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架空名馬生産牧場 ギャラクティカ・ファーム

綱本将也 架空名馬生産牧場 ギャラクティカ・ファーム

第18回 スピーディワンダー:キャラクター列伝その4

馬名:ティオティコン
毛色:芦毛
父:セイウンスカイ
母:ラストフレンド
母の父:アイネスフウジン
クロス:なし
生涯成績:10戦3勝(第28話現在)
主な成績:阿寒湖特別(1000万下)

綱本家、寝室。23時過ぎ。
綱本夫妻は各々読書しながら、並んで寝転がっている。
BGM代わりに流れているTVの音と、ページをめくる音。
読書にふける夫妻の間には会話がなかったが、突然妻が、
妻「ティオティコン」
と、つぶやく。
夫は聞き慣れない文字の羅列が気になり、聞き返す。
夫「なにそれ?中南米とかの都市?」
妻は大きな女性誌に目を落としたまま、
妻「う~んと...わかんない」
夫「は?」
妻「今、急に思いついた。......なんだろ?」
夫「どっかで耳にしたり見たりしたんじゃないの?」
妻「たぶん...そうかも」
夫は、気になると一晩中眠れなくなっちゃう『春日三球』と同じ性質を持つため、起き上がり、仕事部屋に向かい、パソコンを立ち上げる。
夫「『ティオティコン』っと...」
Googleで検索をかけると、一致した言葉が見つからない。
夫「ん......?」
夫は「オ」と「コ」を入れ替えた文字列を打ち込み、
夫「『ティコティオン』の間違いかも...」
しかし、それでも一致した言葉は見つからない。
夫「......??」
夫は諦め、パソコンの電源を落とし寝室に戻ると、読書を続けている妻に、
夫「ないよ、そんな言葉」
妻はさして気にも留めていない様子で、
妻「ふーん。じゃあないんじゃない」
夫「.........」
夫は急に疲れが出た様子で、さっきまで読んでいた本には戻らず、眼鏡を取って眠りについた。

翌日。綱本家、仕事部屋。
パソコンに向かって、新しいキャラクターが登場する『スピーディワンダー』の原作を執筆する夫。
夫「この馬の名前、どうすっかなぁ...」
馬体がばかに大きく、おかっぱ頭でクルリンとくせ毛がある、ひょうきんなキャラクター造形を先にイメージしていたため、なかなかそのイメージに合致する馬名が浮かばないでいた。
夫「あ...『ティオティコン』でいいじゃん」
(おしまい)

 案外、こんなもんなんです。漫画に登場するキャラクターの名前決めるのって。『ティオティコン』の場合は、いそうでいない響きだったことが、キャラクターの個性と合致したのが決め手でした。

 いそうでいない馬名の『ティオティコン』ですが、その血統構成は、現在の日本にはほとんど存在していません。いや、世界的にもほとんどいないでしょう。1970年代後半までは日本の主流血統だったHyperion系も、今や衰退の一途をたどり、日本だけでなく世界的にも滅びつつある系統になってしまっています。
 父セイウンスカイが皐月賞と菊花賞の二冠に輝いた98年当時でさえ、Hyperion系競走馬のGⅠ制覇は久しぶりのことでした。
 さらに母の父であるダービー馬アイネスフウジンはHerbager系種牡馬ですが、これまた滅びつつある系統です。
 このような血統の馬が中央競馬に入厩すること自体が珍しいですが、『ティオティコン』は湯上谷調教師がくまなく馬産地の中小牧場を訪ね歩いて見出した逸材です。大牧場の生産馬は頑として受け入れない湯上谷だからこそ見つけ出せたのかもしれません。

 父セイウンスカイは、皐月賞を4コーナー先頭で押し切り、菊花賞を当時の世界レコードで逃げ切りました。
 母の父アイネスフウジンは、ダービーを当時のレースレコードで逃げ切りました。
 ともに長距離でのスピードの持続力に秀でた競走馬でした。
 父母両方からそれを受け継ぐ、菊花賞に出走予定の『ティオティコン』がこの夏、最大の上がり馬として、菊花賞でどういうレースを見せるのか、お楽しみに。