第5コーナー ~競馬余話~
2022年の記事一覧
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第141回 「菊花」 2022.12.12
10月23日に阪神競馬場で行われた第83回菊花賞は2番人気のアスクビクターモア(牡3歳、美浦・田村康仁厩舎)が優勝した。勝ちタイムの3分2秒4(芝3000メートル)はナリタトップロードが2001年の阪神大賞典でマークした3分2秒5を21年ぶりに更新するコース新記録だった。 手綱を取った田辺裕信騎手(38)は2016年の安田記念(ロゴタイプ)以来6年ぶりのGⅠ3勝目で、クラシックは初制覇となった。 レースはセイウンハーデスが先手を取り、...
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第140回 「母子」 2022.11.11
2022年10月2日に中山競馬場で行われた第56回スプリンターズSは荻野極騎手が手綱を取った8番人気の米国産馬ジャンダルム(USA)(牡7歳、栗東・池江泰寿厩舎)が優勝し、デビュー29戦目で初めてのGⅠ勝利を飾った。7年目の荻野騎手にとっても初のGⅠ制覇となった。 7歳馬の平地GⅠ優勝は2016年のストレイトガール(牝、ヴィクトリアマイル)以来6年ぶり。7歳以上の高齢馬のGⅠ勝ちとなると2018年のグレイスフルリープ(牡8歳、JBCスプリント=...
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第139回 「女王」 2022.10.12
2022年9月8日、英国のエリザベス女王が亡くなった。96歳だった。競馬を愛した女王の崩御は競馬界の大きな損失だ。 一度だけ女王をこの目で見たことがある。それは2003年3月、英国チェルトナム競馬場でのことだった。その日、チェルトナム競馬場では、クイーンマザーの銅像が完成し、除幕式が行われた。クイーンマザーはエリザベス女王の母。僕が見たのは除幕式に出席したエリザベス女王だった。馬主であり、生産者でもあるエリザベス女王が平...
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第138回 「聖奈」 2022.09.09
中央競馬の新人騎手・今村聖奈(18)の快進撃が続いている。 8月14日現在、282戦26勝(新潟12勝、小倉6勝、阪神5勝、中京3勝)、2着18回、3着19回、4着29回、5着22回、着外168回。勝率は9.2%、連対率は15.6%を記録している。このほかに地方競馬でも13戦4勝(園田、名古屋、盛岡、浦和各1勝)、2着3回、3着1回、着外5回の成績を挙げ、こちらは勝率36.4%というハイアベレージだ。中央・地方両方の勝ち星を合計すると30勝に達する。...
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第137回 「50年」 2022.08.10
6月26日に阪神競馬場で行われた第63回宝塚記念はファン投票1位で単勝2番人気のタイトルホルダー(牡4歳、美浦・栗田徹厩舎)が優勝した。 横山和生騎手に導かれたタイトルホルダーは芝2200メートルを2分9秒7で駆け抜けた。そのタイムは2011年にアーネストリーが同じく宝塚記念でマークした2分10秒1を11年ぶりに更新するコース新記録であり、レース新記録ともなった。 タイトルホルダーの父ドゥラメンテは6年前、2016年の宝塚記念で2...
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第136回 「更新」 2022.07.08
5月29日にあった第89回東京優駿(日本ダービー)は武豊騎手騎乗のドウデュース(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)が優勝した。武豊騎手は歴代最多の6度目のダービー制覇。友道康夫調教師は現役最多となる3度目の優勝だった。ダービーを知り尽くすジョッキーとトレーナーが初めてダービーでコンビを組んで栄冠を手にした。 ドウデュースの勝ち時計2分21秒9(東京競馬場 芝2400メートル)は、前年にシャフリヤールがマークした2分22秒5を0秒6...
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第135回 「砂娘」 2022.06.10
2022年5月15日にあった第17回ヴィクトリアマイル(東京競馬場芝1600メートル)は単勝4番人気のソダシ(牝4歳、栗東・須貝尚介厩舎)が1分32秒2のタイムで優勝した。2歳時の阪神ジュベナイルフィリーズ、3歳時の桜花賞に続く3年連続のGⅠ制覇となった。2歳時のアルテミスSを含めると、芝の1600メートル戦では負け知らずの4戦4勝とした。また2着のファインルージュにつけた2馬身差というのは、デビュー戦の2馬身半に次ぐ大きな着差で、...
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第134回 「受難」 2022.05.12
4月17日に第82回皐月賞が終了した時点で、この原稿を書いている。ここまでに2022年のJRAの平地GⅠレースは5戦を終了したが、1番人気は5連敗中だ。 フェブラリーSはレッドルゼルが6着、高松宮記念はレシステンシアが6着、大阪杯のエフフォーリアは9着、桜花賞のナミュールは10着。そして皐月賞のドウデュースは3着だった。本命馬不振のせいで、結果は波乱の連続。3連単の配当は皐月賞の300倍を最低に、最高は高松宮記念の2万7,000倍と跳...
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第133回 「外貨」 2022.04.11
現地時間2月26日に行われた「サウジカップデー」は日本の競馬界にとって驚くべき結果だった。遠征した12頭の日本調教馬が計6レースに出走し、重賞4勝を挙げ、入着賞金を含め約7億円もの賞金を稼いだ。サウジアラビア・リヤドのキングアブドゥルアジーズ競馬場で勝利を挙げたのは次の4頭だった。優勝したレースはいずれもGⅢだ。 ■オーソリティ(牡5歳、美浦・木村哲也厩舎)=ネオムターフC、芝2100メートル■ソングライン(牝4歳、美浦・...
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第132回 「女優」 2022.03.11
1985年秋の天皇賞でシンボリルドルフを破る大金星を挙げたギャロップダイナなど数々の名馬を育てた矢野進・元調教師が2022年2月に亡くなった。84歳だった。 1937年に栃木県で生まれた矢野さんは18歳だった1956年7月12日に騎手免許を手にした。同年7月28日の福島競馬第7レースでニユーダイワに乗り、初騎乗初勝利という快記録を残している。1971年2月いっぱい、33歳で引退するまで、16年間の騎手生活での成績は、943戦103勝だった。 1973年...