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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第79回 『今年も大井の七不思議』

 今年の日本ダービーはキングカメハメハ産駒のドゥラメンテが制し、皐月賞と合わせ2冠を達成した。ダービージョッキーとなったのは、今年から「JRA所属」となったミルコ・デムーロ騎手。ダービーはネオユニヴァースで既に勝っているが、流暢な日本語で「超うれしい」と何度も繰り返していた。「ダービージョッキー」の称号はやはり格別なのだろう。

 歓喜の日本ダービーから3日後、大井競馬場で東京ダービーが行われた。

 東京ダービーといえば的場文男騎手、的場文男騎手といえば東京ダービー。かつて「ダービーに勝てれば騎手を辞めてもいい」と言っていたほど「ダービー」に対する思いは強い。実は的場騎手はアラブダービーを3勝、ダービーグランプリを1勝しているが、やはり「ダービー」といえば東京ダービーなのである。

 今年の南関東牡馬クラシック戦線の中心は、強力な先行力を武器に鎌倉記念、京浜盃を制した船橋のオウマタイム(タイムパラドックス産駒)と、豪快な末脚を武器に平和賞とハイセイコー記念を制した船橋のストゥディウム(ルースリンド産駒)、この2頭が軸であった。

 前哨戦の羽田盃は上記2頭の他に兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅢ)を制したジャジャウマナラシ、ニューイヤーカップを制したラッキープリンス等を擁する浦和・小久保厩舎勢、クラウンカップで最後の切符を掴んだウインバローラスなど伏兵陣も揃った。レースは1番人気のオウマタイムがスローペースに我慢できず自ら交わして出て行ったところ、中団に付けていた2番人気のストゥディウムが直線強襲し、半馬身交わし2強決着に。

 そして東京ダービー。前哨戦の東京湾カップを的場文男騎手で制したドライブシャフトと、浦和・桜花賞馬ララベルと東京プリンセス賞を制したディーズアライズが東京ダービー参戦。

 注目の的場文男騎手は、ドライブシャフトと、小久保厩舎の2頭パーティメーカーとラッキープリンスの中から、羽田盃に続きパーティメーカーを騎乗馬に選んだ。

 羽田盃に引き続き、1番人気に推されたのはオウマタイム、2番人気はストゥディウム、3番人気にララベル、以下ホッカイドウ競馬在籍時にホッカイドウ2歳優駿3着のクラバズーカー、クラウンカップ3着、東京湾カップ2着で戸崎圭太騎手が騎乗するミッドストラーダと続いた。的場文男騎手が乗るパーティメーカーは大外16番枠。末脚勝負のこの馬にとっては、それほど悪い枠ではなかった。

 レースは内田博幸騎手騎乗のドライブシャフトが逃げるも、残り1200mの標識あたりで早くもオウマタイムが先頭に立つ。しかし、今回はいつものように後続を引き離すことが出来ず、3~4コーナーでは牝馬のティーズアライズ、柴田大知騎手が乗るウインバローラス、そしてラッキープリンスに並ばれて直線に。

 ラッキープリンスが勢いそのままにオウマタイムを交わし先頭に立つ。先頭に立つには少し早すぎたが、勢いが違った。

 後続勢も一気に脚を伸ばしてきたが、その中でもパーティメーカーとヴェスヴィオの伸びがいい。的場文男騎手の叱咤に応えるように末脚を伸ばすパーティメーカーだったが、ラッキープリンスにわずか3/4馬身差及ばず2着...。ダービーの栄冠はラッキープリンスと今野忠成騎手に輝いた。

 今野忠成騎手、小久保智調教師はともに東京ダービー初勝利。さらに2着も小久保厩舎。馬から降りるなり「ゴメン!的場さん!」と今野騎手。「ありがとうございました」と言う的場騎手に、「来年もお願いします」と小久保師。

 14度目の挑戦でダービーを制した今野騎手は表彰台で「動くのが早いと思ったが、頑張ってくれた」と。一方34度目の挑戦で9回目の2着となった的場騎手は囲みの取材に「ダービーは宿題だね。俺の人生の宿題」と。

 オウマタイムが作り出した速い流れに乗って終いまで我慢したラッキープリンスと今野騎手。道中8番手から、上がり38秒8の末脚を繰り出し迫ったパーティメーカーと的場騎手。両者とも馬の力を存分に引き出した結果だったが、勝負の明暗を分けたのは、やはり「運」なのだろうか?

 大井競馬七不思議のひとつ(他の6つは不明)は、不思議のまま来年に続く。