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川島ファミリーがゆく! 馬道ひとすじ

川島正行厩舎 川島ファミリーがゆく! 馬道ひとすじ

続いて行くそれぞれの道へ

 川島正行調教師の訃報が届いた夏の終わりから、あっという間に秋が駆け抜け、今年も冬の気配が感じられる季節となりました。

 今回は故川島正行調教師が歩んだ馬道から、それぞれの道へと歩み始めた厩舎スタッフや馬たちについて綴っていくことにしましょう。

 秋晴れの船橋開催3日目、10月29日の1レース。ランローラランで、佐藤裕太調教師が厩舎初出走を迎えました。ここでは長く親しまれている「裕太」調教師で綴っていくことにしましょう。川島正行調教師の一番弟子として、ずっと馬たちを支え続けた裕太調教師。故川島正行調教師が愛用した帽子を手に携えて初陣に臨みました。

 「帽子はお守り代わりに持っていました。先生が教えてくれたことや僕自身が経験したことを元に、自分のスパイスを加えて頑張って行きたいです」(裕太調教師)

 パドックには裕太調教師の騎手時代の勝負服の色でもあり、厩舎カラーにもなっているピンクと白の横断幕も掲げられ、門出に華を添えました。

 「厩舎カラーはピンクと白と黒にしました。勝負服の色と、白黒ハッキリ付けるという意味を持たせています。ピンクは川島先生も好きだった色。その色を使えるのも嬉しいですね」と裕太調教師。

 以前伺ったお話では、裕太調教師が騎手になった頃、ちょうど川島正行厩舎でサクラの冠名の馬たちが活躍していたこともあってピンクの勝負服になったそう。当時の裕太調教師はまだ10代の若い男子。最初はピンクかぁ・・・思ったこともあったそうですが、馬群の中にいても、遠く離れた向正面でもパっと目を引く色なので、すぐに愛着が沸いてきたそうです。

 その佐藤裕太厩舎は、元川島正行厩舎だった場所で開業。裕太調教師を始めとして厩務員さんたちの手で厩舎カラーに塗装中です。折しも、厩舎の一角には、川島正行厩舎時代からそこに根付いているピンクのバラが、開業をお祝いするかのように空を見上げて凛と咲いていました。

 10月28日には、故川島正行調教師が出走を楽しみにしながら、その走りを見ることが叶わなかったJRAからの転入馬・バトードールが千葉日報賞(オープン)に出走し、転入初戦を勝利で飾りました。

 バトードールが船橋にやって来たのは7月半ば。不安があった左トモのケアを中心に、じっくりと馬の状態を見ながら、焦らず仕上げての出走。1週前に行われた大井・マイルグランプリ(SII)から千葉日報賞へと照準を変えて、狙い通りしっかり勝利をものにしました。

 「能力の高さはわかっていたからね。ここを狙ったことは正解でした。親父の忘れ形見だから勝てて嬉しいよね」と川島正一調教師。バトードールは2010年、マグニフィカが優勝したジャパンダートダービー(JpnI)の3着馬。パドックやレースで、美しいタテガミをドラマチックに揺らしながらの勇姿にもぜひご注目ください。

 11月5日に川崎で行われたロジータ記念(SI)ではノットオーソリティが早めの仕掛けでラクラクと快勝。桜花賞(SI)での発走直前のアクシデントによる除外、東京プリンセス賞(SI)では2着。そして戸塚記念(SII)では舌を巻きこむ苦しい競馬となって10着。今までの無念を晴らす、待望のSI制覇となりました。思えば、2010年のクラーベセクレタからエミーズパラダイス、カイカヨソウとこのレースを3連覇していた故川島正行調教師。きっと今回のノットオーソリティの勝利も空の上で喜んでいることでしょう。

 また、ジョッキーの皆さんも所属が変更となり、江川伸幸騎手、高橋利幸騎手は千葉県騎手会に、山下貴之騎手、川島正太郎騎手は川島正一厩舎に、そしてルーキーの仲野光馬騎手は川勝歩厩舎に所属して、すでに騎乗を開始しています。

 さて、これまで「馬道ひとすじ」として川島正行厩舎についてお届けしてきたこのコーナー。次回から「南関フリーウェイ」として、南関東競馬についてお届けしていきます。南関東での競馬観戦をさらに楽しく!をモットーに綴っていきますので、ぜひそちらにもご注目くださいね。