しい世代に的確にはリーチ出来ていなかった。結局、あのやり方ではそもそも効率が悪かったのである。

 今年は昨年までの反省も踏まえて、思い切って「昔の方式」に戻した。募集告知は新聞とホームページのみ。会社説明会の受付は電話のみ。

 結果、いたずらは皆無となったが、応募者も大きく減らした。8月末時点の内定率が昨年を3.8ポイント上回る82.7%。ほぼほぼ就活市場が終了している9月からの募集では、この結果も致し方ないだろう。

 救いは「この業界に入りたい!」という強い意志を持った若者が今年もいたこと。応募者の数を聞いた他の社員が「大丈夫なのか?」と心配していたが、なんだかんだ言って1,000人来ようが、ひとりしか来なかろうが、採用の基準は変わらないので、あとはそれをクリアできるか出来ないか、それだけであるから、全く問題ないのである。もしかしたらそう思っているのは自分だけかもしれないのだが、それでいいのである。

 さて、今年の傾向としては「究極の売り手市場」の影響か、応募者ひとりあたりのエントリー数が40社と平均で5社以上減らしている。それだけ内定が得られやすい状況なのである。一方で新聞業界は敬遠される傾向にある。我々のような中小零細だけでなく、現場で会う大手一般紙の記者さんからも同様の傾向があると聞いた。

 ネットで無料で記事が読める時代であるから、「いずれ新聞はなくなる」と思われているのがその原因のひとつであるが、結局はネット事業者が新聞社に情報料を支払って、アクセスによって広告費を得ている構造になっているだけであって、無料で記事が読めるから新聞社が無くなる、というわけではない。しかし、それが採用活動に大きな影響を与えることは間違いない。要は学生さんに向けてのイメージが大事なのである。

 今のところ会社説明会の全日程を終えた段階ではあるが、少ないながらも試験次第ではあるが、そこをクリア出来れば楽しみな学生さんが揃っているから、応募者が少ない事はそう悲観するものでもなさそうだ。

 これから担当者による試験作成だが、どんな問題を作ってくるのか楽しみだ。
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