文字サイズ

文字サイズとは?



HOME > お楽しみ > JBISコラム > 川島ファミリーがゆく! 馬道ひとすじ > 2010年 > 地方競馬初のディープインパクト産駒デビュー目前です

川島ファミリーがゆく! 馬道ひとすじ

川島正行厩舎 川島ファミリーがゆく! 馬道ひとすじ

地方競馬初のディープインパクト産駒デビュー目前です

 ある朝、厩舎に行くと、ギィ・・・ギィ・・・と規則正しく何かが鳴り響く音が。古い物干し竿が強風に揺れるような・・・でも風は吹いていないし物干し竿らしいものも見当たりません。そばにいた厩務員さんに「これ、なんの音ですか?」と聞くと、「ん?鳥(笑)」との答え。指し示す方を見ると・・・。

 そう、川島正行厩舎では縁起もののフクロウに続いて、カモのようなアヒルのような、ちょっぴり不思議な鳥が仲間入り。そばにはニワトリ小屋と畑、厩舎マスコットでありマネージャー犬のライアン君も暮らしているという牧歌的な風景ができあがっていました。以前こちらで触れた、川島正行調教師も関心を示す「アニマルセラピー」のホーム版のような雰囲気です。新しく加わった鳥たちは早朝から調教が終わる頃までのどかに鳴いているとのこと。自然な環境は馬たちにとって良さそうです。

 さて、10月19日に行なわれた能力調教試験は全部で14組。季節がら3歳未勝利戦を終えた中央競馬や冬休みとなる他地区からの転入馬も多く、馬齢もキャリアも様々。1年のうちでもっとも試験に出走する頭数が多い季節とも言えます。頭数だけではなく父馬に至っても船橋でお馴染みのゴーカイ、新種牡馬テレグノシス、オンファイアなど多種多彩な顔ぶれが揃いました。2歳調教試験では2005年のドバイワールドカップでアジュディミツオーと対戦し、現在は北海道で種牡馬となっているロージズインメイの産駒の姿も。

 この日、川島正行厩舎から2歳能力試験にネオユニヴァース産駒の栗毛の牡馬・スマートフレア、地方競馬初のディープインパクト産駒として注目される黒鹿毛の牡馬・ランニングシューズが出走しどちらも無事に合格。11月開催でのデビューを視野に調整中です。スマートフレアは夏から厩舎で過ごし十分乗り込みを進めている一頭。馬房での表情は愛らしく、栗毛馬特有の華やかさや上品さを感じさせます。馬房を出てからの気性面ではまだやんちゃな部分もありそうですが、"ここという場面での勝負強さが光る"と言われるネオユニヴァース産駒としても本番でのレースぶりが大いに楽しみな存在です。

 一方ディープインパクト産駒のランニングシューズは父譲りのスピードで飛ぶような走りを見せ、早くもその活躍に期待が膨らみます。母は名牝デアリングダンジグ。兄にスーパー・ダービー(米G1)の勝ち馬で6勝を挙げたエクトンパーク、ダートの重賞路線で活躍を見せたピットファイター、韓国で種牡馬となったサクラシーキング、同じく種牡馬となったスマートカイザー 、姉にクイーンS(GIII)や府中牝馬S(GIII)で勝利するなど中央・地方両方の重賞路線で活躍したデアリングハートがいる血統です。

 試験時の馬体重は416キロ。馬房の両側を大型馬に挟まれているせいか小柄に見え愛情を込めた意味で「ポニーみたい」と言われているランニングシューズ。9月に最初にこの馬と会った時には担当厩務員の秋葉さんの「環境に慣れてちょっとずつ生意気になってきた(笑)」という表現も微笑ましかった若駒ですが、皆さんの前に現れる頃にはぐっと競走馬らしい姿になっていることでしょう。ダートのみならず芝での走りも楽しみと言えそうです。

 両馬とも上々のタイムで合格していますが能力試験は規定タイム内で合格することを前提に、それ以上に実戦をイメージした内容の良さが問われる場でもあります。そういった点でも"合格"の2頭。能力試験を終えるとちょっぴり大人顔になるのも2歳馬ならでは。船橋でデビューし、心身ともに競走馬として逞しく成長、大舞台へと向かって行く両馬の姿を応援していただければと思います。

 ここ最近、厩舎周辺もずいぶん秋らしい風景になってきました。これからの季節、気温が下がれば馬にとって過ごしやすくはなるものの故障が心配な季節にもなります。厩舎を回っていると獣医さんや装蹄師さんたちが馬たちを念入りにケアしている姿を見る機会も少なくありません。危険と隣り合わせ、神経を集中しての作業の様子や、作業終了後に「健闘をお祈りします」とピシっとした姿勢で挨拶して去る姿を直接見ていただくことはできませんが、華やかな舞台で活躍する馬にも、競走馬として無事にデビューを迎える馬にも、全ての馬たちの存在の陰には厩舎スタッフとともに馬たちをケアしてくれている各方面のプロフェッショナルが注ぐ時間と情熱が込められています。

 地方競馬の祭典・JBCを迎えダート路線もさらにヒートアップ。日々の積み重ねを一瞬に賭けるレースを眺めながら、馬に携わるみなさんを想うのも競馬ならではのひとときですね。