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プロフィール
古賀慎一さん

1974年1月13日生まれ
神奈川県横浜市出身
1996年大手不動産会社入社
2003年NAR馬主資格取得
2005年株式会社ファーストレート設立
2014年JRA馬主資格取得得

2016年のJRA函館競馬、新馬“一番星”となったザベストエバーのオーナーでもある、古賀慎一氏にお話を聞いた。

「学生時代の友人で競馬が大好きなやつがいて。結局、彼よりもハマってしまい、自分が一番の競馬好きになってしまいました(笑)。
みなさん、まずはJRAからという人が多いと思うのですが、ボクの場合、たまたま行った大井のトゥインクルレースに魅せられて。中央競馬との距離感、臨場感の違いと言うんでしょうかね。
ボクが20歳ぐらいの時って、まだ鉄火場の要素を残す時代だったんですけど、場違いな青年が毎日のように南関東の競馬場に通っていた…」。

将来の夢も少々変わっていて?

「場立ちの予想屋さんになりたかった(笑)」

大学卒業後に不動産会社に就職。9年ほど勤め、独立。地方の免許はサラリーマン時代、29歳の若さで取得。

「まったくツテがなかったので、最初に持ったのは社台の地方オーナーズ。その後もLEXで共有馬を買いました。ところが、共有馬のオーナーなので、厩舎に行っても扱いがぞんざいで(笑)。
そんな中、川崎の田島調教師が、初めてちゃんと馬主として接してくれた。開業して間もないというのもあったのでしょうけど。
で、何か1人で持てるような馬はいないですかとお願いしたところ、ツルノフラワーという4歳馬を前のオーナーから譲ってもらって。その馬が初勝利をプレゼントしてくれた。その時のジョッキーが佐藤博紀騎手(現川崎調教師)」

この二人は、今も地方競馬の太いパイプになっている。古賀氏の馬主としての特徴は、トレードの上手さにもある。

「いやいや、その分たくさん失敗もしてるので(笑)。基本的には、エージェントなどから勧められた馬を買うことが多いですね。例えば、今、中央オープンのワイドエクセレントも体質が弱い馬で。3歳最後の未勝利戦も、無理して使ってのタイムオーバー。
でも厩舎の担当助手が『この馬、絶対に走る』と言っていたと。だから、タイムオーバーの馬にしては値段が高かったんですが、購入しました。馬体は見ません。即断しないと、すぐ流れちゃうから。来て3週間で、まずは門別で走らせた。賞金が0円だと道営の3歳は弱いので。で、連勝して園田へ。
これはまだ南関東転入の条件を満たしていなかったからなんですが、当時JRAの馬主資格を申請していたので、道営で能力があるとわかった時点で、中央に戻したいなと。そこから逆算してのプランニング。地方競馬は、競馬場によって条件が異なるので、馬にとっていい条件を探してあげるのも重要なんです」

こんな馬もいる。

「ミカドポーネグリフという馬は、2013年の10月に2着になって以降、今年16年の4月まで“着”(5着以内)が無かった。高知競馬というのは、過去2年間、賞金を獲得してないと、その前の賞金は0でカウントされるんです。
この馬、東京ダービーTRを勝って、戸塚記念の4着もある実績馬。B級で頭打ってても、それが高知だとC3から走れる。案の定、5月の移籍初戦は2着に2秒も差をつける大差勝ち。
優勝賞金が14万円でも、月の預託料が約10万円で、月2回走っての出走手当も考えたら、上手くすれば南関東の1頭分の預託料を稼いでくれる。それより何より、馬が勝つ喜びは何にも代え難いですからね。馬を再生できる。それが、高知競馬の魅力でもあるのです」

条件を合わせて、適材適所で馬を使ってあげるのが地方競馬の醍醐味と語る古賀氏。もうひとつ、面白いヒントをくれた。

「例えばこれから中央下がりの馬をネットオークションで馬を買う場合、最近よく見かける“スピード指数”ってあるじゃないですか。もし近走が不振でも、やはりその指数が高い馬は、安い馬でも走る可能性が高い。参考にされるといいですよ。今まで売買された馬を後追いしてみても、かなり競走成績との相関性が高いことに気付くはず。ただ、ダートのレースの指数です。芝馬で指数が高くてもダートは走らないことがあるので気をつけて」

是非、参考に。もちろんセリでも積極的に馬を購入しているが、そのポイントも聞いてみた。

「馬を見極めるのではなく、馬を見ることが出来る調教師さんを見極めることじゃないですか(笑)。自分でも勉強してるけど、調教師と比べたら、10分の1、100分の1。馬に接する時間が違う。熱心な調教師だと、セリの前に同じ馬を4回、5回と見に行きますからね」

冠名は“ヴィクトリー”。

「ただ、種馬になることも考えて、期待の牡馬は冠号を外しました。代わりに牝馬は妻(美湖さん)の名前を冠に。ミコマッシグラ、ミコダマシ…(笑)。結婚前、妻は競馬はまったくやらなかったのですが、今は一緒に楽しんでます」

期待の中央の3歳馬に、スリラーインマニラという馬がいる。父キンシャサノキセキ同様、先日亡くなったボクサー、モハメド・アリの伝説の試合からのネーミングだ。

「この馬が2歳GⅠの朝日杯FSに出走した時は、力試しというか試金石だなと。武井調教師は強気な人だから『芝でも十分やれる』と。結果、13着。ボク的には冷静でしたけど(笑)。
それよりも、2012年にタンゴノセックという馬がJBCクラシックに出た。その時もまったくダメ(13頭立て9着)だったんですけど、その時のほうが高揚感というか…。やはり地方競馬だし、川崎で行ったJBC。朝日杯FSは阪神競馬場。関西の競馬ですから、なんとなくアウェイな感じで(笑)。南関東の川崎は、やっぱりボクのルーツですからね」

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