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第13回 オンリーフォアライフ(GB)

2026.01.15

 1966(昭和41)年は日本の競馬にスピードという概念を持ち込んだライジングフレーム(IRE)が老衰のため19歳で死亡し、競馬場ではフェアウェーFairway(GB)系のスピードを伝えるソロナウェー(IRE)産駒がダービーでワン・ツー・フィニッシュ。王者ヒンドスタン(IRE)をチャンピオンサイアーの座から引きずり降ろすなどエポックメイキング的な出来事がいくつかあった。


 この年の秋、愛ダービー馬で、愛セントレジャー2着のシンドン(IRE)や仏国のクラシックディスタンスで活躍していたムーティエ(FR)、ファラモンド(FR)といったステイヤータイプに交じって、グレイモナーク(GB)、スパニッシュイクスプレス(GB)、サウンドトラック(IRE)といったスプリンタータイプの種牡馬が日本の地を踏んでおり、のちの生産界に大きな影響を与えることとなる。


 日本軽種馬協会が前年のアークティックヴェイル(IRE)、バルビエリ(GB)に続いて、独自に導入したのはライジングフレーム(IRE)と同じサイレーンCyllene(GB)系のオンリーフォアライフ(GB)。英国で2シーズン目の供用を終えたばかりの6歳馬だった。購入価格は85,000ギニー(当時の邦貨で約1億円)。小松一清常務理事と、シンボリ牧場の和田共弘理事が購買を担当したと記録に残っている。


 オンリーフォアライフ(GB)は英2000ギニー優勝馬だ。2歳9月にアスコット競馬場芝6ハロン戦でデビューして、その初戦で初勝利。2歳競馬を2戦1勝で終えると、3歳シーズンは休み明け2戦目に2000ギニーに出走。ここで早め先頭の積極策から、追い上げてきたアイオニアン(GB)を長い写真判定の末にハナ差退けてクラシックウイナーの仲間入りを果たしている。しかし、英ダービーには向かわず、ダービーと同じ距離で争われるロイヤルアスコット開催の3歳馬限定競走「キングエドワード7世ステークス」に駒を進め、ここで見事な勝利を収めている。キングジョージⅥ&クインエリザベスSは愛ダービー馬ラグーサRagusa(GB)から大きく離された大敗を喫するも、続くグレートヴォルティジュールSでは同馬をアタマ差まで追い詰めている、セントレジャーは大敗。通算成績は10戦3勝、2着3回、3着1回。


 父のシャントウルChanteur(FR)はコロネーションCの勝ち馬で、パリ大賞2着、凱旋門賞3着。種牡馬としてピンザPinza(GB)(53年英ダービー、同キングジョージⅥ&クインエリザベスS)やカンテロCantelo(GB)(59年英セントレジャー)などを送りだした名種牡馬で、53年には英国チャンピオンサイアーに輝いている。祖父シャトーブスコーChateau Bouscaut(FR)は30年仏ダービー馬で、曾祖父カーキュビンKircubbin(GB)は22年サンクルー大賞優勝馬。


 一方、母ライフセンテンスLife Sentence(GB)は英国4勝馬。母系はファミリーナンバー14号プリティポリー系Polly Flinders分岐。ブリーダーズCクラシックのインヴァソールInvasor(ARG)やジャパンカップ勝ち馬カツラギエース、東京大賞典などに勝ったスターキングマン(USA)などが同じファミリーだ。


 日本到着後、千葉県の三里塚種馬場で種牡馬生活をスタートさせたオンリーフォアライフは供用4年目シーズンから青森県の七戸種馬場へ。そして14歳となった1974年からは静内種馬場に移動して種牡馬生活を送った。


 初年度産駒のパミールターフが名古屋3歳S(中京・ダ1600㍍)に勝ち、同じく初年度産駒スイートダイヤは4歳牝馬S(東京・芝1800㍍)を勝利。この馬は、朝日杯3歳ステークスに勝ったボールドシンボリの母にもなってオンリーフォアライフの優秀性を示している。ほか、変わったところではサクラオンリーが76年中山大障害に勝って最優秀障害馬にも選ばれている。

 
 2年目産駒クリイワイは強烈な追い込みを武器に4歳シーズン初戦の73年金杯、そして同アルゼンチンジョッキークラブ(現在のアルゼンチン共和国杯)カップを制し、ヒロクニは49㌔とハンデにも恵まれて、74年目黒記念・春に勝利。そして3世代目産駒のイチフジイサミがダービーでハイセイコーに先着する2着ののち75年天皇賞・春で圧倒的人気を背負ったキタノカチドキを最後の直線でねじ伏せた。ゆっくりと力を付ける晩成型。産駒の多くが差し、追い込み型だったことから勝ち味に遅い面もあったが、重厚な血を伝えて母の父としても菊花賞馬ホリスキーなどを送りだしている。若くして輸入されたこともあったが、25歳で亡くなるまで種牡馬生活を全うし、健康な血を現代まで伝えた種牡馬だ。

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