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第24回 フジキセキ産駒1000勝

2010.03.01
 2月7日,東京競馬第5レースで1番人気のハングリージャックが優勝した。5ヵ月ぶりの実戦となったハングリージャックだったが,蛯名正義騎手の手綱に応え,危なげなく勝った。この勝利は中央競馬におけるフジキセキ産駒の通算1000勝目だった。この時点でフジキセキの1000勝はJRAの種牡馬別勝利数で第11位となった。歴代1位からを順に並べると次のようになる。
 ①※サンデーサイレンス(USA)2749,②ノーザンテースト(CAN)1757,③※ブライアンズタイム(USA)1442,④ライジングフレーム(IRE)1379,⑤パーソロン(IRE)1272,⑥ヒンドスタン(IRE)1258,⑦トサミドリ1135,⑧ネヴァービート(GB)1064,⑨トニービン(IRE)1054,⑩チャイナロック(GB)1012,⑪※フジキセキ1000(※は産駒が現役で勝利数が増える可能性がある種牡馬)
フジキセキは1992年4月15日,千歳市の社台ファームで生まれた。父サンデーサイレンス,母ミルレーサー(USA)という血統。名種牡馬サンデーサイレンスの初年度産駒の1頭だった。栗東・渡辺栄調教師に育てられ,94年8月,新潟競馬場でデビューした。2着シェルクイーンに8馬身差をつける大楽勝。「クラシック候補」の声がかかった。

 2戦目は10月のもみじS。フジキセキは単勝1.2倍の大本命になった。レースは好位から抜け出し,後のダービー馬タヤスツヨシに1馬身あまりの差をつけて快勝した。3戦目に選んだのが,12月に中山競馬場であった朝日杯3歳S(現朝日杯フューチュリティステークス)だった。無傷の2連勝と勢いづくフジキセキは同じく2連勝のスキーキャプテンを抑えて単勝1.5倍の1番人気に支持された。最後の直線で早めに先頭に立ったフジキセキはスキーキャプテン(USA)の追い込みをクビ差しりぞけ,無傷の3連勝でGⅠタイトルを手にした。

 95年の年明け初戦は3月の弥生賞。皐月賞と同じ舞台の中山競馬場,芝2000メートルで余裕の勝利を挙げた。ところが,フジキセキの運命は暗転する。弥生賞から2週間あまり後に,左前屈腱炎を発症。クラシック第1弾の皐月賞を間近にしながら,無念の引退を余儀なくされた。

 急な引退だったが,生産地の反応は良く,1年目から118頭に種付けした。産駒は98年に走り始めた。中央競馬での初勝利は7月11日の函館競馬場。ノボマーチャンが新馬戦を快勝した。重賞初制覇は2000年1月のシンザン記念。ダイタクリーヴァがもたらした。初のGⅠ制覇は05年11月のジャパンカップダートだった。カネヒキリが1番人気に応えた。

 現在までに中央競馬のGⅠ制覇はカネヒキリ(JCダート2勝,フェブラリーS),コイウタ(ヴィクトリアマイル),ファイングレイン(高松宮記念),エイジアンウインズ(ヴィクトリアマイル)と6勝を数える。まだクラシック制覇はないが,06,08年には中央競馬のリーディングサイアー争いで2位に健闘している。またシャトル種牡馬としてオーストラリアで種付けした中からサンクラシーク(牝,ドバイシーマクラシック)という強豪も生み出した。

 フジキセキが1000勝を達成した3日後の2月10日,JRAは今年の新規騎手・調教師免許試験合格者を発表した。新調教師9人の中に角田晃一騎手の名前があった。ジャングルポケットでダービーを制した39歳のベテランだ。

 この3月から調教師となる角田騎手が合格記者会見の席で思い出の馬として挙げたのが,現役時代に主戦を務めていたフジキセキだった。「これからという時に故障し,ショックだった。その経験があったからダービーなどの大レースに勝てた」と話した。角田騎手はトウショウアンドレの中日新聞杯などフジキセキ産駒で計18勝を挙げている。今度は調教師としてフジキセキとの付き合いが始まる。

JBBA NEWS 2010年3月号より転載

※連載終了について
2年間24回にわたり好評をいただきました「第5コーナー〜競馬余話〜」は今月号をもって終了いたします。
ご愛読ありがとうございました。

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