JBIS-サーチ

国内最大級の競馬情報データベース

プロフィール
高橋大さん

1973年9月20日生まれ
東京都立川市出身
1998年東京歯科大学卒業、同年歯科医師免許取得
約6年間の勤務医を経て2005年に歯科医院開業
2009年JRA馬主資格取得

09年7月にJRAの馬主資格を取得した高橋大さん。まずは競馬の入口から聞いてみた。

「父親がエライ競馬好きで(笑)。だから最初はやっぱり馬券から。
親父はバブル期の不動産業だったんで、子供の頃は羽振りがよかったんですョ。『そのうち馬主になりたい』って言ってましたね。
でもバブルも崩壊して、ボクが20歳ぐらいの時に親父が53歳で亡くなっちゃったんです。だから馬主になったのは“引き継いだ夢”みたいな感じですかね。」

毎週末の競馬は、忙しく駆け抜けたお父さんとのコミュニケーションツールだったと言う。

「金、土の夜は、帰宅して、晩酌しながら競馬新聞を見てるじゃないですか。幼稚園の頃からその膝の上に乗っかって。
競馬場に連れていかれると、まずは帽子の色ですよね。『何色がいい?3つ言え』みたいな(笑)。枠連しかなかったから、当たるとご褒美にオモチャ買ってもらえて。
小学生になると文字や数字もわかるようになるから、今度はいっちょまえにあぁでもないこうでもないと親父としゃべる。そうじゃないと親父は忙しくて、しゃべる機会がなかなかなかったですからね…。」

そんな大少年も学生になり、流行っていた競馬ゲームの“ダービースタリオン”にハマったそう。

「学生は夜、時間余ってますからね(笑)。みんなで集まって、それぞれが育てた馬を持ち寄って10人ぐらいでブリーダーズCをやったりして。
するとまずは生産に興味が湧いてきますよね。そして一口馬主でもやってみるかと。
とにかくサンデーサイレンスの子が欲しくて社台レースホースに入ったんです。
元々バブルガムフェローの東京競馬場での新馬戦を見て、こんないい馬がクラブで買えるんだぁって驚いたんですよ。芝の1800m戦。3着に負けたんですけどね。
一口を始めると競馬場だけじゃなく、牧場に行けたり、放牧先のトレセンに行けるとかがあって、馬がより身近になってくるんです。馬主になろうと思ったのには、馬と触れ合ったからというのはありますね。」

高橋さんには馬を選ぶ時のあるこだわりがあると言う。

「それは“顔”なんです。人間と一緒で好みがあると思うんですけど、ボクはまず流星と目。流星は縦にキレイにシュッと入ってるのがいい。
目は黒目が大きくて、キラキラしてるのがいいかな。
社台でアルティマトゥーレを指名したんですけど、決め手はやはり“顔”(笑)。もちろんいい血統ですよ。エアトゥーレにフジキセキですから。でも募集当時は腰高で、すごくバランスの悪い馬だったんです。ところが顔がメチャメチャかわいかったんです。
自論なんですけど、牝馬は“顔と血統”。
ところがアルティマトゥーレがパドック歩いてる時にメンコしてるんですよねぇ。せっかくの写真を撮るのに、『奥平先生、メンコいらねぇよっ』って(笑)。」

勤務医を経て、歯科医開業。馬主への道がいよいよ現実のものに。

「周りの人たちのサポートが大きかったですね。歯科医の仕事もなかなか厳しいんですが、お陰様で順調な方に入って、馬主の基準をクリアできるくらいの年収になってきて。
逆に言うといつまでそれが続くかわからない世界なので、取れる時に取っておきたいっていうのはありました。一口仲間や、クラブのスタッフさんからも勧められてというのはありましたね。」

所有馬は、社台オーナーズクラブで2頭と当歳馬を1頭半持ちで。

「自分の馬の名前は誰かに付けてもらおうと思ってるんですよ。
クラブの出資馬で名前を付けたのはただ1頭なんですが、50頭ぐらい出資した中でその馬だけが未出走で引退しちゃって。ゲンが悪いなというのと、みんなでワイワイやりながら仲間うちで公募でもしていいやつを採用したいなと。みんなに馬主にしてもらったような感じですから。」

セリへの興味は?

「ありますね。最終的には1頭持ちというのがありますし、行ける限りはと、馬主資格を取る前からセレクトセールなんかは見学に行ってましたから。
日高の方にも馬を見に行って買うなんてことをそのうちやりたいなと思ってます。
馬を見るのが好きなんで、さっきの牝馬の顔の好みじゃないけど、自分で選んでみたいなっていうのはありますよね。でも最初から張り切ってコケちゃうとね(笑)。」

馬主になってよかったなぁと思うことは?

「まだ正直実感としては無いんですけど、何人かの調教師の方たちと仲良くさせてもらっていろいろと話すと、今まで頭デッカチ的に知っていた情報が、例えば1時間引き運動して、何秒で追い切って、クールダウンしてみたいな流れが、それぞれの調教師にそれぞれの考え方があって、こう違うんだというのを実感できるというのが単なる競馬ファンだった頃との違いですかね。
まさに“リアル・ダビスタ”ですよ(笑)。
当歳を買ったのも、馬を見るのが好きで、成長を見るのが好きだからっていうのがありました。
今は1歳だとか、トレーニングセールで買った方がいいと。庭先で買うにしても2歳で売れてない馬を探して『なんかいる?』と聞いた方が確率は高くなるかもしれません。
でもリスクは高くても、当歳から見てると思い入れも強くなりますから。今はその“思い”の部分でやっていたいんです。」

本当に馬が好きなんだというのが話の端々に現れている高橋さん。逆に馬主になって大変だなと思うことも聞いてみた。

「これも正直、今はまだ無いですよね。走り始めたらつまずくんでしょうけど(笑)。
ただ、周りを見てるとすごい馬主さんがいっぱいいるじゃないですか。こんな人たちの中に入って太刀打ちできるのかなと(笑)。
どうやって自分のスタンスを、立ち位置を作ろうかなっていうのを今考えてます。それを見つけないと続かないと思うので。」

馬主としての夢は?

「ボクはあんまり大それたことを考えないタイプなんですよ。おっきなところを取っちゃうと、それで全部運を使い果たしちゃうんじゃないかって(笑)。
G1を取りたいとかは思わない。でもまずは1勝ですね。あとは細々とでいいので続けられるまで続けていたいです。」

これから馬主になりたいと思っている人たちに一言。

「まず一口馬主には馬券と違ったロマンがある。少なくとも自分が選んだ馬がどうなっていくんだろうというのを見届けることができますよね。
馬券って追いかけている馬がいたとしてもそのレース、レースだけじゃないですか。追い切りとかも活字だけの形になっちゃう。
でも一口の会員になったら育成やトレーニングの様子もクラブによっては見られたりする。それがデビューして走って、その答え合わせができるんです。
問題提起から始まって、方程式じゃないけど自分の中の枠組で馬を決めて選んで、それが実際にどうなっていくのか。その答え合わせをしていく楽しみが一口馬主。
もう1ステップアップできるならその先がある。競走相手がいるから何でも好きなものが買える訳じゃないけど、条件さえ合えば自分の好きな馬が買えて、条件さえ合えば自分でこの馬にはこの先生だなって預けることもできる。今度は自分が思ったことに口を挟めるんです。
言っちゃうと、一口馬主は受け身。だけど、厩舎、レース、ジョッキー…。馬主になったら聞いてもらえるかどうかは別だけど、少なくとも口は挟める立場にはなる訳で。いよいよ“超リアル・ダビスタ”ですョ(笑)。
行けるんだったら、リスクはありますけど、その楽しみっていうのかなぁ、あると思いますョ。」

お父さんが生きてらっしゃったら何て言うでしょう?

「う~ん、何て言うかなぁ(笑)。
まずは喜んでくれると思うんです。ただ、ボクはどっちかっていうと、(10分の1出資の)オーナーズクラブでちょっと試して、半分持って仕組みを勉強して、それから1頭持とうみたいなステップで考えてるんで。たぶんうちの親父は結構なギャンブラーだったから『おいおい、もっとガツガツ行けよっ』って笑ってるかもしれないですね(笑)。」

トップへ