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川島ファミリーがゆく! 馬道ひとすじ

川島正行厩舎 川島ファミリーがゆく! 馬道ひとすじ

それぞれの春へ クラーベセクレタとマニエリスム繁殖入り

 春は旅立ちのシーズン。桜の開花が間近に迫るこの季節に、川島正行厩舎からも、花のような存在のクラーベセクレタとマニエリスムが現役を引退し、北海道へと旅立ちました。

 3月5日の川崎・エンプレス杯(JpnII)でラストランを迎えたクラーベセクレタは、地方所属馬最先着となる4着。南関女王として誇りある走りを、しっかりとファンの目に焼きつけました。

 「今まで乗せてもらった中では一番納得できる騎乗ができました。レースの流れもそんなに速くなかったので、道中の折り合いも大丈夫でした。最後まで一生懸命走っていて立派でしたよ。彼女も苦しい時もあったと思うけど、良くここまでと思います。スタッフもめげずに彼女を支えてくれたのも大きかったですね。なんとか関係者とファンの皆さんに納得してもらえるようにという気持ちで乗りました」。

 こう語ったのは、終始クラーベセクレタと気持ちを合わせながらエスコートした御神本訓史騎手。そんな御神本騎手の想いも、しっかりとクラーベセクレタに伝わっていた、そう思わせるレースとなりました。

 3月19日に船橋競馬場で行われた引退式当日。厩舎の洗い場には、淡々とクラーベセクレタの馬装を整える野田大作厩務員の姿がありました。お馴染みの"がんばろう日本"の刺繍入りのメンコを着け、脚にバンテージを巻いてもらうクラーベセクレタ。時々空を見上げる表情は、どこかふわりと優しく、おだやかな雰囲気もありましたが、しだいに"勝負オーラ"が漂いはじめ、ピシっとケリを入れる瞬間も。

 そんな様子に安堵と寂しさを滲ませながら「レース用のメンコだからやっぱり気合いが入ってるよね」と野田厩務員。準備の合間にはクラーベセクレタの走りを陰で支えた装蹄師さんも訪れ、最後の勇姿を見守っていました。

 クラーベセクレタについて語る時、調教パートナーとして陰でその栄光を支え続けた佐藤裕太騎手の存在は欠かせません。

 「最初に跨った時の印象は今でも覚えていますよ。クラーベセクレタはすごくひっかかる馬で乗りこなすのに苦労しました。その点で、僕自身の技術の勉強にもなりました。クラーベセクレタの調教は、絶えず日々腕が痛いといった感じ。その力強さは古馬になっても衰えずで、そこがクラーベセクレタのすごいところですね。一歩間違えると抑えが利かずに(調教が)速いところになってしまうので神経を使いました。こんなにひっかかる馬はオープンではそういない。オープン馬ということで、力強さもあるからなおさら大変です。腕が引きちぎられそうになるほど(笑)。乗りやすさはなく、苦労しましたね。どうやって仕上げようかと勉強にもなりました」

 走らなくちゃ!という気持ちが強くて炎みたいな馬、最後にそう語った佐藤裕太騎手。セレモニーでの口取り風記念撮影では、クラーベセクレタの隣に立ち、感慨深そうに、思い溢れる眼差しを向ける姿も印象的でした。

 クラーベセクレタの気になる交配相手について、オーナーサイドからのお話では、ゴールドアリュールかスマートファルコンを予定し、産駒は南関東で走らせたいとのこと。母の闘志を受け継いでどんな仔が生れてくるのか、その誕生が今から楽しみです。
一方、3月18日の日刊ゲンダイ杯を引退の花道としたマニエリスム。常に凛とした佇まい、長いまつ毛で優雅にまばたきをしていた"プリンセス"は、戸崎圭太騎手を背に出走し、最後はしっかりした伸びを見せて無事に競走馬生活を終えました。

 「クラーベセクレタもマニエリスムも良く走ってくれました。いつか子どもたちが船橋で走る日が待ち遠しい思いです。その時はファンの皆さま、応援してください」と川島正行調教師。

 花ある存在だったクラーベセクレタとマニエリスム。今ごろはそれぞれの地でゆっくり体調を整えていることでしょう。この春、新たに咲き始める"花ある存在"にもぜひご声援くださいね。