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第11回 新しい居場所。会いに行ける場所にいるのなら会いに行こう。

2015.10.26
 今回は、南関東競馬から離れて、乗馬クラブでのお話を中心に綴っていくことにしましょう。
 会いたいと思いつつ競走馬を引退して1年。現在は乗馬として第2の馬生を送っている元愛馬・レインスティック(父サクラバクシンオー 美浦・勢司和浩厩舎 38戦6勝)に、ようやく会いに行くことができました。

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 出かけた先は茨城県牛久市にあるホースガーデン。美浦トレーニングセンター近郊に位置し、周囲には育成牧場も点在する、木々の緑も豊かでとても静かな環境です。それはまるで海外の森のよう。

 今回案内してくださったのは、ホースガーデンのディレクターで獣医師の中倉優子さん。十数年前にここを開業し、レインスティックのような元競走馬を始め、乗馬用として生産育成された馬たちなどを管理しています。

 印象的だったのは、どの馬たちからもHAPPYオーラが出ていること。中倉さんに案内していただいて馬房の前に立つと、どの馬も「こんにちはー」「はじめましてー」というように、やさしくおだやかな表情をして迎えてくれるのです。それは本当に'会話'を交わしているような気がするほど。そういった仕草からも、スタッフの皆さんが日頃どんな風に馬たちと向き合っているのかが伝わってくるようにも思います。
 
 パドックではいつも気持ちを前に向け、尻尾をきゅっと少しだけ上げて歩いていたレインスティックも、差し出した手をペロペロと舐めながら、微笑むような眼差しで向き合ってくれました。そんな様子を前に、幸せが顔に出ているなぁ・・・、としみじみ。

 「乗馬として生産される馬はそういう血統なので、生まれながらにしての乗馬の素質がありますが、競走馬は、前へ前へ行くことを教えられ、そのために生産育成された馬。レインスティックはまだ乗馬初心者は乗せることはできませんが、真面目に練習に励んでいますよ。『僕が僕が』というタイプではなく、地味で真面目な仔です。レインスティックと同じく勢司厩舎からやって来た馬も何頭かいますが、どの馬もきちんとしつけられている印象ですね」と中倉さん。馬について語るその口調からは、ただ優しいだけではない、芯の通った強いあたたかさが伝わってくるようでした。

 ホースガーデンにはこの他、元競走馬で1997年生まれの大ベテラン、チアズシャウト(父ティンバーカントリー)や、この秋まで現役だった3歳馬アンティキティラ(父ゼンノロブロイ)、同じく3歳のアフリカーナ(父ヨハネスブルグ)の姿も。南関東に所属経験のある馬ではオオトリオウジャ(9歳 父ゴールドアリュール)も在厩しています。

 写真のアフリカーナは、曾祖母に名牝ゴールデンサッシュがいる良血馬。競走馬としてのデビューは叶いませんでしたが「乗馬の素質もありそうでとっても良い馬ですよ」と中倉さん。新しいステージでの活躍が楽しみな存在です。

 JRAで38戦、いつも真面目にきゅっとした表情でレースに臨んでいたレインスティック。あの姿を観ながら、応援しているつもりが、実は'応援されていた'のかも知れないと思うことがあります。彼を思い出すたびに、心に力が湧いてくるような・・・。きっとそれは、皆さんの周りにいる馬たちも同じように。

 今回、こうして近況を伝えることで、レインスティックの頑張りと彼に携わった皆さんへの恩返しに少しはなったかな・・・なんて思ってみたりして。そうそう、10月17、18日に行われた競技会の初級クラスで、レインスティックが見事優勝したこともお伝えしておきましょう。

 新しい居場所を与えられた元競走馬。彼、彼女たちが、会いに行ける場所にいるのなら会いに行こう。今回、ホースガーデンにお邪魔して、改めてそんなことも思いました。ホースガーデンの皆さん、お忙しいところありがとうございました。

 さて、11月3日(火)は大井でJBCが開催されます。新スタンドG-FRONTもグランドオープン!これからクライマックスを迎える南関東競馬のダート戦線にもご注目くださいね。
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