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第83回 「独占」

2018.02.09
 12月28日に阪神競馬場で最終レースのファイナルSが行われ、キンシャサノキセキ(AUS)産駒のスマートカルロスが優勝した。これで中央競馬の2017年の全日程が終了した。
 JRAのリーディングサイアーには、産駒が251勝を挙げ、58億3,915万9,000円の賞金を獲得したディープインパクトが輝いた。2012年に初めて首位の座に就いて以来6年連続でトップの地位を守った。6年連続の首位というのは、1995~2007年まで13年連続で首位に立ったサンデーサイレンス(USA)、1982~92年まで11年連続で1位になったノーザンテースト(CAN)に次ぐ史上3位の「長期政権」となった。首位になった回数でも13度のサンデーサイレンス、11度のノーザンテースト、7度のヒンドスタン(GB)に次ぐ単独4位になった。

 歴代の名種牡馬の仲間入りを果たしたディープインパクトも素晴らしい成績だが、ディープインパクトが首位にい続ける、この6年間、ずっと2位の座を守っているキングカメハメハもすごいと思う。ディープインパクトに奪われる前の2010、11年は2年連続でリーディングサイアーに輝いている。2頭の種牡馬がこれほど長い間、種牡馬ランキングの1、2位を独占し続けた例は過去にない。

 ノーザンテーストが君臨した時代、フアバージ(FR)、アローエクスプレス、パーソロン(IRE)、リイフオー(GB)、ブレイヴエストローマン(USA)、ミルジヨージ(USA)、トウショウボーイ、リアルシヤダイ(USA)が2位になり、1993年にはライスシャワーが天皇賞・春を制するなどしたリアルシヤダイがノーザンテーストの牙城を崩し、首位を奪った。ただリアルシヤダイの首位はこの1年限りだった。

 1994年にはノースフライトが安田記念とマイルチャンピオンシップの春秋のマイルGⅠで優勝するなどしたトニービン(IRE)がリーディングサイアーになったが、これもリアルシヤダイ同様、1年だけの短期政権だった。

 翌1995年からサンデーサイレンスの天下になった。

 13年続いたサンデーサイレンスの天下で2位になった種牡馬は数少ない。ノーザンテースト、ブライアンズタイム(USA)、トニービン、ダンスインザダーク、フジキセキ、アグネスタキオンの6頭だ。当時、「御三家」といわれたのがサンデーサイレンス、ブライアンズタイム、トニービンの3頭である。1996年から2002年まで7年続けて、この3頭が上位を独占した。現在のディープインパクト=キングカメハメハという強力ライン以上に「御三家」の壁は高く厚かったといえそうだ。

 2018年は始まったばかりだが、1月15日現在の種牡馬ランキングでは早くもディープインパクトが首位に立っている。プリモシーンが重賞のフェアリーSを制するなど着実に賞金を獲得している。キングカメハメハも3位につける。まだ重賞勝ちはないが、かつての重賞勝ち馬エンジェルフェイスが1年10か月ぶりの白星を挙げるなど、こちらも順調な滑り出しを見せた。

 今年も「種牡馬2強時代」が続くのか、はたまた新興勢力の登場はあるのか。

 昨年、ディアドラ(秋華賞)、モズカッチャン(エリザベス女王杯)、ペルシアンナイト(マイルチャンピオンシップ)と京都競馬場のGⅠレースで産駒が3勝したハービンジャー(GB)が前年の9位から6位へと順位を上げた。内国産種牡馬が全盛で、クロフネ(USA)やシンボリクリスエス(USA)のように外国産であっても現役時代は日本で過ごした馬が種牡馬ランキングのトップ10を占める中、外国産で日本での競走実績がないハービンジャーの6位は健闘だ。

 現3歳が初年度産駒となるロードカナロアにも期待がかかる。昨年は30頭が勝ち上がり、計37勝を挙げた。1年目に30勝以上を挙げたのは、2010年のディープインパクト(41勝)以来となる好成績。種牡馬の2歳リーディングではハーツクライやダイワメジャーを抑え、ディープインパクトに次ぐ2位になった。年が明けて牝駒のアーモンドアイがシンザン記念で優勝。父に初重賞をプレゼントした。

 ロードカナロアの父はキングカメハメハ。父が越えられないディープインパクトの壁を息子が一気に崩すようなら「血のドラマ」としては面白い。
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