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第5コーナー ~競馬余話~

有吉正徳 第5コーナー ~競馬余話~

第131回 「連続」

 2022年1月15日、中京競馬場で行われた第59回愛知杯で武豊騎手(52)が騎乗したルビーカサブランカ(牝5歳、栗東・須貝尚介厩舎)が優勝し、2つの「連続記録」が樹立された。

 1つ目は武豊騎手の36年連続重賞優勝記録だ。武豊騎手はデビューした1987年から昨2021年まで35年連続で重賞勝ちを収めてきた。2番目は岡部幸雄元騎手の28年連続、3番目が蛯名正義元騎手の27年連続だから、この記録は今後も破られそうにない大記録だ。騎手の連続重賞優勝記録で惜しかったのが昨年の横山典弘騎手(53)だ。1995年から2020年まで26年連続で重賞勝ちを収めていたのだが、2021年はついに重賞では1勝も挙げることができずに終わった。2022年の年明け早々、マテンロウオリオンに騎乗して第56回シンザン記念を制しただけに、よけいに2021年の重賞ゼロ勝がもったいなかった。

 さて武豊騎手である。デビュー年の1987年こそ重賞初勝利は10月の京都大賞典(騎乗馬はトウカイローマン)と後半戦にずれ込んだが、そのほかの年では、1988年は2月のきさらぎ賞(マイネルフリッセ)、1989年は3月のペガサスS(シャダイカグラ)など年初に重賞初勝利を決めている。2022年の愛知杯までに挙げたJRAでの重賞347勝を月別に分類すると、1月29勝、2月36勝、3月42勝、4月35勝、5月27勝、6月22勝、7月17勝、8月17勝、9月23勝、10月43勝、11月37勝、12月19勝という内訳になる。まんべんなく勝利を挙げているが、1月から3月までに計107勝を挙げており、四半期では最多勝。スタートダッシュを決めていることがわかる。

 2021年12月19日の第73回朝日杯フューチュリティSではドウデュースに騎乗して優勝。2年ぶりにJRAのGⅠ通算78勝目を挙げた。これは武豊騎手にとって挑戦22回目にして初めての朝日杯制覇だった。この勝利によって現行のJRA平地GⅠ全24競走のうち武豊騎手が勝っていないのはホープフルSだけとなった。ホープフルSは2017年にGⅠに昇格したばかりだが、武豊騎手は2017年にはジャンダルムで2着、2020年にヨーホーレイクで3着になっており、JRAのGⅠ完全制覇もそのうち達成してしまうのではないかと思わせる実績だ。

 愛知杯で達成された連続記録のもう1つはキングカメハメハ産駒のJRA重賞15年連続勝利だった。父キングカメハメハ、母ムードインディゴとの間に2017年に誕生したルビーカサブランカは、2020年の阪神大賞典など重賞3勝のユーキャンスマイルの2歳年下の全妹だ。愛知杯はデビュー20戦目にして初めての重賞挑戦だった。

 キングカメハメハはアイルランド生まれの母マンファスがキングマンボKingmambo(USA)との交配に成功。妊娠した状態で来日し、2001年3月20日に北海道のノーザンファームで生まれた。栗東の松田国英厩舎で競走馬になり、2003年にデビューした。4戦3勝の成績で臨んだ毎日杯で重賞初制覇。その後松田調教師がこだわったNHKマイルカップから日本ダービーという変則2冠に挑み、両レースともレースレコードを更新する圧倒的な内容で優勝してみせた。休み明けの9月の神戸新聞杯も快勝したが屈腱炎を発症し、引退を余儀なくされた。

 卓越したスピードと距離をこなす融通性は産駒にも伝わった。初年度産駒のフィフスペトルが2008年の函館2歳Sで重賞初勝利を父にプレゼント。2年目の産駒アパパネが2010年に桜花賞、オークス、秋華賞を制し、史上3頭目の牝馬3冠に輝いた。その後も短距離界でロードカナロアが活躍。ドゥラメンテ、レイデオロが日本ダービー優勝馬となるなど、さまざまなタイプの産駒が出現した。2019年8月にこの世を去るまで、1800頭を超える産駒を送り出し、2010年と2011年にはJRAのリーディングサイアーに輝いた。

 2019年生まれの現3歳が最後の世代となる。JRAに残る種牡馬別の重賞連続年度勝利記録はパーソロン(IRE)の19年だ。あと4年。キングカメハメハの遺児たちにもう少し頑張ってほしい。