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第110回 この秋の日本の夢 ~アーモンドアイと国枝栄厩舎スタッフが叶えるか~

2019.05.20
 この秋、日本の夢が叶いそうな、そんな走りを初海外遠征のドバイで見せたアーモンドアイ。異国の地で、しかも夜の競馬が初めてとは思えないほど堂々とした面持ちでパドックを周回し、レースでは追い出しのタイミングを図るほどの圧巻振り。
 あの走りによって、世界からの注目度も一気に増した様子ですが、鞍上のルメール騎手は、最小限の負担で愛馬を勝利へと導く、丁寧かつ馬の力を理解しての騎乗振り。

 いつも思うのですが、ルメール騎手の素晴らしさは、人へも馬へもあたりが優しく、スマートな点。これは生きる上で、ほんとに大切なことだと年齢を重ねれば重ねるほど、また取材をすればするほど思うことの1つ。

 と言うのも馬においては、レースでの1戦が与えるレース後の影響は想像以上に大きいものがあるように思います。やはりその馬の状態によってケアの違いがうまれ、立ち上げの時点も変わるもの。

 次走、間隔が詰まっていれば、それが最終的に仕上げられた、もう少し時間が欲しかったという差になります。

 また精神的な面においては、レースを苦しいものだと感じた瞬間から食への影響や走る気持ちが後ろ向きになってしまい、取り返しのつかない状況に...。

 よって馬を担当する方々の多くは、「勝ち負けも大事だけど、1つずつ積み上げてきたものが崩されない形でレースを終えてきて欲しい」とか、「○○騎手が乗ると痛みが少ない。だから次が作りやすい」との声も。

 やはり馬は生き物。その点が大事なのでしょう。そしてまた同様に人も生き物。働く上で大事なことは、どんなメンバーで、どのような上司の下、働けるか?これによって志向性が左右されるのではないでしょうか。

 今、東西にたくさんの厩舎が存在しますが、働く人々の表情が明るく、チーム力を感じるのが、まさにアーモンドアイを管理する国枝栄厩舎。

 例えば、ジャパンカップの日。厩舎スタッフの半分が、若き担当者である根岸さん&アーモンドアイのサポートに競馬場に足を運び、パドックやゲート裏で動かれていたのです。

 また以前、少し厩舎の勝ち星が減った際には、「口には出さないけど、なんとなく先生が少し元気ないよね。俺達が頑張らないと」と、助手の方々で話し合う姿も。

 そしてアパパネで栗東に滞在をした際、国枝厩舎の方々と夕食を何度かご一緒させて頂いたのですが、いい意味で何の緊張感もなく調教師とスタッフとの会話が飛び交い、常に笑いに溢れる雰囲気。

 このピリピリ感のない人間同士の空気感こそ、一緒に過ごす馬たちにとっては、ストレスなく安心して過ごせるのだと感じました。

 また今回のドバイ後、国枝調教師は、「勝った雰囲気をレース直後にみんなで一緒に味わってほしかったけど、いつも通り、アーモンドアイが軽い脱水症状となり...」と、スタッフの心を大事にされていました。

 しかしながら、毎回、レース直後にフラフラになるアーモンドアイ。

 これが意味するものとは、内蔵されているエンジンに、まだ体がついていっていないとも考えられるだけに、さらなるノビシロがあるということなのかも...。

 そう考えると、秋、どんな姿となっているのか?本当に楽しみです。

 それでは皆さん、また来月お逢いしましょう。

 ホソジュンでしたぁ。
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