第5コーナー ~競馬余話~
1957年福岡県生まれ。
82年から東京中日スポーツで競馬担当。
92年に朝日新聞社入社。
現在、毎週金曜日の夕刊スポーツ面に「競馬ウイークリー」を連載。
競馬予想の基本は「人気薄からワイド狙い」。
アルコールは飲めないが、競馬が話題ならば何時間でも話すことができる。

最新記事一覧
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第168回 「恩返し」 2025.03.11
2025年2月8日、東京競馬場でマケズギライ(牝4歳、美浦・石栗龍彦厩舎)が10か月ぶりに白星を挙げた。これが自身2勝目となった。4歳以上1勝クラスのダート1300㍍戦は、この日の最終レースだった。戸崎圭太騎手を背に16頭立ての14番枠からスタートしたマケズギライは序盤、後方を進んだ。直線に入ると、馬群の外から着実に末脚を伸ばした。最後はトルーマンテソーロをクビ差でかわし、1番人気に応えて1着でゴールした。 馬主の江川伸...
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第167回 「健在」 2025.02.12
2024年12月22日に行われた第69回有馬記念は戸崎圭太騎手が騎乗した3歳牝馬のレガレイラが優勝した。 2歳だった23年12月に牡馬を相手にホープフルSを制覇。3歳の春は皐月賞、日本ダービーに挑んだ。しかし1番人気だった皐月賞は6着、2番人気に支持された日本ダービーは5着に終わった。3歳秋は牝馬戦線を歩んだが、ローズS、エリザベス女王杯はいずれも5着にとどまり、ともに1番人気を裏切る形になった。そして臨んだ3歳最終戦が...
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第166回 「好敵手」 2025.01.10
2024年11月24日に行われた第44回ジャパンカップは1番人気のドウデュース(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)が優勝した。手綱を取った武豊騎手は、スペシャルウィーク(1999年)、ディープインパクト(06年)、ローズキングダム(10年)、キタサンブラック(16年)に続く8年ぶり5度目のジャパンカップ制覇となった。ジャパンカップ5勝は4勝で並んでいたクリストフ・ルメール騎手に1差をつける単独の歴代トップになった。 前半の1200㍍通過が...
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第165回 「新種牡馬」 2024.12.11
新種牡馬が大健闘を見せている。11月11日の時点で、JRAの2024年種牡馬リーディングの2歳部門で4頭もの新種牡馬がベスト10入りしている。14年以降のJRA種牡馬リーディング2歳部門で新種牡馬が同時に10位以内に入ったのは3頭が最多だ。この4頭が年末まで、ベスト10圏内をキープすることができれば、過去10年で最多記録になる。 その4頭とは4位のナダル(USA)、5位のサートゥルナーリア、6位のアドマイヤマーズ、8位のタワーオブロ...
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第164回 「帰郷」 2024.11.11
2024年10月6日に京都競馬場で行われた京都大賞典(GⅡ、芝2400㍍)で8番人気のシュヴァリエローズ(牡6歳、栗東・清水久詞厩舎)が優勝した。20年の新潟2歳Sを皮切りに9度目の挑戦で獲得した待望の重賞タイトルとなった。北村友一騎手は13年にヒットザターゲットで優勝して以来2度目、清水調教師も16年にキタサンブラックで制して以来2度目の京都大賞典優勝だった。 シュヴァリエローズは父ディープインパクトという血統だ。ディープ...
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第163回 「神母」 2024.10.11
まったく同じ血統背景を持つ同期のいとこ2頭が秋の初戦で明暗を分けた。そのいとことは、レガレイラ(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)とアーバンシック(牡3歳、美浦・武井亮厩舎)だ。 9月15日に中京競馬場で行われたローズSに出走したレガレイラはオッズ1.7倍の単勝1番人気に支持されたが、追い込み届かず5着に終わり、期待に応えることができなかった。アーバンシックは9月16日に中山競馬場で行われたセントライト記念に臨み、ライバ...
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第162回 「夏馬」 2024.09.11
2024年8月11日は「種牡馬イスラボニータの日」になった。 口火を切ったのは札幌競馬場のプルパレイ(セン5歳、栗東・須貝尚介厩舎)だった。武豊騎手を背にオープン特別のUHB賞(芝1200m)に出走したイスラボニータの息子は好位置を進み、最後の直線で先頭に立つと、猛追するキミワクイーンを抑え、1着でゴールした。3歳の3月にGⅢファルコンS(中京競馬場、芝1400m)を制して以来、2年5か月ぶりの通算4勝目となった。 プルパ...
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第161回 「北賛」 2024.08.13
7月8、9日の両日、北海道苫小牧市のノーザンホースパークで行われた日本競走馬協会(JRHA)主催のセレクトセール2024は今年も盛況のうちに幕を閉じた。セレクトセールには2日間で1歳馬、当歳馬合わせて472頭が上場され、96.4%に当たる455頭が売却された。売上総額は289億1,800万円に達し、4年連続でレコード記録を更新、売却率も過去最高となった。(金額はすべて税抜き) 好調なセールを牽引したのはキタサンブラック産駒だった。1...
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第160回 「3着」 2024.07.11
今年も日本ダービーが終わった。5月26日に東京競馬場で行われた第91回東京優駿(日本ダービー)を制したのは、横山典弘騎手が乗る9番人気の伏兵ダノンデサイル(牡3歳、栗東・安田翔伍厩舎)だった。 年明けの京成杯で重賞初制覇を果たしたが、続く皐月賞ではレース直前に右前脚を痛め、不運の競走除外になった。だが、そこから立て直し、鮮やかによみがえった。誰もが出走を夢見る皐月賞で、レース直前に脚の異常を察知し、レースをやめ...
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第159回 「薔薇」 2024.06.12
2024年5月12日に東京競馬場で行われた第19回ヴィクトリアマイルは大波乱の結末となった。優勝したのは15頭立ての14番人気だったテンハッピーローズ(牝6歳、栗東・高柳大輔厩舎)だった。重賞初制覇がGⅠ。単勝の配当は20,860円。中央競馬の平地GⅠで単勝の払い戻しが万馬券になったのは、1984年にグレード制が導入されて以来、7度目だった。 波乱の主役となったテンハッピーローズは父エピファネイア、母フェータルローズ、その父タニノ...