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第111回 8年ぶりのアイルランド ~国民性とジョゼフ・オブライアン師から気づかされたこと~

2019.06.19
 先日、8年振りにアイルランドへ行ってきました。騎手引退後、競馬を伝える側となり、様々な取材をする中で、やはり人馬の歴史が深い地でもあり私の尊敬するエイダン・オブライアン夫妻を身近で見たいとの思いから、アイルランドへ。
 その時に何を1番に感じたかというと、人と馬との距離の近さ。具体的に言うと、人が馬の気持ちになって物事を考えること、図ることができ、馬という生き物そのものを深く理解している点でした。

 そして、基本は「シンプル」であること。夏休みを利用しての2週間だったゆえ、将来、もっと長い期間ですごしてみたい、馬や人を見てみたいとの思いになりますが、その後、子供を授かり、育児に仕事にとバタバタの日々。なかなか思いも叶わずにいました。

 しかしその8年前の出会いもあり、今回は仕事としてアイルランドへ。

 その内容については、また詳しくお伝えしたいと考えていますが、今回、羽田空港からフランスのシャルル・ド・ゴール空港経由で、アイルランドのダブリン空港行きだったのですが、羽田発のフライトが1時間半以上遅れ、フランスでの最終便への乗り換えができない状況下に...。

 仕事の方とは、アイルランドの空港で待ち合わせをしていた為、少しパニックにはなりましたが、空港内のホテルにチェックインをし、翌日のチケットを購入。

 また帰りは帰りで、荷物の半券をもらい忘れたり、搭乗ゲートの変更に気づかず少々焦るなど、ハプニング続き。

 それでも無事に全てを終えることができ、安心はしたのですが、1点、日本と海外との違いを顕著に感じ、子を持つ母として勉強になることがありました。

 それは、日本は良い意味でも悪い意味でも、過剰にサービスし過ぎな気が...。

 いわゆる、「オモテナシ」精神。

 日本の空港内では、アナウンスはもちろんのこと、航空会社のスタッフの方々が離陸直前までお客様の名前をお呼びしながら、走りまわるシーンが見受けられ、場合によっては少々遅れることも。

 また荷物の半券を忘れようものならば、平謝り。それが海外では、全て自己責任。よって帰国の際は、(半券は?搭乗ゲートは、ここでいいのかな?場所変わってる?何か変更は?)と、飛行機に乗るまで気の休めない状態に。

 この感覚、日本で暮らしていると言語や慣れた環境というだけでなく、どこかに甘えがあり、なんとかなるだろう?何とかしてくれるだろう?という感覚に陥っていたことに気づかされました。と同時に、5歳の息子を持つ母として、今後、小学生となった際、忘れ物を届けるとか、手取り足取りアドバイスをし過ぎることのないよう、いろいろな面でやり過ぎてしまうことに注意しなければならないと再認識。

 やはり自分で考え、選択をし、行動ができる人間にならないと、最終的に困ってしまうのは本人なのだと、お恥ずかしながら44歳で実感。

 そういった意味でも今回のアイルランドは、競馬に限らずとても貴重な経験となりましたし、競馬においても、私の憧れであるエイダンファミリーの息子・ジョセフ・オブライアン厩舎に伺い、ジョセフと共に調教を見学。

 それこそ競走馬として歩んでいく過程における育て方の理論は、1人1人違うポテンシャルやキャラクターをどう育てていくか?非常に子育てと通ずるものがあり、そこにおける様々な采配こそが調教師としての最大の仕事と考えているようでした。

 実績も示している通り、25歳にして既に一流の調教師であり、真のホースマン。

 今後のさらなる飛躍は間違いないと思いますし、私も含め、馬とかかわる日本人の多くが、気づき近づかなければならないものが、そこに存在しているとさえ感じる出会いでもありました。

 それでは皆さん、また来月お逢いしましょう。

 ホソジュンでしたぁ。
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