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川島ファミリーがゆく! 馬道ひとすじ

川島正行厩舎 川島ファミリーがゆく! 馬道ひとすじ

夜だけど、朝?!厩務員さんの1日

 新緑が美しい季節となりました。さて、船橋競馬川島正行厩舎のコラムの第2回。今回は『厩務員さんの1日』についてお伝えしましょう。

 仕事内容は厩舎によって、あるいは馬の状態や季節、開催時間(昼間開催やナイター開催など)によって多少異なりますが、おおよそこのような流れで・・・というものをご紹介します。

 ご存知のみなさんも多いかと思いますが、厩舎の"朝"はとても早い!朝というよりも夜?と言った方がいいような時間です。早い組では午前2時に調教が始まるので、午前1時頃からは厩舎で作業を開始・・・ということは一体何時に起きているのでしょうね。私などは夜1時過ぎに寝ることもあるので、「今ごろみんな起きたかなぁ」なんて思うこともしばしば・・・これを読んでくださっている皆さんの中にも「あ、今頃船橋は"朝"?」なんて思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 厩務員さんはひとりあたり2~3頭の馬を担当。1頭にだいたい2時間ほどかかりますので、午前2時から8時までが調教をメインとした作業となります。川島正行厩舎の場合、その後厩舎作業、厩舎周りの清掃などを行い、だいたい午前9時から10時頃に"午前中の仕事の終わり"となります。そうは言っても獣医さんや削蹄・装蹄師さん、歯医者さん・・・馬のコンディションや開催状況によってその都度変化。競馬場では"半休日""全休日"という日が定められていますが、実際は暦通りに休めることはほとんどないようです。

 午後は1時頃から再び作業に入り、乗り運動を行ったり馬場に出たりなど、ここでもまたそれぞれの馬に合わせたメニューをこなし、午後4時から5時頃の間に作業がひと段落、という流れ。作業内容はお天気や季節によっても変ってきますし、レースに出走するときはそれに合わせた作業が加わります。場合によっては厩舎の修理なども仕事の一部となり、「この前、ここのとこ、ペンキ塗ったんだよね」なんて聞くことも。

 調教はもちろん、馬たちの生活を快適に保つのも厩務員さんの大切なお仕事ですね。人の暮らしでいうと「掃除・洗濯・炊事」にあたる厩舎作業。実はこの時、馬たちが厩務員さんに甘える姿はとてもほほえましいものがあります。箒で馬房に敷かれたチップを掃く後ろ姿を鼻先でつついたり、時には上着をかじってひっぱってみたり。あまりにしつこくて、叱られたり・・・。扉を開ける金属の音を「ここから出る合図」とわかっていて自分から扉に近づく馬もいるんですよ。これは所属馬のホワイトブーツ(4歳牝馬・父ワイルドラッシュ)という仔です。このように馬たちは驚くほど日頃世話をしてくれる厩務員さんの存在を判っていて、担当厩務員さんが来る時間になると、馬房からはまだ姿が見えないうちから足音や気配を察して鼻を鳴らし、飼葉をねだる姿を何度も見かけました。年度代表馬・フリオーソ(6歳牡馬 父ブライアンズタイム)もそのうちの1頭。担当厩務員の波多野さんの気配を察すると、フルルルルンと鼻を鳴らして扉にくっついていました。「馬との日常は"約束"で出来ている」と話してくれた厩務員さんもいますが、まさにその通りなのでしょう。ペットではなく勝負の世界で生きるアスリート・競走馬との時間は常に危険が伴う仕事。ちょっとした油断やふとしたはずみが人馬ともに大事故に繋がってしまう可能性もあります。それを少しでも未然に防ぐためもの。そこには"約束""信頼"という絆が存在しているのかも知れませんね。

 さて、厩舎作業がひと段落した後も馬のそばで様子をチェックしたり、馬の遊びにお付き合いしている厩務員さんが多いのも川島正行厩舎の風景のひとつ。厩舎の公式ブログでご紹介している馬房での表情とレースでのそれとは別馬のように大きく違っていることも珍しくありません。馬たちにとって、厩務員さんから注がれる愛情は勝負の世界で生きる心をほっとさせる大切なサプリメントになっているような印象です。鼻先や顔を撫でられて目を細めてリラックスする姿は見ている側も幸せになる表情。「大きな生きものなんだから、ちょこっと撫でるのじゃなくて、こうやって手で大きく撫でてやるんだよ」。以前、厩舎にいらしたお客さまが撫で方に迷っていると、そんなふうに言いながら川島正行調教師が馬の鼻とほほを手のひらでゆっくり撫でてみせたこともありました。

 5月は船橋でもいよいよ2歳馬たちの姿が見られる季節。5月17日には千葉サラブレッド・セール1歳、2歳トレーニングセールが行われます。このセールは一昨年所属馬ナイキハイグレード(ハイセイコー記念(S2)、京浜盃(S2)、羽田盃(S1) 父アグネスタキオン)が落札され、昨年は売却率が90%を超える盛況ぶり。新馬入厩にセールに、賑やかな5月となりそうです。