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第62回 「3強」

2016.05.19
 今年のクラシックレース開幕戦、第76回桜花賞は「3強の争い」といわれていた。
 1番人気はここまで5戦4勝のメジャーエンブレム。オッズは1.5倍だった。2番人気は3戦3勝のシンハライト。前哨戦のチューリップ賞を制して桜花賞に臨んでいた。単勝オッズは4.9倍だった。そして単勝オッズ5.0倍の3番人気はジュエラーだった。チューリップ賞ではシンハライトとハナ差の勝負を演じ、2着になって優先出走権を獲得していた。

 結果は3番人気のジュエラーが優勝、2番人気のシンハライトが続き、1番人気のメジャーエンブレムは4着に終わった。3強が並び立つことはなかった。

 1週間後に行われた第76回皐月賞もまた3強対決になった。

 1番人気に支持されたのは3戦全勝のきさらぎ賞馬サトノダイヤモンドで単勝オッズは2.7倍。2番人気はリオンディーズ。昨年の朝日杯フューチュリティSを制して2歳王者に輝いた。オッズは2.8倍だった。3番人気はマカヒキ。3戦3勝の弥生賞優勝馬でオッズは3.7倍だった。

 こちらも3強は並び立たず、8番人気のディーマジェスティが優勝し、マカヒキが2着、サトノダイヤモンドが3着。リオンディーズは4位で入線したが5位入線のエアスピネルの走行を妨害したとして5着に降着となった。

 桜花賞と皐月賞。「3強対決」とひとくくりにしたが、それぞれを分析してみるとその中身は違う。

 桜花賞では1番人気のメジャーエンブレムの単勝支持率は52.7%にも達した。2番人気のシンハライトは16.2%、3番人気のジュエラーは15.8%の支持率だった。3頭の単勝支持率を合計すれば80%を超えるが、実質は「3強」ではなく、メジャーエンブレム1強プラス2強という構図だった。

 その点、皐月賞は「3強」と呼ぶにふさわしい人気の分布を見せていた。単勝支持率はサトノダイヤモンドが29.1%、リオンディーズが28.1%、マカヒキが21.3%だった。

 1990年以降のJRAで3番人気の単勝オッズが3.9倍以下になるような平地のGⅠレースは今年の皐月賞まで6レースを数えた。古い順に列挙すると1997年宝塚記念、2002年天皇賞・春、2007年秋華賞、2013年宝塚記念、2015年チャンピオンズC、そして今年の皐月賞となる。

 このうち人気の上位3頭がレースでも上位を独占したのは、わずかに1回だけだ。2002年の天皇賞・春は2番人気(単勝オッズ290円)のマンハッタンカフェが優勝し、3番人気(同350円)のジャングルポケットが2着、1番人気(同270円)のナリタトップロードが3着という結果になった。当時はまだ3連複の発売がされていなかった。複勝は1着から順に120円、110円、100円という払い戻しだった。

 調査の対象をGⅡにまで広げたところ、「究極の3強対決」が見つかった。2000年3月19日に阪神競馬場で行われた第48回阪神大賞典である。

 優勝は1番人気(単勝オッズ200円)のテイエムオペラオーで、2着は2番人気(同260円)のラスカルスズカ。そして3着は3番人気(同290円)のナリタトップロードという決着だった。9頭立てで行われたレースで4番人気で8着だったメジロロンザンの単勝オッズは65.5倍だった。テイエムオペラオーとラスカルスズカとナリタトップロードの単勝の売り上げ合計は全体の96%を超えた。当然のように複勝は3頭とも100円戻し。ワイドも的中した3点とも100円戻しだった。これこそが前評判と結果が結びついた「究極の3強対決」といえそうだ。

 この3頭はそろって天皇賞・春に向かった。結果はテイエムオペラオーが優勝し、ラスカルスズカが2着、ナリタトップロードが3着と阪神大賞典を再現するものになった。ただし天皇賞・春ではテイエムオペラオーの単勝支持率が47%に達し、2番人気になったナリタトップロードと3番人気のラスカルスズカが追いかけるような様相を呈した。また4番人気のステイゴールドの単勝オッズも11.7倍と落ち着き、阪神大賞典のような「3強絶対」の構図にはならなかった。

 3強が追われる形から、ディーマジェスティを追う形に変わったダービー。どんな結果が待っているのだろうか。
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