第5コーナー ~競馬余話~
2014年の記事一覧
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第45回 「細い糸」 2014.12.12
11月12日に東京・大井競馬場で行われた第47回ハイセイコー記念で、優勝馬ストゥディウムの豪快なレースぶりに驚かされた。 14頭立ての13番枠から出たストゥディウムはスタートでつまずくようなかっこうになり、行き脚がつかず、1コーナーを最後方で回った。2コーナー、3コーナーでも位置取りは変わらず、4コーナーでもまだ11番手。最後の直線、石崎駿騎手はストゥディウムを馬群に潜り込ませ、猛スパートをかけた。1完歩ごとに前との差を詰...
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第44回 「ケ・ム・ユ・ヨ」 2014.11.11
10月19日に京都競馬場で行われた秋華賞はディープインパクトの娘ショウナンパンドラが優勝した。母キューティゴールド(2004年生まれ、父フレンチデピュティ(USA)、母ゴールデンサッシュ)は、ステイゴールドの10歳年下の半妹という血統。スノードラゴンがスプリンターズSを制するなど、この牝系は現在活気にあふれている。 それにしても惜しかったのはクビ差の2着だったヌーヴォレコルトだ。ファビラスラフイン(FR)が1996年の第1回でマー...
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第43回 共通点を探す 2014.10.16
同じようなことが別々の場所で同時に起きることがある。 9月7日、JRA小倉競馬場では第34回小倉2歳Sが行われた。逃げたリッパーザウィンが粘ろうとするところ、ゴール前で後続が一気に殺到。15番人気の伏兵オーミアリスが1番人気のレオパルディナをハナ差捕らえて優勝。レオパルディナから4分の3馬身遅れた3着にはスノーエンジェルが突っ込んだ。この上位3頭に共通するのは、いずれも「牝馬」であること。17頭立てで行われた今年の小...
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第42回 時計は語る 2014.09.18
8月9日、小倉競馬場で行われた「3歳以上500万下」のレースで中央競馬の新記録が塗り替えられた。1枠1番から飛び出したルベーゼドランジェ(牝4歳、父ゴールドアリュール、母シンコウエンジェル(USA)、母の父オジジアン(USA))はライバル9頭を引き連れて逃げ切り勝ち。ダート1000㍍[重馬場]でJRA新記録となる56秒9のタイムをマークした。 従来のJRAレコードはやはり小倉競馬場で2006年7月15日にマークされたデンコウグラス(...
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第41回 完売の背景 2014.08.14
今年も夏の風物詩・セレクトセールを取材するため北海道苫小牧市のノーザンホースパークにお邪魔した。サッカーのワールドカップ決勝があったため、初日の7月14日は不参加、2日目の当歳市場から取材に加わった。 競馬関係者なら自然とため息が出る血統馬が次から次へとセールリングに登場し、これまた次から次へと落札されていった。2日間で475頭(1歳255頭、当歳220頭)が上場され、このうち404頭(1歳215頭、当歳189頭)が落札された。売...
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第40回 祖母力 2014.07.14
最近「祖母」を気にしている。できるだけ血統表をチェックするようにしている。 きっかけを作ってくれたのは第74代桜花賞馬ハープスターだ。ハープスターの母はヒストリックスター。ヒストリックスターの母つまりハープスターの祖母は第53代桜花賞馬ベガなのである。1993年の桜花賞とオークスを制するなど競走馬として大活躍したベガは繁殖牝馬としても偉大な実績を残した。 96年にサンデーサイレンス(USA)との間に出産した第1子はアドマイヤ...
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第39回 因縁の対決 2014.06.12
5月25日に東京競馬場で行われた第75回優駿牝馬(オークス)は2番人気のヌーヴォレコルト(牝3歳、美浦・斎藤誠厩舎)が優勝した。残り200㍍付近で先頭に躍り出ると懸命に追いすがるハープスター(牝3歳、栗東・松田博資厩舎)をクビ差抑えてゴールした。 ヌーヴォレコルトとハープスターはこれが3度目の対決だった。初顔合わせは3月のチューリップ賞。桜花賞トライアルのこのレースはハープスターが優勝。ヌーヴォレコルトは2馬身半離され...
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第38回 崩れた仮説 2014.05.16
4月23日の夜、東京・大井町駅前にある中華料理店・華林の2階で、僕は競馬仲間3人と遅めの夕食をとっていた。話題はつい数時間前に大井競馬場で見た羽田盃。ハッピースプリントの強さだった。 「ジャパンダートダービーでアジアエクスプレス(USA)と対決しませんかねえ」「互角の勝負になりそうですよ」 門別競馬場でデビューし、北海道2歳優駿(門別)、全日本2歳優駿(川崎)を制覇。南関東に移籍後も京浜盃(大井)、羽田盃を連勝した。...
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第37回 競馬二刀流 2014.04.21
3月15日に阪神競馬場で行われた第16回阪神スプリングジャンプ(芝3900㍍)は4番人気の関東馬ケイアイドウソジンが優勝した。昨年11月に障害に転向してから無傷の3連勝で重賞タイトルを手にした。ケイアイドウソジンは2012年2月に平地のダイヤモンドS(東京競馬場、芝3400㍍)でも勝利しており、平地と障害の両方でステークスウイナーになった。 ケイアイドウソジンのように平地と障害の両方で重賞勝ち馬となったケースは、これが9例目だっ...
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第36回 波乱の主役 2014.03.13
2月23日に東京競馬場で行われたJRA今年最初のGⅠレース、第31回フェブラリーSは単勝16番人気のコパノリッキーが優勝し、競馬ファンをアッと驚かせた。 16頭立ての13番枠からスタートすると、逃げるエーシントップ(USA)を見ながら、2番手でレースを進めた。田辺裕信騎手(30)は「砂をかぶらないよう気をつけた」という。馬群でもまれるのを避けて、気分良く走らせることを心がけた。ゴールまで残り400メートルあたりで先頭に立ってからも...