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第117回 『夏の偉業』

2018.09.25
 8月12日、大井競馬第5レースを的場文男騎手騎乗が1番人気のシルヴェーヌで勝ち、佐々木竹見元騎手が持つ地方競馬通算7,151勝を超える、7,152勝を達成。勝利数の日本新記録を樹立した。1973年のデビューから45年、61歳での記録更新である。
 「佐賀、浦和とファンの皆様には大変お待たせして申し訳ありませんでした。1勝するのがこんなに苦しいとは思わなかったです。でも大井で達成できて本当に良かった」と的場騎手。

 ファンに向けてひと言を促されると「今日は暑い中ありがとうございました。7,152勝という新しい記録を皆さんの前で達成できて、喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。大井競馬は永遠に不滅です、これからもよろしくお願いします!」と沢山のファンの声援に応えた。

 当日大井競馬場に来場したファンは16,057名(最終)。既にお盆休みに突入した日曜日。中央競馬や高校野球も開催中であったが、そのほとんどが新記録達成の瞬間を目撃したいファンで、第1レースから場内は大歓声が沸き起こっていた。

 で、筆者はどうしていたかというと、お盆の大井競馬6日開催の出馬の最中で、大井競馬3日目の出馬と、重賞・黒潮盃の当日版の準備で、会社にてテレビ観戦していた。

 当日の場内の盛り上がりはテレビを通しても伝わっていて、特に記録更新となった第5レースは、的場騎手が好スタートを決めただけで大歓声。さらにゴールドウィッシュの和田騎手が競り掛けに行くと大歓声。さらに4コーナーをこの2頭が引き離して回って大歓声。さらに実況の大川充夫アナの実況にも熱が入って、歓声と合わせてなんだかよく聞こえない状態。

 ゴールドウィッシュの手応えが悪くなり単独先頭となると、編集部内でも「ああ、決まったな」という声。画面越しで静か~に見守ったその瞬間であったが、1コーナー過ぎで2着ヤマショウバトルの西騎手が的場騎手に手を差し伸べたのに無視したシーンが映ると思わず大爆笑と、恐らく現場とは異なるところで盛り上がりをみせた。

 ひとまずこの場を借りて。的場文男騎手7,152勝の新記録達成おめでとうございます。また、的場騎手を支えたご家族の皆様、厩舎関係者の皆様も、おめでとうございます。

 また、密着取材の皆様、お疲れ様でした。

 この日はフランスのドーヴィル競馬場で行われたジャックルマロワ賞(GⅠ)の発売をJRAインターネット投票で発売する関係で、予定では第5レースで終了する発売が全レース発売されたため、日曜日としては破格の9億6,322万7,670円(SPAT4-LOTO含む)の売上となった。

 今年のお盆開催は連日の10億円超えで、黒潮盃当日は18億2,134万2,580円の売上。入場も初日から4日目まで1万人超えと連日賑わった。

 他地区でも14日の佐賀競馬で行われたサマーチャンピオン(JpnⅢ)はレース単体3億6,215万700円、サマーチャンピオン当日1日も6億6,668万9,500円といずれもレコードを更新。16日に門別競馬場で行われたブリーダーズゴールドカップ(JpnⅢ)もこれまでのレコードを約1億4,000万円更新する4億8,223万7,500円のレコード。1日も9億3,950万6,590円でブリーダーズゴールドカップ当日のレコード更新となった。

 15日の黒潮盃当日、筆者はオフト新潟にいたのだが、こちらも当日は1,000人を超える入場者で盛り上がっていた。

 このところ地方競馬は各地で前年を超える売上を記録しているが、南関東の、特にこの1か月は的場文男騎手の勝利記録更新で盛り上がっていて、人気になりそうもない馬でも1番人気に推されることも多かった。若手騎手も的場騎手の記録を阻止するかのごとく積極的に競り掛けて行くことも多く、人気薄で決着すれば高配当になることも度々だった。そういった面では馬券ファンを引きつける要素にもなっていたのかもしれない。

 売上活況のこの流れはまだまだ続きそうでなによりだが、大井競馬場では8月28日に「的場DAY」を開催する。この号が出た頃は既に終わっているのだが、「マトT」(7152と書いた赤いTシャツ)を7,152名に配布して、場内を赤く染めるらしい。馬主服の中央競馬では難しい、地方競馬ならではの企画だけに、盛り上がって欲しい。

 地方競馬通算最多勝利記録を更新した的場文男騎手。今後の目標は?の問いに、やはり東京ダービー制覇とのこと。還暦を過ぎてなお盛んな61歳。今後のさらなる活躍を期待したい。
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