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第24回 地方も中央も。注目の3歳馬たち。

2016.11.28
 あたたかだったり急に寒くなったりと、天候の変化が激しかった11月。浦和開催4日目の11月24日には、東京で観測史上初となる積雪があり、首都圏にある浦和競馬場も雪景色となりました。
 思えば、その2日前、ポカポカ陽気の下で行われた浦和記念(JpnII)のパドックには、ふわりふわりと白い虫がたくさん浮遊し、晩秋のあたたかい陽ざしの中で、どことなく幻想的な風景を作り出していました。あれは雪虫だったのですね!「雪虫は雪が降る合図」だそうですが、まさにその2日後に積雪するなんて、自然の摂理ってすごい!

 その浦和記念(JpnII)で勝ったのは、10月4日に行われた白山大賞典(JpnIII)からの重賞2連勝となったケイティブレイブ(父アドマイヤマックス JRA目野哲也厩舎)でした。最軽量での出走とはいえ、最後は後続を突き放す余裕たっぷりの走りを見せ、4馬身差での快勝。勝利にエスコートした武豊騎手はこの勝利が地方交流重賞通算100勝目で、史上初の快挙達成となる記念すべきレースにもなりました。

 第24回 地方も中央も。注目の3歳馬たち。の画像 「馬の状態も良かったので期待して臨みました。スタートが上手な馬なので、他の馬が行かなければ先手でと思っていましたが、1頭前に行ったので2番手で行きました。落ち着いて走っていましたね。小回りなので、待つよりも先に動いて行こうと思っていました。4コーナーでも勢いが良かったので押し切れるかなと思いましたよ。今日は久しぶりに浦和で勝てて嬉しいです!」(武豊騎手)

 武豊騎手がダートグレード競走で最も多く優勝を共にした馬はスマートファルコンで、勝ち星は9勝。ケイティブレイブの走りに、スマートファルコンの姿を重ねた皆さんも少なくなかったのではないでしょうか。表彰式で武豊騎手に送られた声援と拍手は、いつも以上に大きなものでした。

 「良く走ってくれましたね。僕は調教をしているだけ」と管理する目野哲也調教師。「調教も走るけど、競馬に来て走る優等生な馬ですね。まだ3歳ですし、このまま馬の様子を見ながら進めていきたいですね。上の馬とレースをした時にどういう走りをするかということになりますが、この馬は本当に大した馬ですよ。精神的にもっと成長すると思いますが、普段はびっくりするほど大人しいです。僕自身、以前、ここ(浦和)で重賞を勝ったことがありますが、その時の馬とはまた違うタイプ。こういう馬は今までいませんでしたね」とのこと。

 過去には、ニホンピロジュピタでマイルチャンピオンシップ南部杯を、ニホンピロサートでさきたま杯や、兵庫ゴールドトロフィーを制している師だけに、ケイティブレイブの今後にも夢が膨らみます。

 一方、南関東の3歳馬といえば、11月21日に水沢競馬場で行われたダービーグランプリを制したトロヴァオ(父カネヒキリ 大井・荒山勝徳厩舎)の存在も気になるところです。東京ダービー(SI)で4着となった時、「レースは馬が生まれた時からここに来るまでの'バトン'を受け取る場所。それを忘れちゃいけない。レースはそのバトンを繋ぐ最後の場所ですから」と悔しさを滲ませていた荒山調教師。トロヴァオの能力の高さをわかっているからこそ、力を発揮できずに終わった一生に一度の大舞台での結果を、誰よりも無念に思っていたのでしょう。

 今回のダービーグランプリ出走は「なんとしてもトロヴァオをダービー馬にしてあげたい」という荒山調教師の熱い思いが込められたレースでもありました。

 トロヴァオの父カネヒキリは今年の春に不慮の事故で亡くなりましたが、'バトン'を受け継いだ息子が、父も制したダービーグランプリで父子制覇を達成したというのも感慨深いものがありますね。

 12月になると、レースを待つ間の凛とした空気に「冬」を感じることも多々。業務エリアのマスコミ仲間の間で、防寒用に貼っているカイロの数が話題になるのもこの頃からです。同じくして、競馬場内はフィナーレのキラメキいっぱいの雰囲気に。残り1ヵ月となった2016年の競馬も、最後まで楽しんでいきましょう!
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