JBBAスタリオンズ名鑑 ~歴史を紡いだ種牡馬たち~
1963年東京都生まれ。
大学卒業後、サラブレッド血統センターに入社し、軽種馬流通センター勤務。
1994年ターファイトクラブ東京事務所所長を経て、2000年道新スポーツ入社。
馬事通信記者の傍ら、北海道新聞本誌予想を担当。
2012年より馬事通信編集長を兼務。
2023年秋より、フリー活動を開始。

最新記事一覧
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第8回 シプリアニ(ITY) 2025.08.19
1954年(昭和29年)秋に発足された日本中央競馬会は日本の経済成長と足並みを揃えるように勝馬投票券の売上げを伸ばし、それは1960年代に入ると急激な右肩カーブを描くようになる。1960年(昭和35年)に290億円だった総売得金が翌1961年には370億円となる。 当然、この事は国会でも問題となり1961年7月には長沼弘毅氏を公営競技調査会会長とする「公営競技に関する現行制度と今後の基本的方策についての答申の件」(通称:長沼答申)を発表...
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第7回 ロイヤルチャレンヂャー(IRE) 2025.07.18
日本に初めて輸入されたネアルコ系種牡馬は1957年に東牧場によって輸入されたアドミラルバード(GB)と言われているが、それから4年後の1961年に輸入されたのが、今回紹介するロイヤルチャレンヂャー(IRE)。大種牡馬ネアルコNearco(ITY)の代表産駒としてナスルーラNasrullah(GB)と並び称されるロイヤルチャージャーRoyal Charger(GB)の直仔で、日本競馬史上初めて有馬記念2連覇を達成したスピードシンボリの父だ。 その現役時代は...
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第6回 ゲイタイム(GB) 2025.06.19
1953年(昭和28年)に農林省競馬部によって日本の地を踏んだゲイタイム(GB)は、前回紹介したライジングフレーム(IRE)から遅れること1年。種牡馬生活9年目を迎えようという1962年に日本軽種馬協会が国から借り入れ、完成したばかりの同協会三里塚種馬場で JBBAスタリオンズとしての生活をスタートさせた。1949年生のゲイタイム、13歳春の出来事だった。 当時、すでにゲイタイムは産駒の活躍によって名種牡馬としての地位を確立させてい...
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第5回 ライジングフレーム(IRE) 2025.05.19
前回紹介したティエポロ(ITY)と時を同じくして、1961(昭和36)年、14歳時に JBBAスタリオンズの仲間入りを果たしたのが8歳年長のライジングフレーム(IRE)だ。 1947(昭和22)年に生まれたこの黒鹿毛馬はティエポロに先駆けること約8年。戦後の経済制裁が解除された1952(昭和27)年に農林省競馬部によって輸入され、翌1953(昭和28)年から1960(昭和35)年までの8シーズンを国有種牡馬として過ごしていたが、新しい財源を求めてい...
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第4回 ティエポロ(ITY) 2025.04.21
昭和30年代のなかばは、戦後に輸入された外国産種牡馬の産駒が競馬場を席捲するようになった。1953(昭和28)年に輸入されたライジングフレーム(IRE)が初めてチャンピオンサイアーとなったのは1958(昭和33年)。これに続くように1954(昭和29)年から日本で種牡馬生活に入ったゲイタイム(GB)。同じく1955(昭和30)年初供用のハロウェー(GB)、1956(昭和31)年のヒンドスタン(GB)の産駒が大活躍。日本の生産界に空前の輸入種牡馬ブーム...
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第3回 ガルカドール(FR) 2025.03.19
1959年(昭和34年)12月に日本中央競馬会によって輸入され、日本軽種馬協会へと寄贈されたガルカドール(FR)は、仏国の名馬産家マルセル・ブーサック氏のオーナーブリーディングホース。日本に導入された最初のトウルビヨン系種牡馬であり、また日本の地を踏んだ2頭目の英国ダービー馬だ。半姉には1949年の仏1000ギニー優勝のガルガラ(46年生、父ゴヤ)、47年にモーリスドギース賞を勝ったウィンドラ(44年生、父トウルビヨン)がいる血統は日...
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第2回 マイナーズランプ(IRE) 2025.02.18
第二次世界大戦のために開催が中止されていた競馬が再開されたのは昭和21年(1946年)秋のこと。この年、記録に残っている軽種馬生産頭数はサラブレッド、サラ系、準サラ、アラブ種、アングロアラブ、アラ系、軽半種、その他血統不詳馬含み541頭だった。おそらく純血サラブレッドは100頭にも満たなかったものと思われる。第二次大戦が始まった昭和16年(1941年)には3,000頭を超える軽種馬が生産されていたというから、当時の時代背景が垣間見え...
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第1回 オーブリオン(FR) 2025.01.16
この度、縁あって日本軽種馬協会が海外から導入した種牡馬の歴史をたどる機会をいただきました。この場を借りて関係者の皆様方に感謝申し上げます。 全国軽種馬生産者団体の長である日本軽種馬協会は、その前身である「社団法人サラブレッド協会」「軽種馬生産農業協同組合」の時代から、国内競走馬の資源確保、改良増殖、そして健全な競馬の発展を目的に、時代の流行に左右されることなく優秀な血脈を国内外から導入し続けています。中でも...