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第48回 「固め打ち」

2015.03.13
 2月1日、種牡馬キングカメハメハが、産駒が1日で11勝するという中央競馬の新記録を達成した。従来の記録はサンデーサイレンス(USA)が1999年6月12日に記録した1日9勝だった。
 記録達成の日、最初の勝ち星は京都競馬場の第2レースだった。3歳未勝利戦(ダート1800㍍)でトップディーヴォ(四位洋文騎手)が優勝した。2勝目も京都。第4レースの3歳500万下(ダート1800㍍)で白毛のブチコ(岩田康誠騎手)が快勝した。その後の優勝レースを列挙する。

 京都5R、3歳新馬(芝2000㍍)オメガゴールドレイ(岩田騎手)。京都6R、3歳500万下(芝1400㍍)ヤマカツエース(池添謙一騎手)。京都7R、4歳上500万下(ダート1800㍍)トゥザレジェンド(川田将雅騎手)。東京7R、4歳上500万下(ダート1600㍍)ラストダンサー(横山典弘騎手)。東京8R、4歳上500万下(芝1600㍍)トーキングドラム(ベリー騎手)。京都9R、稲荷特別(4歳上1000万下、芝2000㍍)キングストーン(岩田騎手)。東京9R、セントポーリア賞(3歳500万下、芝1800㍍)ドゥラメンテ(石橋脩騎手)。京都10R、松籟S(4歳上1600万下、芝2400㍍)アドマイヤスピカ(岩田騎手)。そして最後は東京12R、4歳上1000万下(ダート2100㍍)ロワジャルダン(C・デムーロ騎手)だった。

 京都競馬場での1日7勝は、これまたサンデーサイレンスが持っていた1日6勝(2000年4月2日阪神競馬場)を更新する新記録だった。キングカメハメハはこの日行われた東京と京都の全24レースのうち17レースに28頭の産駒を送り込んでいた。芝で6勝、ダートで5勝。距離も1400~2400㍍まで幅広い。オールマイティーなキングカメハメハらしい記録となった。岩田騎手とのコンビで4勝したのも目立ったし、1番人気になった6頭がすべて優勝したのも特筆される内容だった。

 この日の活躍が効き、2月23日現在、中央競馬ではキングカメハメハが種牡馬ランキング1位の座にある。ここまで236頭が365戦し、このうち43頭が46勝を挙げ、獲得賞金は8億1,883万6,000円にのぼる。2位のディープインパクトは216頭が314戦し、25頭が27勝。賞金は7億4,167万5,000円で、その差は7千万円あまりだ。重賞レースでもキングカメハメハはラブリーデイ(中山金杯、京都記念)、ケイアイエレガント(京都牝馬S)が計3勝を挙げ、2勝(東京新聞杯=ヴァンセンヌ、共同通信杯=リアルスティール)のディープインパクトを抑えている。

 キングカメハメハの幸運はサンデーサイレンスと出会えたことだろう。正確に言えばサンデーサイレンスを父に持つ牝馬との出会いだ。

 中央競馬の重賞勝ち馬27頭のうち9頭がこの組み合わせから誕生している。ローズキングダム、トゥザグローリー、ミッキードリーム、ソリタリーキング、コディーノ、アドマイヤロイヤル、ベルシャザール、トゥザワールド、ディアデラマドレ。またサンデーサイレンス系であるダンスインザダーク、スペシャルウィーク牝馬との間からもショウリュウムーン、タガノグランパ、ラブリーデイという重賞勝ち馬を生んでいる。

 現3歳にドゥラメンテ(牡)という逸材が現れた。昨年10月にデビュー戦で2着になると、続く未勝利戦で2着に6馬身差をつける圧勝で初白星を飾った。年明け初戦のセントポーリア賞はキングカメハメハ産駒が大爆発した2月1日に行われ、5馬身差の大勝を果たした。その後初めて挑んだ重賞の共同通信杯でも一度は先頭に立つ内容で2着を確保した。

 母はエリザベス女王杯を2連覇したアドマイヤグルーヴ、祖母は天皇賞馬エアグルーヴという超のつく良血馬だ。キングカメハメハは初年度産駒のアパパネが桜花賞、オークス、秋華賞の「牝馬3冠」に輝いているが、過去6世代が挑んだ皐月賞、ダービー、菊花賞の3冠レースでまだ1勝も挙げていない。そろそろ孝行息子が現れてもおかしくない。
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