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架空名馬生産牧場 ギャラクティカ・ファーム

綱本将也 架空名馬生産牧場 ギャラクティカ・ファーム

第22回 架空:第36回 エリザベス女王杯

馬名:グルーヴユー
毛色:黒鹿毛
父:ディープインパクト
母:グルーヴィンスカイ
母の父:トニービン
クロス:Northern Dancer M4×S5
生涯成績:7戦3勝(現役)
主な成績:エリザベス女王杯(GⅠ)

 日英女王決定戦――。
 そう謳われた第36回エリザベス女王杯の出走馬たちは、過去最高とも言える陣容だった。
 エリザベス女王の国からやってきたのは、選りすぐりの精鋭2騎。
 昨年のエリザベス女王杯を瞬間移動で勝ち、連覇を狙い来日した「現女王タイトル保持者」、スノーホワイト。
 イギリス、ドイツ両国のオークスを逃げ切って勝ち、3つ目のGⅠ制覇の舞台を日本に定めた「英国3歳女王」、レイニーダンス。
 迎え撃つ日本馬は、3連勝で秋華賞を勝ち、故障による春のGⅠ戦線不参加のうっ憤を晴らした「日本の3歳女王」、アドヴェンチャレス。
 異次元の末脚で阪神JFを制し、今年の牝馬クラシック戦線の主役になるはずだったものの惜しくも故障し、このレースが復帰戦となった「2歳女王」、レールウェイソウル。
 牡馬を相手に七夕賞、小倉記念を連勝し、サマー2000シリーズを制し、その勢いのまま府中牝馬Sで3連勝を飾った「夏の女王」、ルーマニアンレッド。
 阪神JF2着→桜花賞2着→オークス3着→秋華賞3着と、牝馬GⅠを皆勤しながらも、勝てなかった「惜敗女王」、ホイールキャッチ。
 そして、府中牝馬Sで14着に大敗するも、牝馬GⅠ完全制覇に王手をかけた「四冠女王」、アララギ。

 「真の女王」はこの「7女王」の中から、選ばれるはずだった。
 しかし――。
 選ばれたのは、本来なら「女王候補」にもなれなかった、グルーヴユーだった。

 18頭が出走できる「女王決定戦」にエントリーしたのは22頭。1000万条件馬であるグルーヴユーは除外対象だった。しかも繰り上がり出走順は3位タイ。少なくとも3頭の回避馬が出ない限り、「女王候補」はおろか、抽選対象にもなれない「身分」だった。
 しかしグルーヴユーに幸運が味方し始める。
 一週前、一昨年の秋華賞馬ブルーディザイアが故障で無念の引退。これで2位タイへ。
 さらに、ポライトマジカルがダブル登録をしていたアルゼンチン共和国杯へ出走。これで、あと1頭回避すれば、1/2の抽選対象にはなれる状況にはなった。
 そしてレース週、次週のマイルCSと両にらみで出否未定だった秋華賞2着馬ジャンヌトゥデイが、マイルCSに出走することを表明。いよいよ1/2の抽選対象に。あとは2つに1つの幸運を引き当てるだけ。
 さらなる幸運が彼女を待っていた。抽選対象だったもう1頭オールドワルツは、角野厩舎のステーブルメイトであり、角野調教師は同厩同士の抽選を回避すべく、オールドワルツの回避を決めたのだった。
 
 とは言え、彼女がただ幸運の女神に愛されただけで「真の女王」に選ばれたのではなかった。
 彼女はこの幸運を活かすだけの血統を持っていたのだった。
 母グルーヴィンスカイは第23回の3着馬であり、姉グルーヴィンオナーは第28・29回を連覇した「女王」。つまり姉から妹への王位禅譲である。
 さらに、父ディープインパクトは言わずと知れた「平成の皇帝」。この「平成の皇帝」の子女たちにははっきりとした特徴がある。
 「10月以降の東京・中山、京都、阪神デビュー勝ち」→「2戦目で2・3着」という戦歴を持っていたのは、彼女を含め7頭いるが、彼女以外の6頭はすべてGⅠで3着以内の実績を持っている。
そう、実は彼女にはGⅠで好走するだけの戦歴が備わっていたのだ。


 グルーヴユーは、貧しくも美しい庶民の娘。しかし彼女は、実は母が彼女を激しい政争から逃れさせるため、生まれてすぐ王家から庶民の家に預けられた女王の妹だった。彼女は自らの出生の秘密を知ることなく才気煥発な女性へと成長。そして真実を知った彼女は、数々の幸運にも恵まれながら、激しさを増す女王位継承争いの舞台へ。そして――。
 続きは11月13日・第36回エリザベス女王杯で。