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第37回 『NARグランプリを占う』

2012.01.13
 ありがたくも、NAR GRANDPRIXの選定委員として、全国公営競馬専門紙協会より今回も推薦を受けた。「占うって、アンタ選定委員やんか~」という突っ込みはごもっともだが、後で何か言うのはあまり良い事とは思わないので、ならば先に台本がてら語ってしまおうかと思う。
 NARグランプリの選定課目は最優秀2歳、3歳、4歳以上、牝馬、短距離、ばんえい、ターフと、各々の優秀馬の中から選ぶ年度代表馬。選定の基準となるのは地方競馬で行われるダートグレード競走とそれに連なる重賞競走で優秀な成績を収めた馬。それから、年間を通して活躍した馬である。規定はもっと細かく定められているのだが、それについてはここでは割愛させて頂く。

 本稿執筆時点で地方競馬で行われるダートグレード競走39競走のうち、35競走が終了している。そのうち、地方競馬所属馬の勝利したレースは5競走。JpnⅠ・川崎記念、かしわ記念を制したフリオーソ(船橋)、JpnⅡ・さきたま杯を制したナイキマドリード(船橋)、同じく浦和記念を制したボランタス(川崎)。JpnⅢ・クイーン賞を制した3歳牝馬クラーベセクレタ(船橋)、以上である。ダートグレード競走2着馬は、JpnⅡ・ダイオライト記念2着カキツバタロイヤル(船橋)、兵庫チャンピオンシップ2着ホクセツサンデー(園田)、さきたま杯2着ジーエスライカー(大井)、東京盃2着ラブミーチャン(笠松)。JpnⅢ・北海道スプリント2着ヤサカファイン(大井)、エーデルワイス賞2着シーキングブレーヴ(北海道)。

 ということは本稿執筆時点で、最優秀3歳馬と最優秀牝馬にクラーベセクレタ、最優秀4歳以上にフリオーソ、最優秀短距離馬にナイキマドリードが濃厚といった情勢だ。もちろん、この後に東京大賞典GⅠが控えているから、そこで地方馬がスマートファルコンを差し切る可能性も無いとは言えないし、3歳馬がGⅠやJpnⅡで快勝する可能性もある。あくまでも濃厚ということになる。

 クラーベセクレタは結果失格とはなったが、ジャパンダートダービー3位入線の実績もあり、文句なしだろう。本来ならオオエライジンに頑張って欲しかったのだが、出ないことには仕方ない。フリオーソは川崎記念、かしわ記念のJpnⅠ2勝だが、印象に残ったのは追い込んで2着のフェブラリーステークス(GⅠ)。アウェーでのあのポテンシャルは高い評価が出来る。

 微妙なのが最優秀短距離馬だ。「スプリンター」という面では、ナイキマドリードよりもラブミーチャンの方に素質を感じるのだが、ナイキマドリードも2010年のJBCスプリント2着など実績は十分。短距離のカテゴリーは「1400m以下」という確認事項もあるから、当然勝った者が選ばれるべきだろう。結果論ではあるが東京盃で、2番手でなく積極策を採っていれば、あの流れなら勝てた可能性が高かっただけに惜しい。

 最優秀2歳馬は本稿執筆時点ではエーデルワイス賞2着、北海道2歳優駿3着のシーキングブレーヴが最も近い位置にいる。あとは全日本2歳優駿を残すのみだが、もちろんオーブルチェフ(USA)を負かす馬が現れることを、大いに期待している。

 ターフ部門は、2011年はJRAの芝競走で好走した馬は皆無。盛岡のオパールカップを制したスタープロフィット、せきれい賞を制したマチカネカミカゼ、ジュニアグランプリを制したワタリドラゴン、芝の最高賞金レースOROカップを制したダブルオーセブン、OROターフスプリントを制したラブミープラチナがノミネートの対象。ダブルオーセブンは船橋在籍時に共同通信杯5着もあるが、さすがにそれでは選び辛いかもしれない。

 ばんえいは永らくばんえい記念一発勝負で決まる傾向が強かったが、ばんえい記念を勝っていなくても、4大記念競走の勝ち馬も加味されるようになってきた。今年はカネサブラックがばんえい記念、旭川記念に勝ち、ニシキダイジンが帯広記念に勝っている。これはカネサブラックでほぼ決まりだろう。

 ざっと2011年を振り返りつつ自分なりに選んでみたが、残りのレースの結果や本会議でどうなるかはまた別の話。この号が出る頃には、会議も終わり優秀馬が発表されているだろう。12月31日の高知競馬最終レースまで、残りのレースをじっくりと観させてもらおうと思う。
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