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川島ファミリーがゆく! 馬道ひとすじ

川島正行厩舎 川島ファミリーがゆく! 馬道ひとすじ

女王・クラーベセクレタ、3月5日のエンプレス杯(JpnII)でラストランを迎えます

 2月19日に行われたユングフラウ賞(SII)で、期待の3歳牝馬ノットオーソリティ(父スウェプトオーヴァーボード)が人気に応えて優勝しました。厩舎にとってこのレースは2011年からの4連覇。そのうちのクラーベセクレタ(2011年)、カイカヨソウ(2013年)、今回のノットオーソリティの3頭が、ともにホッカイドウ競馬出身です。北の大地で競走馬としての基礎をしっかり学んだ先輩馬2頭が、南関東の重賞路線で主役の座に輝く活躍を見せていることから、ノットオーソリティへの期待も膨らみます。

 「能力の高さは素晴らしいね。これからもっと食べて馬体がしっかりすればさらに良くなりますよ」と、川島正行調教師。次走は3月27日に浦和競馬場で行われる桜花賞(SI)を予定しています。

 ノットオーソリティがクラシックに向けて好発進したこの日、女王として南関東競馬を牽引して来たクラーベセクレタの引退が、船橋ケイバを主催する千葉県競馬組合から正式に発表されました。

 ラストランは3月5日に川崎競馬場で行われるエンプレス杯(JpnII)。3月19日には船橋競馬場で引退式が行われる予定です。
 「あっという間だったなぁ。引退は考えたくないけど仕方ないよね。寂しくなるけど、引退式をしてもらえるようで良かった」と語るのはクラーベセクレタと苦楽を共にしてきた野田大作厩務員。

 そういえば、2010年の秋「お嬢に会って行ってよ」と野田さんに言われて初めて会った当時2歳のクラーベセクレタは、まだまだあどけない表情。船橋に到着して間もないということもあって、用心深そうに馬房でそろりと後ろに下がったり、野田さんの手に鼻を寄せて甘えたりだった記憶があります。

 馬房がバナナ置き場の隣だったこともあって、「おやつくださいな」というように頭を少し下げた姿勢でこちらを見つめながら、かわいい顔を見せていたことも。
 今でこそ「馴れ馴れしく近寄らないで、そっとしておいてちょうだい!」と女王様オーラいっぱいのクラーベセクレタですが、当時はまだまだ"少女"のような雰囲気があったように思います。

 そんなクラーベセクレタが牡馬相手に果敢にレースに挑んだのは震災が起きた2011年。「できることをして頑張って行こう」という想いのもと、クラーベセクレタも被災した船橋競馬場から"がんばろう日本"の刺繍入りメンコをつけて出走し続けました。牡馬相手に羽田盃(SI)と東京ダービー(SI)の二冠を制し、秋には女王決定戦・ロジータ記念(SI)を制覇。その年の最後の船橋開催では古馬牝馬を相手に交流重賞・クイーン賞(JpnII)を制しました。

 「かわいいだけでは走らない」という言葉を耳にすることがありますが、それを証明するかのような、強い競馬の源となっていたクラーベセクレタの気性はなかなかのもの。以前は運動中に牡馬に襲いかかったり、イレ込み過ぎて汗だくになったりといったこともあったそう。それは、野田厩務員の「レースが近付くとお嬢のことがいろいろ心配。ずっと見ていられるように、馬房の前にふとんを敷いて寝たいくらいだよ」の言葉からも伺えます。強さと繊細さ、その両方を併せ持っている面も"女王"ならではと言えそうですね。

 さて、姉からのバトンを受け取るように、2月の船橋開催でクラーベセクレタの半妹・キューブ(父アドマイヤドン)がデビューし、5着という結果でした。「セクレタはあの気性だったから牡馬とも闘えた。妹はまだお姉ちゃんほどキツくないけど、馬場入りすると気合が乗りますよ。偉大すぎる姉と比べるのはまだかわいそうだけど、妹もいい馬です」(野田厩務員)。

 どんなに強い馬にも、いつかはやってくる"引退の日"。「がんばろう日本」のメッセージと共に、その走りで人々を魅了してきたクラーベセクレタ。ラストランも多くの皆さんの心に残ることでしょう。