第5コーナー ~競馬余話~
2019年の記事一覧
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第105回 「父娘」 2019.12.10
2019年11月10日に行われた第44回エリザベス女王杯はクリストフ・スミヨン騎手(38)=ベルギー=が騎乗した3番人気のラッキーライラック(牝4歳、栗東・松永幹夫厩舎)が優勝した。 スミヨン騎手の中央競馬でのGⅠ勝利は5年ぶり3度目だった。初勝利は2010年の天皇賞・秋、ブエナビスタとのコンビで2着のペルーサに2馬身差の快勝だった。2勝目は2014年のジャパンカップ。エピファネイアに騎乗してジャスタウェイに4馬身差をつける完勝劇を...
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第104回 「偶然」 2019.11.13
記録ずくめのレースになった。 2019年10月20日に京都競馬場で行われた第80回菊花賞だ。 皐月賞、ダービーに続く3冠レースの最終関門。しかし、そこに皐月賞馬の姿も、ダービー馬の姿もなかった。皐月賞を制したサートゥルナーリアは前哨戦の神戸新聞杯で快勝劇を演じると、矛先を天皇賞へと向けた。ダービー馬ロジャーバローズは8月になって右前脚の浅屈腱炎が見つかり、現役引退が決まった。もっとも、けがをしていなくても凱旋門賞を目指し...
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第103回 「軌跡」 2019.10.10
2019年9月21日に中山競馬場であった清秋ジャンプステークス(3210㍍)は、白浜雄造騎手が手綱を取った1番人気のディライトフル(セン8歳、栗東・大久保龍志厩舎)がスタートから先頭を奪い、そのまま逃げ切って優勝した。 この勝利はフジキセキ産駒のJRA通算1,526勝目であり、2019年の初白星となった。産駒がデビューした1998年以来続いていた連続勝利記録も22年に伸びた。 ディライトフルはこれで通算6勝目。2018年1月に障害に転向して...
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第102回 「合作」 2019.09.12
2019年7月30日、ディープインパクトが17歳の生涯を閉じた。原因は頸椎骨折という。まだまだ働き盛りの若すぎる死だった。 理想のサラブレッドであった。現役時代は皐月賞、ダービー、菊花賞の3冠を含む14戦12勝の成績を残し、天皇賞(春)、宝塚記念、ジャパンカップ、有馬記念も制し、GⅠは7勝。種牡馬としても、2012年から昨年まで7年連続のリーディングサイアーに輝いた。産駒が残っているため、今年以降も首位を守ったとしてもおかしくは...
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第101回 「引退」 2019.08.09
中央競馬で2度首位種牡馬に輝き、ドゥラメンテとレイデオロという2頭のダービー馬を送り出したキングカメハメハが種牡馬を引退することになった。免疫機能が低下し、ここ数年は体調不良に苦しんでいた。今年は種付けを中止していたが、回復の兆しはなく、このまま種牡馬を引退して、功労馬として余生を送ることになった。 キングカメハメハは2001年3月20日北海道のノーザンファームで生まれた。父キングマンボKingmambo(USA)、母マンファス...
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第100回「小兵」 2019.07.12
競走馬の飼料添加物から禁止薬物のテオブロミンが見つかった事件で、競馬界に衝撃が走った2019年6月15日、阪神競馬場で快記録が達成された。 第6レースの3歳未勝利戦(芝2400㍍)で13頭立ての5番人気に支持されたメロディーレーン(牝、栗東・森田直行厩舎)は12番手を進んでいた3コーナーからスパートを開始した。その勢いは素晴らしく、ルーキーの岩田望来騎手が外に進路を取ると、前を行くライバルたちを次から次へとかわし、最後の直線...
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第99回 「レーン」 2019.06.12
オーストラリアから初めて来日したダミアン・レーン騎手の活躍は衝撃的だった。 実戦初日となった4月27日の東京競馬場では、6レースに騎乗して、2着が1回、3着が1回とまずまずのスタートを切った。初来日ならこんな感じでしょうかというぐらいの印象だった。重賞レースの青葉賞で12番人気のマコトジュズマルを6着に持ってきたのが少し目立った程度だった。 それが翌日、一変する。この日の最初の騎乗となった東京競馬第5レースの3歳未...
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第98回 「平成」 2019.05.13
4月7日、平成最後の桜花賞が行われ、グランアレグリア(牝3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)が優勝した。勝ちタイムは阪神競馬場の芝1600㍍で1分32秒7。昨年、アーモンドアイが出した1分33秒1を0秒4更新する桜花賞レコードとなった。平成の締めくくりにふさわしい快勝だった。 4月いっぱいで平成が終わり、5月から新元号の令和がスタートする。中央競馬のカレンダーでは、平成最後のダービーは昨年すでに終わっている。桜花賞と皐月賞、天皇...
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第97回 「同着」 2019.04.10
3月10日に阪神競馬場で行われた桜花賞トライアルの第53回フィリーズレビューは1着同着となった。 優勝を分け合ったのは12番人気のノーワンと3番人気のプールヴィルだ。2頭のうちノーワンの手綱を取っていたのは坂井瑠星騎手(21)。デビュー4年目での重賞レース初優勝となった。地方・大井競馬に所属する坂井英光騎手を父に持つ坂井騎手は2017年から単身オーストラリアに渡り、およそ1年の間、現地に滞在。騎乗機会を手にして勝ち星も重ね...
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第96回 「里帰り」 2019.03.12
アウォーディー(USA)やジャンダルム(USA)など「帰国子女」の活躍はこれまでも目にしたことはある。だが、こんな例に接したのは初めてだった。コパノキッキング(USA)(せん4歳、栗東・村山明厩舎)のケースである。 その生い立ちは実にユニークだ。牝馬のシャルナ(IRE)がアイルランドで誕生したのは1995年だった。父はフランス・ダービー馬のダルシャーンDarshaan(GB)。3歳時に1勝を挙げたシャルナは引退後の1998年、日本に輸入され...