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プロフィール
山口裕介さん 山口ステーブル代表

競走馬の育成、調教、市場コンサイナー業務を行う山口ステーブルの代表者。代表的な育成馬としてNHKマイルCを制したジョーカプチーノ、コンサイナーを手掛けた馬としてはクイーンCを制したイクスキューズなどがいる。

昨年のNHKマイルカップ優勝馬ジョーカプチーノが育成時期を過ごした山口ステーブル。今年も次々と2歳世代の育成馬が勝ちあがり、その勢いは止まるところを知りません。強い馬づくりのために、育成段階の重要性がよりクローズアップされるようになってきた近代競馬において、育成牧場ではデータをどのように活用しているのでしょうか。BTC内に拠点を構える育成牧場・山口ステーブル代表の山口裕介さんにお話しを伺いました。

-まずは、キスミープリンスの鎌倉記念(川崎・2歳S3)優勝、おめでとうございます。

山口:ありがとうございます。今年もうちの育成馬から重賞馬を出すことができて、ほっとしています。

キスミープリンス 競走成績

-キスミープリンスが山口ステーブルにいた育成時期は、どんな馬でしたか?

山口:体が丈夫で、気持ちがとても前向きな馬でした。でも、南関東で今年初となる2歳重賞に優勝するような馬に成長してくれるとは、ちょっとビックリですね。ここまで6戦4勝、2着2回と、ほぼ完璧な成績。去年のオータムセールで252万円で売買された馬が、もうすでに1630万円も稼いいるんですよ。これからまだまだ期待できると思います。

-さすがに育成者。よく売却価格や収得賞金が頭に入っていますね。

山口:いやいや、実はJBIS-Searchの存在を教えてもらって、レース後に調べたので覚えているだけなんですよ(笑)。その時にJBIS-Searchを使って改めて血統などを見直していると、ノーリーズン産駒として初めての重賞制覇だったんですね。それも、たった26頭の2008年度産駒から南関東2歳初の重賞馬がでてきたわけですから、本当に凄いことだと思います。

種牡馬情報 ノーリーズン

-中央にも期待の2歳馬はいますか?

山口:みんな期待してるんですけどね(笑)。札幌2歳ステークスに育成馬ゲットハッピーが出走し、6着に頑張ってくれました。直線で前がふさがる不利もあって、それでいて勝馬から0秒6差だから、よくやってくれたと思います。ゲットハッピーについてもJBIS-Searchで改めて調べてみると、母親のラクシャリーラスが現役時代に河野通文先生のところで競馬していたことを初めて知ることができました。

ラクシャリーラス

-他にも何か調べられましたか?

山口:そうですね。うちの卒業生をいろいろ調べて楽しみました。ジョーカプチーノの5代血統表などは、母系をどんどんと深いところまで入り込んでいって、とても興味深かったです。3代まででもマンハッタンカフェ(菊花賞馬)×フサイチコンコルド(日本ダービー馬)×トウショウボーイ(皐月賞馬)という、きれいにクラシック三冠馬の構成。近くなるほど距離は長くなっているのですが、当の本馬は最も短いNHKマイルカップを制したのですから、血統って面白いですよね。

ジョーカプチーノ 5代血統表

-育成馬として入厩してくる馬の血統も細かく調べられるのですか?

山口:育成牧場の場合、入れ替わりのスピードが速く、頭数もすごく多いので、素早く調べられるJBIS-Searchはとても重宝させてもらっています。もともと気性の荒い血統構成の馬などは、育成段階での扱い方も気をつける必要があり、父や母の父からその馬のイメージを描いたり、兄弟の競走成績を細かく調べて傾向を掴んだりしています。また、うちの場合は、トレーニングセールで売ることを目的に1歳のセリで購入して育成するケースもあり、売却者の立場になるとブラックタイプも重要な要素となってくるので、そのような場合は特に慎重に調べますね。

-JBIS-Searchには「市場取引」の検索コンテンツもありますが、それも活用されますか?

山口:うちはセリ用に馬を仕上げるコンサイナーの仕事もしていますので、セリ結果は特に気にして調べています。我々のチームである“馬市ドットコム”の取引検索と組み合わせることで、セリごとの価格の傾向もしっかり掴むことができ、同時に活用するとより強力ですね。

-お付き合いのある生産牧場の成績なども気になりますか?

山口:JBIS-Searchの「生産牧場」の検索コンテンツはとても面白いですね。うちの近くの“浦河”“荻伏”を選択し、“G1馬”にチェックを入れて検索をかけると、50件の牧場名が出てきました。それぞれの牧場名をクリックすると、その牧場の代表活躍生産馬や最近の成績が出てきますので、これは本当に便利です。こんなマニアックな検索の仕方ができるサイトは、他にはないのではないでしょうか(笑)。

山口さん、ありがとうございました。これからもどんどん強い馬を育て、若い世代のホースマンとして競馬界を引っ張っていってくれることに期待しています。

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