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今回はボクが馬に出資してよかったなぁと感じたことをお話したいと思います。
かなり個人的なエピソードですが、お付き合い下さい。

共有クラブで“一口馬主”になり、愛馬の出走に胸踊らせ、時に喜び、時に落胆し。起こり得るすべてが競馬なんだと、なんとなくわかり始めた頃、とてつもなく大きな夢に賭けてみたくなったのです。
それは「GIを取れる馬に出資をしてみたい」ということ。

そこでボクは会員だった社台レースホースで、超のつく良血馬に出資をさせてもらいます。
父サンデーサイレンス、母ダンシングキイの00年産。後にダンシングオンと名付けられる牡馬です。
そう、ダンスインザダーク、ダンスパートナーの全弟で、ダンスインザムードの全兄。
入厩し、調教しただけでもスポーツ紙の競馬欄を賑わせた良血馬でしたから、期待は当然膨らみます。
この馬に出資をした翌年から、縁あってグリーンチャンネルのキャスターとしてデビューさせてもらったのですが、キャスターを辞めるまでの6年間、実はダンシングオンの現役時代とピッタリ重なってるんです。
ご存じの方も多いと思いますが、このダンシングオンは1000万止まり。いやいやそこまで行ってくれれば本当は立派なんですが、募集価格が2億円の馬だったので、残念ながらその価格に見合う活躍とまでは言えなかったのです。
でも、ある個人馬主さんに言われたんですね。
「長谷川くん、君にとってはダンシングオンが走らなくて良かったと思うよ。だって、どんなに君が謙虚にしていたとしても、パッと競馬の世界に現れて、GI馬を持ってたら『何だコイツ』って妬む人が絶対いたと思うから。でも走らなかったからこそ、ちょっぴりニヤッとしながら『あぁ、あのダンシングオンの…』って覚えてもらって、かわいがってもらえたでしょ」と。
確かに…。
ホントそうなんです。何度も言います。1000万クラスまで上がって、特別レース(ミスターシービーメモリアル)を勝ってくれて、最後は障害にまで挑戦して、引退までに49戦もしてくれたのですから、ホントに立派な馬なんですョ。
あえて「走らない」としているその表現が、彼には申し訳ないくらいボクにとっては絶対に忘れられない大切な相棒なんです。
奇しくもグリーンチャンネルのキャスター時代をダンシングオンと共に過ごした訳で。きっとこれも何かの巡り合わせだなと。
最後は屈腱炎で引退。ひとつ勝つことの難しさ、ひとつ勝つことの喜びを、体をもって教えてくれた戦友だったと思ってます。

馬が与えてくれるもの。それは時にボクら人間の考えを超越した部分のものでもあります。
個人馬主、一口馬主を問わず、馬を持ってらっしゃる方ならおそらく実感としてわかってらっしゃるんじゃないでしょうか?
競馬を好きになったら、次はここに触れて欲しい。
馬主になることをお勧めする理由のひとつがそこにあります。

次回は、逆にエリートとは言えない道に進んだ馬の頑張りが教えてくれたエピソードをご紹介したいと思います。お楽しみに。

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