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プロフィール
吉田勝利さん

1970年2月16日生まれ
岐阜県岐阜市出身
1991年愛知学院大学短期大学部卒業
1995年通信機器販売業開始
2000年株式会社アラビア産業創設 代表取締役
2002年NAR馬主資格取得
2003年JRA馬主資格取得

中央のみならず、地方競馬をこよなく愛する馬主、吉田勝利さんに話を聞いた。

「家の近くに笠松競馬場があって、たまたま時間があった時に見に行ったらすごい人で。
みんなが喜んだり、肩を落としたり。楽しそうだなぁと参加してみたら、本当に面白くて。それから通うようになったんですね。
するといつも近くにいる人と仲良くなる。地方の競馬場だから、常連には馬主さんが多くて。ボクは若かったから可愛がられたんですよ。『これ何倍つく?ちょっとオッズを見て来てくれないか』なんてね」。

馬主という存在が、競馬を始めた当初から近くにあった。

「あの頃は地方競馬でもなかなか席が取れない時代。馬主エリアにはボクを可愛がってくれる先輩たちがいて、『こっちへ来いよ』と。自分も馬主になって、こういうところに入れたらいいなぁと夢を描いてましたね」。

笠松といえば“芦毛の怪物”オグリキャップがいた。

「オグリキャップのラストランの有馬記念をなんとか指定席で見たくて。その有馬記念の指定席は、前日土曜の席を買った人の中から抽選で当たるというシステム。金曜日の夜から徹夜で並びましたよ。こんなに寒いならと、ますます馬主になりたいと思いましたね(笑)」。

その夢を叶える。2002年に地方の馬主資格を、そして2003年にはJRAの馬主資格を取得。30代前半の、若き馬主の誕生だ。

「最初は右も左もわからないから、上の人の言いなりで。今考えると、本当にそれでよかったのかなぁと。自分でしっかり勉強すると、競馬はもっと楽しいんだってことを学んだ時期でしたね」。

馬主になってからの成績は?

「一度馬主としての自分をリセットした時があったんだけど、それからは諸先輩方に言わせると『お前はいいほうだ』と(笑)。最近は中央でも毎年1勝ずつはしてますからね。
地方は愛着がある馬が多いから…。走らなくても(厩舎に)置いとくから、採算が合わないんですョ(笑)」。

ここで改めて、地方競馬の魅力について聞いてみた。

「笠松で競馬を見始めた時、みなさんに『一番強い馬って何ですか?』と尋ねると、口々に『ワカオライデンだ』と。ボクはワカオライデンを見たことがない。
じゃ、自分の中の最強馬を作ろうと。実際にボクが見た中で、『コレは強い!』と思ったのがフェートノーザンだったんですね。
ちょうどその頃から、交流競走も盛んになり始めて、11月に笠松で行われる全日本サラブレッドCという大きなレースがあったんですよ。そこ(88年)にイナリワンやカツノコバン、シナノジョージとか、すごいメンバーが集まった。それでも勝つのはフェートノーザン。それも圧勝!やっぱりこの馬が一番強いんだなと。
オグリキャップを追いかけて中央にも行ったけど、なんか距離感がある(笑)。やっぱり笠松が好きなんだなぁと。
今もダート馬ばかり買うけど、中央でダメなら地元の笠松でという思いがあるからなんですね」。

その馬選びについては、数多くのセリに足を運び、馬を見に鹿児島も行くという。

「長く続けようと思ったら、予算は自分でしっかり決めて、その範囲でやらないと。そうは言ってもセリに行くと熱くなっちゃう。予算オーバーで周りに止められることもしばしば(笑)。
血統的には、ゴールドアリュールの仔とかに魅力を感じますね」。

憧れの馬主になって良かったことは?

「自分の馬を追って競馬場に行って、美味しいものを食べたり、温泉浸かったり(笑)。馬がいなかったら、なかなか行けないでしょ。友だちもたくさんできるし、趣味を共有できる人との時間はあっという間ですから。
今は競馬が週の始まりで、週の終わりでもある。仕事で全国に行くけど、それでも自分のスケジュールの中心に競馬の開催日がある(笑)。
馬主になったばかりの頃は、自分の馬が毎週走らないとつまんないと思ってたけど、調教師とコミュニケーションを取って『次はここを使います』なんて聞くと、今度はそこが軸になる。楽しみが先にあると、それが糧になるし、例えば水曜の調教を見るのが楽しみになる。馬券だけだった頃とはちょっと異なる立ち位置かもしれませんね」。

岐阜県馬主会の常任理事も務める吉田氏はこうも語る。

「中央だけが競馬じゃないから、まず地方の馬主資格を取って、いろいろと覚えるのがお勧め。ゆっくり全部見ていけばいい。地方の競馬場にはそれぞれのやり方、個性があるから。
交流競走が盛んな時代。例えば、地方で認定競走を勝たせて、中央で走ってみて、通用しそうなら中央へ持っていけばいい。認定競走を活用したやり方なら、リスクも少なくて済むと思うし」。

馬主としての夢を尋ねると、意外や堅実な答えが返ってきた。

「夢は…中央の1000万条件を勝つこと。いや、ひとつひとつですよ(笑)。
今年(所有馬の)アラビアンマジックが初めて500万を勝ってくれた。だから次は1000万。もちろん勝てば準OP、そして重賞出走。競馬は一発当たってしまうより、ひとつずつ上がっていったほうが、絶対に面白いんですよ」

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